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〈旬刊旅行新聞1月21日号コラム〉日本人海外旅行者数2000万人達成 地方から海外旅行の活性化に期待

2020年1月21日
編集部:増田 剛

2020年1月21日(火) 配信

日本人海外旅行者数2000万人達成

 2019年の日本人海外旅行者数が史上初めて2千万人を達成した。日本政府観光局(JNTO)が1月17日に発表した出国日本人数(推計値)によると、前年比5・9%増の2008万600人と、旅行業界にとって長年の悲願だった2千万人の大台にようやく乗ることができた。

 
 17年3月29日に閣議決定された観光立国推進基本計画では、20年までに日本人海外旅行者数を2千万人にする政府目標を掲げたが、1年前倒しで達成したことになる。観光庁の田端浩長官も同日の会見で、2千万人達成を「国際感覚の向上や、外交関係においても重要なこと」と高く評価した。
 
 1月27日には観光庁と日本旅行業協会(JATA)が国土交通省内で「2千万人達成祝賀会」を開く。赤羽一嘉国土交通大臣も出席する予定で、観光業界の関係者とともに悲願達成を祝い、今後のさらなる飛躍を誓う会となる。
 
 19年は、元号改元によるゴールデンウイーク10連休の影響が大きかった。4月の出国日本人数(JNTO調べ)は前年同月比22・8%増の167万人と2割を超える伸び率を示した。LCC(ロー・コスト・キャリア)の浸透も、海外旅行をより身近なものに捉える傾向を強めている。さらに、年5日間の有給休暇取得の義務化も大きい。働き方改革などが進み、旅行しやすい環境が整うことを歓迎したい。
 
 一方、近隣諸国で難題も顕在化した年であった。香港の民主化を求めるデモは長期化し、今年に入っても収まる気配はない。日韓関係も19年7月に韓国向け輸出管理の見直しを行って以来、双方の交流は冷めた状態が続いている。このようななか、1年間で約113万人も増加したのは民間の努力も大きい。JATAは17年にアウトバウンド促進協議会を立ち上げるなど、海外旅行市場の活性化に取り組んできた。
 
 2千万人達成への道のりは、生半可なものではなかった。1990年に史上初めて1千万人の大台に乗った。今から30年近く前の話だ。
 
 その後、9・11の米国同時多発テロ、イラク戦争、新型肺炎SARSの発生、リーマン・ショックなどさまざまな逆風が上昇を妨げ、大枠で1600―1800万人規模の中で前後を繰り返していた。
 
 その間にも、「若者が旅行をしない」という傾向も業界内で大きな課題として取り上げられた。また、9・11後には日本人海外旅行者数の回復が他国に比べて遅れ、日本人の海外旅行市場の脆弱さが指摘されたこともあった。近年も自然災害などさまざまな困難が続いている。しかし、15年は1621万人、16年は1712万人、17年は1789万人、18年は1895万人、そして19年は2008万人と着実に上昇していることは心強い。
 
 観光業界は相互交流が大事としばしば語られる。19年の訪日外客数は前年比2・2%増の3188万人(JNTO推計値)と伸び悩んだが、20年には4千万人の達成を目指している。もしこの数値に近づくことになれば、出入国の規模は2倍に広がる。観光業界の健全な発展には、インバウンド、アウトバウンド双方が連動した活性化が不可欠だ。とりわけ地方空港から海外旅行の活性化に期待したい。
 
                                                                                                                    (編集長・増田 剛)

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