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五輪で「民泊」活用 エアビー、IOCとパートナー契約結ぶ

2019年11月19日
編集部:平綿 裕一

2019年11月19日(火) 配信

(左から)田邊氏と吉田さん

 エアビーアンドビー(米国)は11月18日、国際オリンピック委員会(IOC)と公式パートナー契約を結んだ。契約期間は2028年までの約9年間。東京五輪を含む5大会で「民泊」関連サービスを活用し、大会を支援する。20年の東京五輪では、五輪を機にイベント民泊※を始めるホストの募集、自治体との連携を強める。とくに首都圏に的を絞り、懸念される五輪期間中の宿泊施設不足を解決していく考え。

 民泊サービスだけでなく「体験」も充実させる。五輪選手らを中心とした「オリンピアン体験」をIOCと共同で始める。トップアスリートが自らゲストに体験を提供するプログラム。選手引退後のセカンドキャリア形成の場を、新たに作り上げる。

11月19日、東京・港区のスターライズタワーで開かれた会見のようす。(中央登壇者)田邉氏が説明を行った

 「いいレガシーを残していきたい」。エアビーアンドビージャパンの田邉泰之代表は、19日に開かれた会見で意気込みを語った。エアビーによると、パートナー契約により28年までに民泊ホストは数十万人規模で増える見通しだという。

 東京五輪に向け、家族連れや長期滞在する訪日客、障害者など、さまざまな施設タイプのニーズに対応するための準備を進める。

 総務省によると、18年10月1日現在で全国の空き家は850万戸近くに上る。これら空き家や空き部屋などを、イベント民泊や通常の民泊として活用してもらい、旅行者に幅広い選択肢を提供していく。

 五輪期間のために建設される宿泊施設などを減らし、持続可能な観光を促進していく側面もある。

 東京五輪期間中のイベント民泊では、とくに競技会場が集中する関東圏で、自治体と密に連携してホスト募集を進める。

 ホストになるための方法や、実際にホストを行っている人の声などを聞くことができるセミナーを開くなどする。

 田邉氏は「東京五輪中、指摘されている首都圏の宿泊施設不足に対応していきたい。数だけでなく、多様な宿泊ニーズに応えるカタチで取り組んでいく」と語った。

 民泊ホスト未経験者に対しては、「東京五輪の機会に、ホストとしておもてなしをして日本の魅力を発信する。この新しい立ち位置から東京五輪に参加してもらい、楽しんでほしい」と参加を呼び掛けた。

 すでにエアビーは大型スポーツイベントで結果を出している。

 16年のリオデジャネイロ五輪大会では、約8万5千人がエアビー使い、ホスト総収入額は約30億円だった。平昌2018冬季大会では約1万5千人の宿泊者と、ホスト収入額は2・3億円に達した。

 日本でも効果を上げた。11月2日に閉幕したラグビーワールドカップ2019の期間中、12開催地でエアビーを利用した宿泊者数は、前年同期と比べ2倍以上の37万人となった。ホスト総収入は約2倍を超えた。

 地域住民による経済活動の果実が、地域に還元される流れを生み出している。

 一方で、18年6月にいわゆる民泊法が施行された当時、騒音やゴミ出しなどで地域住民との軋轢が一部で問題となっていた。

 田邉氏は「ホストやゲストはもちろん、地域住民や自治体も含めて、みんなで喜べるようにしなければ意味がない。これまでしっかりと法令順守で活動をしてきた。今後もしっかりと正しいカタチで民泊の普及に努める」と強調した。

 このほか、今回発表された「オリンピアン体験」は、来年の夏ごろに始める見通し。

 五輪選手を中心としたアスリートがホストとなり、ゲストと共にトレーニングするといった体験の提供を想定している。

 選手にとっては競技人生におけるノウハウをもとに、直接収入を得る機会となる。

 今後、エアビーとIOCでは、アスリートが体験ホストになるための支援や研修を行っていくという。

 同日の会見では、レスリング女子で3大会連続金メダリストとなった吉田沙保里さんがゲストとして登壇した。

 吉田さんは「現役では競技に専念し、引退後に『セカンドキャリアをどうしたらいいか』と悩む人を多くみてきた。アスリートとしては活躍の場が広がり、すばらしいプログラムだ」と期待を込めた。

*「イベント民泊」とは、一定条件のもと、旅館業法の営業許可なく宿泊サービスができるもの。大規模イベント開催時など多くの旅行者が訪れる際に、行政が、住民に住宅を宿泊施設として提供要請することによって、宿泊施設の不足を補うための臨時措置

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