観光立国への“舵取り役”

 清水 一郎氏(しみず・いちろう)
1967年11月生まれ。愛媛県松山市出身。東京大学法学部卒業後、1990年運輸省(現国土交通省)入省。英国ケンブリッジ大学大学院修了、大臣官房総務課企画専門官、在英日本大使館参事官、航空局総務課企画室長、四国運輸局企画観光部長、大臣官房参事官(海事局)などを経て、13年7月から現職。

≪観光庁観光戦略課 清水 一郎課長、「日本人よ、旅行をしようよ!」≫

 今年7月1日、観光庁に「観光戦略課」が新設された。「観光立国」実現に向けた観光戦略の要に位置し、安倍内閣が進める成長戦略の柱の1つである観光行政の「舵取り役」として期待されている。初代課長に就任した清水一郎氏に、今後の重点施策や、7年後に開催が決まった東京オリンピックまでに取り組むべき課題、地域活性化などについて聞いた。
【増田 剛】

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 ――観光庁に新設された「観光戦略課」の役割は。

 今年6月11日に観光立国推進閣僚会議で決定された「観光立国実現に向けたアクションプログラム」と、閣議決定された「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」において、観光は安倍内閣の成長戦略の柱の1つとして、明確に位置付けられました。つまり、観光は日本経済の成長戦略のエンジンであり、これを確実に前進させるために、「観光戦略課」が設置されたわけです。

 とくに、2013年は、観光立国の実現に向けた取り組みを本格化した小泉政権のビジットジャパン事業のスタートから10年、観光庁の発足から5年という「節目の年」に当たります。この節目の年に大きな数値目標を掲げました。訪日外客数1千万人を史上初めて本年達成すること、そして、2千万人の高みを目指していきたいと考えています。

 観光行政は、出入国審査やビザの問題ひとつとってもさまざまな省庁に関わり、観光庁だけで対応できるものではありません。国土交通省内の各局、さらには各省庁、民間や自治体など多くの関係者が、それぞれが主体的に取り組んでいただくことが大事です。観光戦略課は「どの項目をいつまでに」「誰が実施するのか」といった行程表を作成し、うまくベクトルをそろえて、前に進めていく「舵取り役」だと認識しています。柔軟性とスピード感を持って取り組んでいきたいと思っています。

 ――「アクション・プログラム」について。

 観光立国実現に向けたアクション・プログラムの施策は、約90項目におよび、実に多岐にわたっており、(1)日本ブランドの作り上げと発信(2)ビザ要件の緩和等による訪日旅行の促進(3)外国人旅行者の受入れの改善(4)国際会議等(MICE)の誘致や投資の促進――の4つの重点分野を強化・促進していきます。

 「日本ブランドの作り上げと発信」では、ビジットジャパン、クールジャパンなどの取り組みを政府全体で計画を作成し、オールジャパンでの情報発信が必要です。また、海外のテレビ番組枠の確保などによって、日本のコンテンツを継続的に海外に発信していきます。訪日誘客のためのプロモーションも、外国人目線に立ったコンテンツの展開を強化、拡大していく予定です。

 「ビザ要件の緩和」については、今年7月からタイやマレーシア向けのビザを免除したほか、ベトナムやフィリピン向けのビザを数次ビザに、インドネシアの数次ビザに関わる滞在期間の延長も実施しました。ビザの緩和は即効性があり、実績を見ても、大きな効果が表れています。

 「受入れの改善」では、外国人旅行者を受け入れる際に、空港や港の玄関口での出入国手続きの円滑化は、日本を訪れた最初の印象に関わってくる問題として、とても大事だと思っています。そして、多言語による外国語表記の案内も、道路標識だけでなく、美術館や博物館、自然公園、観光地などの充実化が必要です。

 また、Wi―Fiを整備することにより、外国人旅行客に便利と感じてもらえる「旅行しやすい環境」に改善していきたいと思います。これらも“おもてなし”の重要な要素の一つだと思っています。

 「MICE」については、海外のキーパーソンを日本に呼び込むことで、専門家による知見を活用した潜在需要の掘り起こしとともに、誘致ポテンシャルの高い都市として、世界トップレベルの国際会議都市へと育成していかなければなりません。このような4本柱の施策の推進を通して、目標の達成に向け、観光戦略課として全力で取り組んでいきたいと思っています。

 ――2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりましたが、日本の観光にどのような影響がありますか。

 オリンピック開催地決定のテレビ中継を見ていて、IOCのロゲ会長が「TOKYO」と読み上げた瞬間、7年後に「日本を元気にする」一大イベントが日本で開かれることに感動し、大きな感銘を受けました。今後さらに世界の関心が日本に集まることで外国人観光客が増えることが予想され、観光にとって非常に大きな追い風、チャンスになると感じています。

 「7年後」というのは長いようで結構短い。五輪が東京で開かれるからこそできる観光戦略があると思いますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 ――清水課長は、在英日本大使館や英国留学など、英国での経験が豊富です。ロンドンは昨年五輪を成功させました。7年後の東京五輪に向けての準備に当たり、参考になることはありますか。

 私は3年前まで英国の大使館に赴任していましたので、ロンドンが五輪の準備をしている姿を見ていました。そのなかで一つ印象的だったのが、ロンドンのボリス・ジョンソン市長が、ロンドンを自転車に乗りやすい街にしようと、「サイクリングレボリューション(自転車革命)」を実行したことです。ロンドン市内に綺麗なブルーのレンタサイクルをそろえ、観光客も乗り捨てで使いやすいように整備しました。車道にもブルーの自転車専用レーンを整備し、五輪開催に間に合わせたのです。ちなみに、ロンドンでは、自転車は車道を走ります。歩道を走ることはありません。

 外国人観光客は日本を訪れるとき、「安全・安心」であることを期待しますが、日本に来てみると、歩道を走る自転車に対しては、「危険を感じる」という声もあります。観光庁だけでできることではありませんが、東京で五輪が開かれる7年後に向けて、議論の1つになるのではないかと思います。また、「安全・安心」と言えば、ロンドン名物のパブの中が禁煙になったというのも象徴的なできごとでした。

 また、ロンドンでは赤い2階建てバスや、ブラックキャブなどの車両が美しい街の風景に溶け込み、絵はがきになるほど有名です。バスやタクシーなど公共交通の車両そのものが世界中の人にロンドンを想起させる「街の顔」になっています。

 東京のバスやタクシーはどうでしょうか。公共交通は、単に目的地に着けばよいというだけではなく、「街の顔」を作っているという発想が大事だと思います。都内のバスやタクシーの色に統一感を持たせるだけでも、街の印象は変わります。ニューヨークはイエローキャブ、ロンドンはブラックキャブ。東京は何色だろう、と言うように。そうすることで、ロンドンの2階建てバスのように外国人観光客も「一度は乗ってみたい」と思うのではないでしょうか。

 ――地方の活性化について、どのようにお考えですか。

 五輪開催は、東京だけではなく、地方をいかに盛り上げるかが大事な点です。ある意味、五輪は地方にとっても、「大きなチャンス」だと思います。開催効果はオリンピック期間中だけではなくて、すでに五輪開催が決定した瞬間から、日本は世界で注目され始めています。五輪に関わることだけを見ても、事前合宿やプレイベントも行われます。東京が注目されるということは日本全体が注目されることであり、東京五輪を地方が利用する絶好のチャンスだと思います。

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 英国人は田舎が好きで、ロンドンの都会で働く人も、週末になると美しい田舎でくつろぐ文化があります。海外から訪れた観光客もロンドンだけを観光するのではなく、趣のある田園風景が印象的なコッツウォルズのような地方を訪れることが多い。英国では田舎で生活する人たちのプライドが高く、生きがいや喜びを感じながら豊かな生活を送っています。そういう文化を根付かせている英国の文化の奥深さを感じます。

 日本は、インバウンド1千万人を目指すことはもちろん大事なのですが、そのためには、日本人がもっともっと国内旅行をして、日本の魅力を知り、日本自慢をすることが結局インバウンド拡大にもつながると思います。日本人が海外旅行をするからこそ、航空路線も拡充され、それがインバウンドにもつながると思います。

 私は「日本人よ、旅行をしようよ!」というメッセージを強力に発信したいと思います。とくに、シニア世代には、タンス預金をするのではなく、旅行を通じて元気になっていただきたい。それが日本の元気にもつながっていきます。また、海外に対して日本に来てくださいというだけでなく、日本人自らも外国に積極的に訪れるという「双方向」の関係が大事だと思います。

 私は愛媛県松山市の出身で、昨秋まで1年半ほど四国運輸局にいました。瀬戸内海の景色は、ずっと地元にいると、その良さに気づかないのですが、東京から久しぶりに戻ってみると、素晴らしさに驚きます。瀬戸内海のきらきらした海と多島美はエーゲ海よりも美しいと思っています。いわゆるゴールデンルートに次ぐ「エメラルドルート」と言っても良いのではないでしょうか。

 「しまなみ海道サイクリング」という「海の上を走るサイクリング」が10月20日に行われ、さらに来年秋には、外国人を含めて1万人規模の大会として行われる予定です。世界にも例を見ないイベントで、海外からも注目されています。

 来年2014年は、四国八十八カ所の弘法大師空海による霊場開創から1200周年、さらに、道後温泉本館開館から120周年、瀬戸内海国立公園80周年など、四国にとってメモリアルな年です。

 四国ひとつとっても「ラストミステリー」があります。日本のどの地域にも、これまで気づかなかった新しい魅力の発見があるはずです。日本各地にある魅力を“ブランド”として作り上げ、広く発信していくことが、これからの日本観光にとって大切なことだと思います。

「100選」の中間集計 2回目

今年1月に開いた第38回「100選」表彰式のようす

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」。39 回目の投票が今年も10月1日から始まった。締め切りは10月末日。全国の旅行会社からの投票に基づき、「ホテル・旅館100選」と「観光・食事、土産物施設100選」および「優良観光バス30選」をそれぞれ選出する。「ホテル・旅館100選」の中間集計の2回目を紹介する。
(順不同)

 【北海道】
あかん湖鶴雅リゾートスパ鶴雅ウィングス▽第一滝本館▽登別石水亭▽知床第一ホテル▽知床グランドホテル北こぶし▽十勝川温泉第一ホテル▽観月苑▽ニュー阿寒ホテル▽ホテル鹿の湯花もみじ▽知床プリンスホテル風なみ季▽しこつ湖鶴雅リゾートスパ水の謌▽湯元名水亭▽望楼NOGUCHI登別▽割烹旅館若松▽丸駒温泉旅館▽海の別邸ふる川▽章月グランドホテル

 【青森県】
浅虫観光ホテル▽ホテルグランメール山海荘▽星野リゾート青森屋▽海扇閣▽不老ふ死温泉▽南田温泉ホテルアップルランド▽稲垣温泉ホテル花月亭▽花禅の庄▽酸ヶ湯温泉旅館▽下風呂観光ホテル三浦屋▽ホテル十和田荘▽八甲田ホテル

 【岩手県】
結びの宿愛隣館▽ホテル森の風鶯宿▽浄土ヶ浜パークホテル▽ホテル志戸平▽滝の湯いつくし園▽ホテル対滝閣▽愛真館▽南部湯守の宿大観▽ホテル紫苑▽悠の湯風の季▽瀬美温泉▽大沢温泉山水閣▽佳松園▽ホテル千秋閣▽矢びつ温泉瑞泉閣▽ホテル偕楽園▽長栄館▽四季亭▽ホテル羅賀荘▽ホテル龍泉洞愛山▽松川荘▽八幡平ロイヤルホテル

 【宮城県】
ホテル松島大観荘▽伝承千年の宿佐勘▽鷹泉閣岩松旅館▽松島一の坊▽篝火の宿緑水亭▽鳴子観光ホテル▽ホテルニュー水戸屋▽ホテルきよ水▽名湯の宿鳴子ホテル▽ゆづくしsalon一の坊▽南三陸ホテル観洋▽遠刈田ホテルさんさ亭▽岩沼屋▽小松館好風亭▽La楽リゾートホテルグリーングリーン

 【秋田県】
男鹿観光ホテル▽湯瀬ホテル▽男鹿グランドホテル▽秋田温泉さとみ▽妙乃湯▽栗駒山荘▽鶴の湯▽駒ヶ岳グランドホテル▽プラザホテル山麓荘▽花心亭しらはま▽ホテル鹿角▽都わすれ

 【山形県】
日本の宿古窯▽萬国屋▽蔵王国際ホテル▽展望露天の湯有馬館▽たちばなや▽ホテル八乙女▽月岡ホテル▽上杉の御湯御殿守▽ほほえみの宿滝の湯▽葉山館▽河鹿荘▽仙峡の宿銀山荘▽游水亭いさごや▽蔵王四季のホテル▽深山荘高見屋▽いきかえりの宿瀧波▽おおみや旅館▽亀や▽ホテル王将▽天神の御湯あづま屋▽高見屋別邸久遠▽龍の湯▽海辺のお宿一久

 【福島県】
ホテル華の湯▽匠のこころ吉川屋▽八幡屋▽丸峰観光ホテル▽大川荘▽庄助の宿瀧の湯▽風望天流太子の湯山水荘▽スパリゾートハワイアンズ▽四季彩一力▽旅館玉子湯▽陽日の郷あづま館▽金蘭荘花山▽櫟平ホテル▽裏磐梯高原ホテル

 【茨城県】
五浦観光ホテル別館大観荘▽袋田温泉思い出浪漫館▽筑波山江戸屋▽大洗ホテル

 【栃木県】
あさや▽花の宿松や▽鬼怒川グランドホテル夢の季▽きぬ川スパホテル三日月▽鬼怒川温泉ホテル▽日光千姫物語▽宿屋伝七▽ホテルエピナール那須▽ホテルニュー塩原▽小槌の宿鶴亀大吉▽湯ったりの宿松楓楼松屋▽彩り湯かしき花と華▽鬼怒川温泉山楽▽若竹の庄

 【群馬県】
草津白根観光ホテル櫻井▽四万やまぐち館▽源泉湯の宿松乃井▽舌切雀のお宿磯部ガーデン▽福一▽一番湯の宿ホテル木暮▽旅館たにがわ▽別邸仙寿庵▽万座温泉日進舘▽豆腐懐石猿ヶ京ホテル▽水上館▽香雲館▽ホテル一井▽長寿館▽温泉三昧の宿四万たむら▽望雲▽万座亭▽ホテル天坊▽草津ナウリゾートホテル▽辰巳館▽草津ホテル▽柏屋旅館▽妙義グリーンホテル▽奈良屋▽古久家▽かやぶきの郷薬師温泉旅籠

 【千葉県】
満ちてくる心の宿吉夢▽鴨川館▽鴨川ホテル三日月▽鴨川ヒルズリゾートホテル▽鴨川グランドホテル▽蓬莱屋

 【東京都】
水月ホテル鴎外荘

 【神奈川県】
海石榴▽箱根吟遊▽強羅花壇▽ホテル河鹿荘▽箱根高原ホテル▽箱根ホテル小涌園▽鶴井の宿紫雲荘

 【山梨県】
銘石の宿かげつ▽ホテル鐘山苑▽ホテルふじ▽若草の宿丸栄▽全館源泉かけ流しの宿慶雲館▽湖山亭うぶや▽秀峰閣湖月▽下部ホテル▽華やぎの章慶山▽富士野屋夕亭▽湖南荘▽石和名湯館糸柳▽風のテラスKUKUNA▽富士レークホテル▽ホテル八田▽常盤ホテル

 【長野県】 
ホテル翔峰▽明神館▽花屋▽上林ホテル仙壽閣▽藤井荘▽街道浪漫おん宿蔦屋▽ホテル白樺荘▽立山プリンスホテル▽緑翠亭景水▽ホテル木曽路▽ホテルやまぶき▽一茶のこみち美湯の宿▽ぬのはん▽白樺リゾート池の平ホテル▽RAKO華乃井ホテル▽白船グランドホテル▽双泉の宿朱白▽ユルイの宿恵山▽別所観光ホテル▽旅の宿滝の湯▽あぶらや燈千▽七草の湯▽浜の湯▽浪漫の館月下美人▽上高地清水屋ホテル▽昼神グランドホテル天心▽山野草の宿二人静▽ホテル清風園▽野沢グランドホテル▽ホテル阿智川▽石苔亭いしだ▽帝産ロッヂ▽横谷温泉旅館▽ホテル椿野▽ホテル紅や

 【新潟県】 
白玉の湯泉慶・華鳳▽ホテル清風苑▽水が織りなす越後の宿双葉▽夕映えの宿汐美荘▽風雅の宿長生館▽四季を彩る湯沢グランドホテル▽ゆもとや▽四季の宿みのや▽ホテル小柳▽岬ひとひら▽大観荘せなみの湯▽ホテル摩周▽赤倉ホテル▽ホテル國富アネックス▽よもぎひら温泉和泉屋▽国際佐渡観光ホテル八幡館▽ロイヤルホテル小林▽ホテル秀山七つの扉▽汐彩の湯みかく▽ひなの宿千歳▽湯沢ニューオータニホテル▽越路荘▽寺泊岬温泉ホテル飛鳥▽越後のお宿わか竹▽高志の宿高島屋▽鷹の巣館▽ホテル大佐渡▽ほてる大橋館の湯▽ホテルみかわ▽嵐渓荘▽ホテル瀬波観光▽湖畔の宿吉田屋▽伝統と風格の宿ホテル万長

 【静岡県】
稲取銀水荘▽堂ヶ島ニュー銀水▽いなとり荘▽ホテル九重▽坐漁荘▽季一遊▽ホテルカターラ福島屋▽柳生の庄▽観音温泉▽稲取東海ホテル湯苑▽桂川▽ホテル伊豆急▽ホテルサンハトヤ▽堂ヶ島温泉ホテル▽ホテルアンビア松風閣▽ホテルウェルシーズン浜名湖▽下田セントラルホテル▽ラビスタ伊豆山▽嵯峨沢館▽西伊豆クリスタルビューホテル▽熱川プリンスホテル▽瑞の里○久旅館▽星野リゾート花乃井▽赤沢温泉ホテル▽楽山やすだ▽舘山寺サゴーロイヤルホテル▽焼津グランドホテル▽杜の湯きらの里▽うみのホテル中田屋▽ホテルミクラス▽海辺のかくれ湯清流▽花のおもてなし南楽▽熱海後楽園ホテル▽山水館欣龍▽あさば▽ホテル暖香園▽古屋旅館▽熱海大観荘▽新かどや

 【愛知県】
旬景浪漫銀波荘▽ホテル東海園▽ホテル竹島▽源氏香▽伊良湖シーパーク&スパ▽風の谷の庵▽はづ別館▽平野屋▽粛 海風

 【三重県】
戸田家▽風待ちの湯福寿荘▽ホテル花水木▽サン浦島悠季の里▽鳥羽シーサイドホテル▽賢島宝生苑▽浜の雅亭一井▽ばさら邸▽日の出旅館

 【岐阜県】
水明館▽高山グリーンホテル天領閣▽本陣平野屋花兆庵▽岐阜グランドホテル▽穂高荘山月▽ひだホテルプラザ▽ホテルくさかべアルメリア▽吉泉館竹翠亭▽奥飛騨ガーデンホテル焼岳▽宝生閣▽八ツ三館▽十八楼▽ホテルパーク

 【富山県】
延楽▽金太郎温泉▽宇奈月国際ホテル▽ホテル立山▽延対寺荘▽宇奈月グランドホテル▽つるぎ恋月▽ゆめつづり▽砺波ロイヤルホテル▽磯はなび

 【石川県】
加賀屋▽瑠璃光▽ゆのくに天祥▽日本の宿のと楽▽法師▽辻のや花乃庄▽お花見久兵衛▽茶寮の宿あえの風▽花つばき▽たちばな四季亭▽ゆ湯の宿白山菖蒲亭▽花紫▽佳水郷▽まつさき▽宿守屋寿苑▽ゆけむりの宿美湾荘▽厨八十八▽雄山閣▽ホテル高州園▽日本の宿山乃湯▽旅亭懐石のとや▽翠明▽天空の宿 大観荘▽和田屋

 【福井県】
まつや千千▽グランディア芳泉▽つるや

 【滋賀県】
暖灯館きくのや▽びわ湖花街道▽里湯昔話雄山荘▽湯元舘▽京近江▽びわ湖緑水亭

 【京都府】
松園荘保津川亭▽おもてなしの宿渓山閣▽雨情草庵▽佳松苑はなれ風香▽佳松苑▽一望館▽みなと悠悠

 【兵庫県】
ホテルニューアワジ▽ホテル金波楼▽佳泉郷井づつや▽淡路インターナショナルホテルザ・サンプラザ▽西村屋ホテル招月庭▽有馬グランドホテル▽朝野家▽月光園游月山荘▽西村屋本館

 【奈良県】
さこや

 【和歌山県】
かつうら御苑▽ホテル中の島▽ホテル浦島▽白良荘グランドホテル▽花いろどりの宿花游▽浜千鳥の湯海舟

 【鳥取県】
皆生つるや▽華水亭▽三朝館▽依山楼岩崎▽皆生グランドホテル天水▽三朝薬師の湯万翆楼▽花屋別館▽湯喜望白扇

 【島根県】
玉造グランドホテル長生閣▽曲水の庭ホテル玉泉▽佳翠苑皆美▽白石家▽湯之助の宿長楽園▽旅館樋口

 【岡山県】
湯郷グランドホテル▽鷲羽ハイランドホテル▽清次郎の湯ゆのごう館▽八景▽ゆのごう美春閣

 【広島県】
ホテル鴎風亭▽景勝館漣亭▽みやじまの宿岩惣▽オリエンタルホテル広島

 【山口県】
大谷山荘▽白木屋グランドホテル▽萩観光ホテル▽西の雅常盤▽錦帯橋温泉ホテルかんこう▽松田屋ホテル▽ホテル西長門リゾート

 【香川県】
湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭▽琴平グランドホテル桜の抄▽ことひら温泉琴参閣▽喜代美山荘花樹海

 【徳島県】
和の宿ホテル祖谷温泉

 【愛媛県】
大和屋本店▽道後舘▽道後プリンスホテル

 【高知県】
土佐御苑▽城西館▽三翠園

 【佐賀県】
和多屋別荘▽萬象閣敷島▽大正浪漫の宿京都屋▽大正屋▽ホテル龍登園

 【長崎県】
東園▽ゆやど雲仙新湯▽雲仙宮崎旅館▽雲仙福田屋▽平戸千里ヶ浜温泉蘭風▽ホテルマルゲリータ

 【熊本県】
清流山水花あゆの里▽杖立観光ホテルひぜんや▽湯峡の響き優彩▽阿蘇プラザホテル▽山鹿温泉清流荘▽阿蘇の司ビラパークホテル

 【大分県】
九重悠々亭▽杉乃井ホテル▽ホテル白菊▽由布院玉の湯▽花菱ホテル▽ことぶき花の庄

 【宮崎県】
酒泉の杜綾陽亭

 【鹿児島県】
ホテル秀水園▽指宿白水館▽霧島山上ホテル▽指宿海上ホテル▽霧島国際ホテル▽指宿フェニックスホテル▽霧島いわさきホテル▽城山観光ホテル▽霧島ホテル

 【沖縄県】
ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート▽ホテル日航アリビラ▽沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ▽ルネッサンスリゾートオキナワ▽リザンシーパークホテル谷茶ベイ▽ザ・ブセナテラス

LCC2社に厳重注意、定期検査の一部未実施(航空局)

謝罪するジェットスターJの鈴木社長(中央)

国土交通省航空局は10月9日、ジェットスター・ジャパン(鈴木みゆき社長)とエアアジア・ジャパン(石井知祥社長)に対し、機体の定期検査のうち一部が未実施のまま長期間にわたり航空機を運用していたことに対し、厳重注意を行った。必要な再発防止策を検討し、10月23日までに報告するよう求めている。

耐空性改善通報(TCD)では、水平尾翼の上部駆動装置の取り付け部の定期検査について、エアバス社が発行したサービス・ブリテン(SB)の手順に従っての検査を指示しているが、同2社はSBではなく、エアバス社のエアクラフト・メンテナンス・マニュアル(AMM)に従い定期検査を実施。2段階の目視確認のうち、AMMに記載のなかった一部が未実施のまま、ジェットスター・ジャパンは最大8カ月間、エアアジア・ジャパンで最大7カ月間、運航していた。SBとAMMはほとんどが同様の内容となっているが、唯一、1項目だけ違いがあるという。

同問題が9月30日に判明。ジェットスター・ジャパンは対象の7機で点検を実施し同日に完了。10月1日に許可を得て運航開始している。この検査の影響で全68便中18便が欠航し、2477人に影響が出た。

ジェットスター・ジャパンは10月9日に国土交通省内で会見を開き、同社整備本部長は「SBとAMMが、完全に同一内容であると誤解していた」と原因を説明。鈴木社長は「今回のことを厳粛に受け止めている。まだ若い会社なので、改めるべきところは改めていきたい」と謝罪した。また、エアアジア・ジャパンも、ジェットスター・ジャパンの後に同場所で会見を行った。なお、国土交通省航空局は、点検漏れ発生の原因や背景を調査し、必要な再発防止策を検討のうえ、10月23日までに報告するよう求めている。

国内観光の魅力訴求、11月8日―10日、旅フェア開く(日観振)

 日本観光振興協会は11月8―10日、東京・池袋のサンシャインシティをメイン会場に、18回目の「旅フェア日本2013」を開く。旅の楽しさを「体験」できる「旅のアミューズメントパーク」として、例年以上に幅広く国内観光の魅力を訴求する。

 今年は、7つのテーマエリアを設定。そのなかで、今回は2015年春の北陸新幹線開業で注目が集まる北陸地域をピックアップし、東北地域と合わせて「東北・北陸」のエリアを設ける。このほか、「伝統工芸」「スポーツ・アウトドア」「スキー・スノーボード」「日本のくつろぎ」「お腹まんぷく」「着地型旅行」のテーマエリアを作り、各ブースで展示や食、物産、ご当地体験、イベントなどを展開する。

 食は人気の「全国ご当地どんぶり選手権予選会」や全国のご当地グルメが楽しめる。「スキー・スノーボード」エリアでは、子供向けスキー・スノーボード教室「パンダルマンキッズスクール」が開かれ、一足先にウィンタースポーツが楽しめる。また、「日本のくつろぎ」エリアは、有名温泉3カ所の「手湯」を設置し、手軽に各地の名泉を体験できる。

 全国からご当地キャラクターやアイドル、武将隊も集結。ご当地キャラクターは、来年の大河ドラマ「黒田官兵衛」をイメージした姫路市(兵庫県)の「かんべえくん」など、昨年の約2倍の60体以上が集まる予定だ。

 会場は昨年に続き、メインのほか、東京都内のふるさとアンテナショップ27店舗とJR主要駅3駅をサテライト会場とし、これらを巡るラリーゲームを実施。集めた数に応じてメイン会場の抽選に参加でき、賞品やびゅう商品券が当たる。 

JATAへ売上寄付、東北の観光復興支援に

小杉会長(中央)から寄付を受け取る菊間会長(右から3番目)

 ビジットUSAコミッティージャパン(会長=小杉眞弘マリオット・インターナショナル日本支社長)は10月4日、JATA旅博2013内で実施したチャリティーオークションの売上を日本旅行業協会(JATA)に寄付した。東北の観光復興に役立ててもらおうと、小杉会長がJATAの菊間潤吾会長に手渡した。金額は27万2400円。

 同団体は日本から米国への誘客促進をはかっている業界団体で、8年前からJATA旅博内でオークションを実施し、JATAや米国の法人などに寄付している。小杉会長は「オークションの売上が54万4800円と過去最高だった。売上の半分は米国のツーリズムケアーズという観光地の環境整備を行っているNPO法人に寄付した」と報告。オークションでは、好評の旅行商品のほかノベルティーグッズなど約80点が出品されたという。

 また、スターアライアンスも旅博内で加盟会社のグッズを集めたチャリティーオークションを実施。日本地区代表の全日本空輸(ANA)が9月27日にJATAを訪れ、収益金の27万5300円を東日本大震災の義援金として贈呈した。

 今後、JATAは社会貢献委員会で具体的な用途を検討していくという。

髙木国交副大臣、五輪は東京プラス1、2

髙木毅国交副大臣

≪訪日外客1千万人へ注力≫
このほど国土交通副大臣に就任した髙木毅氏は10月9日の就任会見で、担務のうちの1つである観光について「とりわけ力を入れていきたい」と強調し、2020年東京五輪開催については「東京プラス1」「東京プラス2」というキーワードを挙げた。

 髙木副大臣は「国をあげた経済成長のために国交省として何ができるかを考えたときに、『観光』は重要な分野。大事な産業であり、担務のなかでもとりわけ力を入れていく」と強調した。直近の課題としては、目標達成まで10―12月の数字次第というところまで来た「訪日外客数1千万人」達成に注力していくという。

 2020年の東京五輪開催については、「東京だけでなくもう1カ所、2カ所と地方へも足を延ばしてもらえるように、旅行業者や交通関係者に協力を仰ぎ、安い値段で観光できるような方策を考えていきたい」と語り、東京以外にも観光をしてもらう「東京プラス1」「東京プラス2」構想を明かした。

 髙木 毅氏(たかぎ・つよし)(衆議院議員・福井3区)。1956年生まれ。57歳。78年青山学院大学法学部卒業後、高木商事入社。96年日本青年会議所北陸信越地区会長就任。00年衆議院議員1期目当選。05年防衛庁長官政務官就任。12年衆議院議員5期目当選。13年衆議院議員運営委員長就任。

No.354 群馬県・上野村 - 村内の循環型経済社会を作る

群馬県・上野村
村内の循環型経済社会を作る

 群馬県多野郡上野村(神田強平村長)は人口1360人(13年10月1日現在)。多くの過疎地と共通の問題を抱えながら、「Iターン」転職者が村民の17%を占める。村内の循環型経済社会を築くためにさまざまな取り組みを行う神田村長に、96%を占める森林を活用した産業のあり方や、危機管理研修の拠点として、世界に「安心・安全」を発信していく構想などを聞いた。また、宿泊施設などを運営する上野振興公社の瀧澤延匡常務に、観光事業の展開について取材した。

【増田 剛】

≪上野村村長・神田  強平氏(かんだ・きょうへい)に聞く、
「危機管理研修」の拠点に

 上野村は自ら「雇用の場」を創出し、Iターン移住者に定住してもらう仕組みづくりを積極的に行っています。1991年に若者定住促進条例を制定し、上野村の自然豊かな環境に職を求める都会の人を対象に、移住を呼び掛けることに重点を置きました。それが奏功し、徐々に若い層が増えています。 

≪上野振興公社常務取締役・瀧澤  延匡氏(たきざわ・のぶまさ)に聞く、“役場的”意識を変え黒字へ

 7年前の26歳のときに、埼玉県から上野村に移住した瀧澤氏。当時、徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」を知り、田舎資源のビジネスをやりたいと思い、上野振興公社に入社。今年2月に常務に就任、神田村長に次ぐ立場で、上野振興公社の陣頭指揮を取る。瀧澤氏に今後の観光振興への取り組みを聞いた。

 

※ 詳細は本紙1521号または10月25日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

群馬県・上野村 ― 危機管理研修の拠点づくりを構想

 今号の1面特集で群馬県・上野村を取り上げた。先日、取材で訪れたとき、上野振興公社常務の瀧澤延匡氏のご案内で、御巣鷹尾根の日航機墜落事故現場に建てられた慰霊碑「昇魂之碑」を訪れた。

 日航機の事故が発生した1985年8月12日は、高校1年の夏だった。大分県で部活動のキャンプを行っていた日で、真っ暗な森のバンガローの中で、電波の悪いラジオから途切れ途切れに聞こえてくるニュースの切迫した状況に、最初は「戦争が起こったのか」と思うほど、不安になったことを覚えている。その後も、日航機事故のことは、何度も思い返された。ボイスレコーダーのやりとりも何十回と聞いた。その日航機の事故現場に足を踏み入れるには、大きな勇気が必要だった。現場は、28年という歳月を経てもなお、異様な雰囲気を残していた。ただ、あの場所(墜落現場)を訪れて思うことは、犠牲者の御冥福を祈りながら、「安全」を願う気持ちだけだった。

 上野村では、危機管理(リスクマネジメント)研修の拠点として、「安全」について考え、学ぶ施設を作ろうという構想がある。とても意味のある取り組みだと思う。

 この危機管理研修の拠点づくりと、日航機事故とは直接的な関係はない。しかし、史上最大の航空機事故といわれる520人が犠牲となった日航機墜落事故から間もなく30年を経ようとして、日航機事故そのものを知らない世代へと移り変わりつつある。犠牲者の遺族や関係者も高齢化し、慰霊登山の参加も難しくなりつつある状況のなかで、「決して風化させてはならない事故」と上野村の神田強平村長は語る。そして、上野村だからこそ、全世界に向けて、安全性を訴えることができる、「リスクマネジメント」の拠点になり得る村だと思う。

 LCC(格安航空会社)の参入により、日本の空や、世界中の空をこれまで以上に航空機が飛びまわるだろう。旅行者にとっては選択肢も増え、便利にもなる。しかし、価格競争の激化が進むと、あってはならないことだが、どの業界でも、安全面がおざなりになる傾向が強まる。この意識を防止することは、とても難しい。

 たとえ運賃が安くても、故障や小さな事故が度重なる運輸機関があると、誰もが利用することを躊躇する。利用者を守るために、「安全性」を基準にした尺度が、もっと、もっと重視されてもいい。

 ドイツに拠点を置く「JACDEC」は世界の航空会社の安全度ランキングを発表している。2012年版によると、1位はフィンランド航空。以下は(2)ニュージーランド航空(3)キャセイパシフィック航空(4)エミレーツ航空(5)エティハド航空(6)エバー航空(7)TAPポルトガル航空(8)海南航空(9)ヴァージン・オーストラリア(10)ブリティッシュ・エアウェイズ航空――の順。11年に1位だった全日本空輸(ANA)は12位に後退。日本航空(JAL)は47位にランクされている。

 機長や、機材の整備を担当するスタッフ、そして何よりも会社役員に、定期的な危機管理研修は必要だと思う。航空会社だけではない。鉄道会社やバス会社などの運輸機関、そして、さまざまな部品を作っているメーカーも同じである。利用者を守る「安全性」の意識を呼び戻す機会を、決して惜しまないでほしい。

(編集長・増田 剛)

7企業・団体が受賞、「三陸鉄道」や「くまモン」

受賞者と久保観光庁長官(中央左)

≪観光庁長官表彰≫

 観光庁は10月1日、魅力ある観光地づくりや訪日外国人旅行客の誘致など、観光の振興と発展に貢献した個人や団体を表彰する「第5回観光庁長官表彰」を行った。今年は37の団体・個人の候補から、外部有識者による選考を経た「三陸鉄道」や「くまモン」など7つの企業・団体が受賞した。

 表彰式では、久保成人観光庁長官は各団体の震災復興や観光立国実現に向けた活動に触れ「観光振興、発展にお力添えを願いたい」と祝辞を贈った。

 岩手県の「三陸鉄道」は、震災後にいち早く取り組んだ復興事業や、連続テレビ小説「あまちゃん」に登場するお座敷列車北三陸号の運行など、東北全体のシンボルとして震災復興や観光復興に貢献した点が評価された。

 熊本県のイメージキャラクター「くまモン」は、ゆるキャラグランプリ優勝など高い知名度を誇り、海外でもPR活動に参加するなど、国内外で行った九州への観光客誘致での活躍が受賞につながった。

 受賞者は次の通り。

 【国内観光振興】三陸鉄道▽巻機山景観保全ボランティア―ズ【国際観光振興】Apple Vacations&Conventions社(マレーシア)【国内・国際観光振興】阿波おどり振興協会・徳島県阿波踊り協会▽岸和田市(大阪府)▽くまモン(熊本県イメージキャラクター)

伊勢神宮・出雲大社、遷宮イヤーでにぎわい

伊勢神宮・内宮

≪伊勢・島根で観光客大幅増≫

 60年ぶりに平成の大遷宮を迎えた出雲大社、20年に一度の式年遷宮となる伊勢神宮。西日本では今年、2大神事が重なり、遷宮イヤーの盛り上がりを見せている。近年のパワースポットブームもあり、若い世代の関心も高まっているという両遷宮。周辺地域の状況を探った。

【伊勢神宮

≪参拝客1330万人に、過去最多の見込み≫

  今年、20年に一度の「式年遷宮」を迎える伊勢神宮。10月上旬に、クライマックスとなる神体を新宮へ移す「遷御の儀」が行われ、伊勢志摩地域は最高潮の盛り上がりを見せている。伊勢市は9月末、伊勢神宮の内宮・外宮を合わせた参拝客は当初1千万人としていたものを、1330万人に上方修正した。1896(明治29)年の統計以降、最多となる見込み。

 同市によると、今年1月から8月末までの伊勢神宮への参拝客数は、内宮が539万5727人、外宮が295万7883人で合わせて835万4610人。統計以降最多だった2010年の882万8851人に迫る勢いだ。10月頭に式年遷宮の最大行事「遷御の儀」が行われ、今後さらに参拝客増加に拍車がかかりそうだ。

 前回の式年遷宮があった1993年の参拝客数は、838万7124人。今回の式年遷宮で参拝客が急増している要因として、外宮の参道に飲食店や土産物店がここ数年で出店し、外宮の参拝客が増えたこと、メディアの露出などが考えられるという。

おかげ横丁

 伊勢神宮・内宮のお膝元にある、おはらい町内おかげ横丁(伊勢市)の今年1月から8月までの観光客は、前年同期比1・3倍の約410万人と好調。おかげ横丁を運営する伊勢福によると、今年の観光客数は、1993年のオープン以来最多の550万人を見込んでいるという。

 鳥羽市の宿泊施設や主要観光施設も、軒並み好調だ。鳥羽の温泉宿61施設で構成する「鳥羽温泉振興会」によると、今年1月から8月までの温泉利用者数は、前年同期比13%増の87万1千人。鳥羽市に訪れる観光客は、これまで中部・東海・関西圏が多かったが、今回の式年遷宮の特徴として、首都圏を中心とした関東の客が増えているという。鳥羽市のある宿の関係者は「関東からのお客様はこれまで2―3割だったのが半数を占めるようになった。テレビ番組などで伊勢志摩の特集を見たという話をよく聞きます」と話す。また、近年のパワースポットブームで、女性の願いを必ず一つ叶えるといわれる「石神神社」(鳥羽市相差)なども人気があり、20―30代の女性も増えているという。

 式年遷宮後の集客対策について、鳥羽市観光協会会長の吉川勝也氏(サン浦島代表取締役)は、「今年から、伊勢・鳥羽・志摩3市の観光協会が集まり、話し合いを行っている。伊勢志摩地域として地域のポテンシャルを上げ、最寄の市町の賛同を得ながら、持続的にできる具体策を考えていきたい」と話している。

 また、鳥羽水族館では、今年1月から8月までの入場者が前年同期比1・2倍の約64万6千人。同施設関係者は、「『変な生きもの研究所』など、新しいスペースもスタートしていることもあるが、例年より客は多い。式年遷宮の効果も考えられる」と話す。

 志摩市でも式年遷宮の集客効果が出ている。鳥羽や賢島のクルージングなどを運営する志摩マリンレジャーによると、賢島港から英虞(あご)湾などを巡る「賢島エスパーニャクルーズ」は、今年1月から8月までの乗客が5万9881人と前年同期比40・6%増。秋以降も、繁忙日は小型船(80人定員)運航の便を大型船(250人定員)に切り替えるなど対応するという。

多くの参拝客でにぎわう出雲大社

【出雲大社】

 島根県出雲市の出雲大社の60年に1度の遷宮効果で、県内の観光客数が大幅に増加している。経済波及効果は約300億円とみられている。

 出雲大社で5月10日、修造が完了した御本殿に大国主命がお還りになる「本殿遷座祭」が行われた。平成の大遷宮のメインとなる神事で、同日から6月9日までの1カ月間の参拝客数は75万2千人に上り、当初見込みの25%増となった。

 団体バスは本殿遷座祭から約1カ月間は毎日120―130台が押し寄せ、その後微減したものの現在でも1日平均70―80台に上る。島根県松江市と広島県三次市を結ぶ松江自動車道の3月開通で、広島方面からの個人客も増加し、マイカー用の駐車場は毎日のように渋滞の列が伸びる。連動するように神門通りは多くの観光客で溢れ、一部の食事施設などは前年比3―4倍の売り上げという。

 出雲大社の年間参拝客数は2011年が247万9千人、12年が348万3千人で、今年は倍増が期待される。

 出雲観光協会の小野篤彦事務局長は「おそらく650万人から700万人あたりになるだろう。近年のパワースポットブームなどもあり、女性客が目立つ。本殿遷座祭のときのようなピークは過ぎたが、現在も勢いは衰えていない」と話す。

ご縁横丁

 県内主要観光施設の入込みも伸びている。出雲大社に隣接する「古代出雲歴史博物館」は、本殿遷座祭に合わせた特別展「出雲大社展」を実施したことから、5月は前年同月比203・1%増の7万2546人、6月は同270・2%増の5万4949人を集めた。

 松江市内の観光施設では、松江城や堀川遊覧船などが好調。5月以降は毎月3―5割増で推移。なかでも、「鏡の池占い」で人気を集める八重垣神社の5月の参拝客数は前年同月比119・9%増の4万6132人。単月として松江城登閣者数(4万4864人)を抜き、パワースポットめぐりを楽しむ女性客の姿が鮮明になった。

 出雲大社から車で約30分の県内最大の温泉地、玉造温泉もにぎわっている。同温泉の5月の宿泊者数は6万2666人で前年比36・4%、6月は6万4500人で同73・4%とそれぞれ大幅に増加。夏場はさらに集客したとみられ、8月の1カ月間で1万人以上を集客した旅館もあったという。ある旅館関係者は「年内はどこもほぼ満室状態。毎日、予約を断るのに大変です」と嬉しい悲鳴を上げる。

 松江しんじ湖温泉も絶好調だ。4月の宿泊者数は1万9179人で前年比80・3%、5月は2万4908人で同91・7%、6月は2万2157人で同137・3%とそれぞれ増加した。予約で溢れた分は、隣接する鳥取県の皆生温泉やはわい温泉にまで波及しているという。

 日本銀行松江支店によると、13年の観光需要増加による県内への経済波及効果は300億円弱に達すると試算し、過去10年間のNHK大河ドラマの舞台となった各県の経済波及効果の平均(約200億円)を大きく上回るとしている。13年の県全体の宿泊者数は、前年実績を51万人上回る382万人と予想。日帰り客も303万人多い2890万人を見込む。

 県の12年観光客数は2918万1357人。県によると今年4―6月は前年同期比で既に3割以上アップしているという。