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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(181)」10年越しの田園観光都市づくり(宮城県栗原市・登米市)

2020年2月24日
編集部:長谷川 貴人

2020年2月24日(月) 配信

栗原市を象徴する重厚な長屋門

 田園都市(Garden city)といえば、英国のエベネザー・ハワードが19世紀末に提唱した新しい都市づくりとして知られている。その概念を基に、10年以上も前から「田園観光都市」の地域づくりに取り組んできた地域がある。仙台近郊の宮城県栗原市である。

 ハワードの田園都市構想は、産業革命により雇用の場である都市に人口が集中し、人々は自然から隔離され、遠距離通勤や高い家賃、失業、環境悪化に苦しんでいたことが背景にあった。だから人口3万人程度の、自然と共生し自立した職住近接型の緑豊かな都市づくりが目指された。だが、日本では大都市のベッドタウンである、いわゆるニュータウン建設の口火となり、ハワードの理念とは大きく掛け離れてきたという側面もある。

 栗原市は、栗駒山麓(日本ジオパーク認定)に広々とした田んぼが拡がり、山地から流れ出る3本の河川(迫川、二迫川、三迫川)が、ラムサール条約の登録湿地、伊豆沼と内沼に流れ込む。低地には里山が連なり、その山の端に這うように農家群が連なる。田んぼにある杭がけされた稲わらは、風を通すために独特のねじりが入る(ねじりほんにょ)。秋田に抜ける街道筋を中心に500戸はあると言われる堂々たる長屋門の集積、北風を防ぐ防風林(いぐね)で囲われた屋敷、広大な田んぼを縦横に網羅する水路など、誠に日本を象徴する農村風景である。

 そんな景観が魅力的な栗原市と隣の登米市を舞台に1月下旬、「農村文明創生日本塾」(代表理事=田中幹夫・富山県南砺市長)が開かれ参加した。農村社会の持続的発展と、その手法を探る研究会である。

 研究会では、今から10年以上前に栗原市が指針とする「田園観光都市」の新たな方向性やビジョンも話題となった。その提唱者、地域プランナー・麦屋弥生さんは、計画が出来上がった2008(平成20)年に、マグニチュード7.2の岩手宮城内陸地震により帰らぬ人となった。

 彼女が提唱した田園都市づくりには、地域づくりの原点が数多く盛り込まれていた。市民が地域の魅力を理解し誇りを持って暮らすことが田園観光の原点であること、一手間掛けて田園の魅力を継承すること、受け入れの適正規模と「くりはら時間」づくり、顔の見える顧客と一緒に地域をつくりあげることなど。いずれも、地域づくりを担う「人」づくりが決め手となる。

10万羽の雁が一斉に飛立つ伊豆沼の朝

 その主体の一つである栗原ツーリズムネットワーク(大場寿樹代表)の活動や、隣の登米市で地域を巻き込んだ農村地域のマネージメント主体を目指す農業生産法人、伊豆沼農産(伊東秀雄代表)からの報告もいただいた。

 栗原市では、新年度より田園観光の新たなビジョンの策定と、アクションプログラムづくりに取り掛かる。10年越しの新たな地域の指針づくりに期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)

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