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「提言!これからの日本観光」 “語る(元)連絡船”

2019年11月17日(日) 配信

摩周丸

 北海道と本州の間には1988年の青函トンネル開通まで、明治時代から100年近い歴史をもつ「青函連絡船」が就航していた。同航路は明治41年から、当時の国鉄が経営。87年、JR発足とともにJR北海道に移管されて翌年に終航した。最盛期(昭和40年代)には、1日最大で3万人が乗船したほか、1日30往復の客貨船が就航し、青森―函館(北海道)間を最速3時間50分で結んだ。

 主力船の津軽丸Ⅱ型は、8千総㌧の豪華客貨船で1200人の乗客と48両の貨車を同時に運び、世界最大級の鉄道フェリーであった。同航路では1954年、台風の影響で洞爺丸など5隻が沈没。千数百人の犠牲者を出す大災害に見舞われた。その後は徹底的な安全対策を施し、世界一安全なフェリーとも言われ、終航まで安全運航を続けた。 

 現在、終航日に運航にした摩周丸Ⅱと八甲田丸の2隻が函館港と青森港で保存されている。このうち、函館港で保存されている摩周丸は函館市が所有し、NPO法人語りつぐ青函連絡船の会(白井朝子事務局長)が運営する「産業博物館」となり館内を公開している。

 船内には往時を語る複数の資料を展示。終戦当時の姿を残す船橋や機関室、船員居住区なども保存され、壁のボードには終航日の運航計画実績などが残っている。旧船室では一部の座席などが往時のまま保存・公開し、座って航海気分を味わうこともできる。

 船橋では、イベントで出航時の作業を再現、公開することもある。通路が狭いため限られた人数しか見学できないが、通路を整備し、船内ツアーができれば、今に残る広大な車両甲板など見どころ満載の生きた「産業博物館」となることが期待される。

 摩周丸は現在、国内随一の船の「産業博物館」として、夜間はライトアップされ、日本三大夜景のひとつ、“函館市の夜景”の重要なポイントともなっている。函館市を代表する(産業)観光資源としての存在感も大きい。

 今春から摩周丸が繋留されている若松ふ頭にクルーズ船桟橋を増設し、クルーズ船と摩周丸が隣接して繋留されるようになった。摩周丸はクルーズ船入港時、マストに国際信号旗UW2(ようこそ)を掲げ歓迎を始めた(昼間のみ)。クルーズ船の出港時はUW(安航を祈る)の信号旗を掲げ、長い汽笛で見送ると、クルーズ船からUWI旗(ご協力に感謝)と汽笛の答礼を返されることもある。

 また、汽笛で交歓する船もあるなど、クルーズ船と摩周丸の対話が「旗」と「汽笛」で実現するようになってきた。クルーズ船と地元代表・摩周丸の船同士の温かい対話は街の話題となっている。

 観光は住民と観光客の間によきコミュニケーションが成り立って、はじめて真の効果を発揮すると考えられるが、この「旗」と「汽笛」の交歓による観光船同士の対話の成立こそ、それを象徴するものといえよう。「産業観光資源」として今後の摩周丸の“観光立国”への新しい役割に期待したい。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏

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