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イタリア 廃村の危機から再生した理念「アルベルゴディフーゾ」を探る

2019年11月13日
編集部:増田 剛

2019年11月13日(水) 配信

ジャンカルロ・ダッラーラ氏

 日本ファームステイ協会(平井伸治会長理事)は10月28日(月)、東京都内で日伊国際農泊シンポジウムを開いた。イタリア・アルベルゴディフーゾ協会会長のジャンカルロ・ダッラーラ氏の基調講演や、パネルディスカッションを通じて、「アルベルゴディフーゾ」(分散した宿)の理念を理解しながら、日本の「農泊」の可能性を探った。

     ◇

 「観光先進国のイタリアでは、『アルベルゴディフーゾ』という新しい観光振興、地域再生の理念を推進している」――と、同協会副会長理事の皆川芳嗣氏は切り出した。イタリア語で「アルベルゴ」は「宿」、「ディフーゾ」は「分散した」を意味し、「分散した宿」を表す。

 イタリアでは、1976年に北部の村・フリウリで地震が発生。美しい村が壊れ、廃村の危機に直面した。活力を取り戻すために、地域の空き家や空き店舗など既存の施設をリノベーションし、「一つのホテル」のように運営し地域を再生していく――アルベルゴディフーゾの考え方が生まれた。大きなリゾートホテルを誘致する手法とは対極にある。

 「農泊」を推進する日本ファームステイ協会は今年7月、アルベルゴディフーゾの理念に触れるために、イタリアで実践している地域を視察した。皆川氏は「自然災害の多い日本でも、適応できるのではないか」と、全国から集まった出席者に提案した。

 10月25~26日に北海道・倶知安町で開催されたG20観光大臣会合でも、世界中の有名観光地で頭を悩ませている「オーバーツーリズム(観光公害)」についても議論された。

 「息の長い地域に溶け込んだツーリズムが大事。その意味で『農泊』に大きな可能性を感じている」と皆川氏は強調した。「農泊を推進していくことはSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも適った方策だと思っている」。

農水省、観光庁も「農泊」に期待

 同シンポには、農林水産省の江藤拓大臣がビデオレターを寄せた。農山漁村への滞在型旅行を「農泊」として推進している同省は、意欲のある515地域を農泊地域として採択し、旅行者の受入態勢の整備などの支援を行っている。江藤大臣は「地方を訪れる外国人旅行者も増えており、農泊への取り組みによって、農山漁村地域の活性化につなげていきたい」とメッセージを送った。

 観光庁も「農泊」を後押しする。2018年に地方部における外国人延べ宿泊者数は前年比17・8%増の3848万人泊。全体の宿泊者数に占める割合は4割を超えている。

 同庁観光地域振興部の村田茂樹部長は、「外国人旅行を地方部に誘客するうえでアルベルゴディフーゾの取り組みを参考にしたい」と意欲的だ。

 「古民家などを改修し、『住むように泊まる』まちづくりによって、農山漁村の魅力を体験できる」と高く評価する。「モノからコト消費が可能な『体験型観光』を推進し、日本政府観光局(JNTO)と一緒に国内外に周知していきたい」と村田部長は力を込めた。

水平方向に広がり環境への負荷少ない

 基調講演「アルベルゴディフーゾとは何か? 地域における効果と日本、世界での展開」に登壇したジャンカルロ・ダッラーラ氏は、「垂直方向に伸びる(従来型の)大規模なホテルが建てられると、村に大きな環境的な負荷がかかる。また、それら大型ホテルは村の生活からかけ離れたところに造られる」と批判的だ。「しかし、アルベルゴディフーゾはすでに村に存在する民家20~30軒を活用する。村全体に水平方向に広がっていくため、環境にも負荷が少ない」。

 旅行者はアルベルゴディフーゾの「心臓部」である受付でチェックイン後、カギをもらう。共有空間やレストランなどについて、ホテルのスタッフに説明を受ける。希望すれば部屋で朝食をとることも可能だし、清掃も毎日される。

 現在、イタリアには約100、世界には地中海エリアを中心に約300のアルベルゴディフーゾがある。クロアチアやスイス、ドイツ、サンマリノ、アルバニアにもできているという。

 ダッラーラ氏は、「一番共感し、プロジェクトを推進してくれているのが日本」と語り、「数年以内に10くらいできるのではないか」と見通す。

経済活動として雇用を生むこと

 アルベルゴディフーゾであるための最低限の要件は、①統一された経営②すでに村にある建物③住民がいなければならない――の3点を挙げた。

 統一された経営については、「投資をして起業する経済活動であり、雇用を生むものでなければならない」との考えを示した。「すでに村にあるもの」に関しては、「活用する空き家や空き店舗は伝統的なスタイルで、地域に根差したもの」とし、「これらの家々が200㍍以内にあることを推奨している」と語った。また、「生活」を売っているため、住民がしっかりと生活していることも最低条件とした。

 ダッラーラ氏は、「旅行者は“本物”を探しに来る。アルベルゴディフーゾには、大都市に行ってしまった若者たちを地元に呼び戻し、定着させる力がある」ことを強調した。

パネルディスカッションのようす。(左から)青木氏、島村氏、長谷川氏、上山氏、藤本氏

 パネルディスカッションでは、ノンフィクション作家の島村菜津氏、日本で最も美しい村連合常務理事の長谷川昭憲氏、百戦錬磨社長の上山康博氏、農協観光社長の藤本隆明氏の4氏が登壇。東洋大学名誉教授の青木辰司氏が進行し、それぞれの立場から、アルベルゴディフーゾと日本の「農泊」の親和性や、可能性などについて議論した。

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