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「津田令子のにっぽん風土記(55)」フリースクールは地域にとって重要~ 岐阜県岐阜市編~

2019年11月16日(土) 配信

共育オアシスあいぎふ自由学校の入るビル
共育オアシスあいぎふ自由学校 代表 高崎文子さん

 岐阜市の中心市街地から少し西に位置するビルにフリースクール「共育オアシスあいぎふ自由学校」がある。高崎文子さんは今年3月、高校生の衣笠弘さんらとともに同校を立ち上げ、約10人の小学生が在籍する。

 
 高崎さんはもともとショッピングセンター内のアミューズメント施設の店長を務めていた。若いスタッフと共に働くなかで、若い世代を育てることに興味を持った。「どのようにお客様と接すれば、スタッフは活き活きと働き力を発揮するか、といった視点で一つひとつ考えていきました。一番伝わりやすかったのは『人と人として接する』という言葉。いい空間といいチームができました」。
 
 一方、自分の子供を育てるなかで公教育の窮屈さを感じた。悩んだ末に退職を決め、コーチングを学び、あるフリースクールを手伝うことに。そこで衣笠さんに出会った。
 
 そのスクールが解散し、高崎さんはそこに通っていた生徒たちが週1回集まれる場を開き始めた。そのころ衣笠さんから「自分のように居場所がないと感じている子が来られる場所をつくりたい」という思いを聞き、「彼を応援しつつ、自分のつくりたい場所を実現したい」と開校を決意。「共に生き育ち育てあう」がモットーだ。
 
 岐阜市内で不登校の中学生は生徒100人当たり3・72人と全国平均より多いが、フリースクールは少ない。 あいぎふ自由学校では地道に地域での活動を行う。今年8月には市内の円徳寺で「岐阜子ども楽市楽座&ありがとう祭り」を行った。多様な学びの場の認知度を高め、売上で収入を得るだけでなく、「子供スタッフ」を募集して子供の体験の機会にもした。「旅する教室」と題し、岐阜市郊外での宿泊を伴うイベントも行う。「旅は学びが多いですが、親が忙しいなど、さまざまな事情であまり旅をしたことのない子もいます。不登校の子は修学旅行に行かないことが多い。スクールで旅をして、思い出をつくりながら学んでほしい」と語る。
 
 年明けには市内の金華山近くの古民家にスクールを移転予定だ。カフェを開業して、地域の人や子育て世代の人の癒しの場にしたいと考えている。生徒の職業体験にもなり、カフェの売上で運営を維持する。資金集めのために、サポート会員やスポンサーを募集中だ。「不登校の子たちを本当に楽しませて育てれば、まちをつくる人になっていく。地域に大きな影響を与えることが可能になると思います」と笑顔で話す。
 
 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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