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外国語ガイド人材の底上げを インバウンドガイド協会設立

2019年10月2日
編集部:平綿 裕一

2019年10月2日(水) 配信 

10月1日に開かれた会見のようす。(左から2番目)平塚氏と(左から5番目)久保氏

 訪客向け外国語ガイドの人材育成と質向上をはかるため、10月1日にインバウンドガイド協会が設立された。観光団体やガイド団体、旅行会社、地方自治体らが業界の垣根を越えてスクラムを組む。全国で講座を開くほか、外国語ガイドの新たな検定を創設する。急増する訪日客の多様化するニーズに応えるため、ガイド人材の底上げを質・量ともに推し進める。

 18年1月に改正通訳案内士法が施行され、国家資格がなくとも、有償での外国語ガイドが誰でもできるようになった。無資格ガイドの参入を促し、不足するガイドを増やす狙いだった。現状は、とくに地方部ではガイド不足が未だ課題となっている。

 「日本各地には数多くの魅力がある。しかしインバウンドが地方部に訪れるとき、言葉の壁がある。ガイド人材の育成は望まれているし、急がれてもいる」。インバウンドガイド協会の久保成人会長(=日本観光振興協会理事長)は、同日の会見で課題を指摘した。

会見で話す久保会長

 同協会としては、ガイド業務の知識・スキルの体系化や品質評価と向上を進めていく。地方部におけるガイドの質の担保はとくに注力する。地方自治体をはじめ、地域と連携したガイド育成も実施していく。

 具体的には11月に千葉県いすみ市で、12月に岐阜県高山市でインバウンドガイド講座を開く。基礎的な知識やスキルを学べる。今後は全国で年間30回ほど講座を開いていく考え。

 新たな「インバウンドガイド検定」は2020年6月に創設する見通し。検定によって、ガイド業務に求められる知識やスキルの習得を促進。習熟度を認定することで、質の向上を狙う。

 このほか、20年3月にガイド業務の入門書となる書籍の出版を予定している。仕事の流れから法令・制度、日本の行事など、ガイド業務の基礎的な内容を身に付けられるようにした。同書はインバウンドガイド検定にも対応している。

 一方で、協会立ち上げの旗振り役となったのは、外国人向けプライベートツアーを手掛けるotomo(オトモ、平塚雄輝代表)だ。19年1月からサービスを始めたベンチャー企業だが、事業はもちろん、ガイド支援も力を入れてきた。

 ただ、平塚氏は「ガイド不足と質向上は大きな課題となっていたが、我われだけでは対応しきれないことは明らかだった」と振り返る。

 ガイドの業務は、国によって異なる文化や風習を踏まえなければならない。案内する地域の歴史や魅力に対して幅広い知識が必要だ。さらにガイド中の事故や災害時の対応を含めた知識も重要になる。

 ガイド人材の育成には組織だった動きが不可欠だった。

 平塚氏は各所に足を運び、ガイド人材育成の全体的な組織が必要だと訴え、設立にまで漕ぎ着けた。協会にはJTBや全日本空輸(ANA)など大手企業も参画。会長の久保氏が席を置く日観振が後援団体になるなど、業界を巻き込んで大きな推進力を得た。

 「協会の取り組みを通じ、地方創生・観光先進国の実現に貢献できれば」と平塚氏は抱負を語った。

外国語ガイドの人材育成と、ガイドサービスの品質向上を推進

 役員、会員は次の通り。

【会長】久保成人(人日本観光振興協会理事長/元観光庁長官)【副会長】塩尻孝二郎(元外務省官房長・欧州連合代表部大使)▽ポール・クリスティ(WALK JAPAN代表/内閣府クールジャパン・アンバサダー)▽ランデル洋子(GICSS研究会理事長・通訳案内士)【理事長】見並陽一(日本観光振興協会前理事長)【専務理事】小川 正人(ANA総合研究所 取締役会長)▽吉川健一(ブリックス社長)▽坪井泰博(JTB執行役員 訪日インバウンドビジネス推進部長)【理事】國島芳明(岐阜県高山市長)【理事・事務局長】平塚雄輝(otomo代表取締役CEO)※敬称略【会員企業】otomo▽JTB▽ブリックス▽全日本空輸(ANA)【会員自治体】千葉県いすみ市▽千葉県市原市▽岐阜県高山市▽福島県南相馬市【後援】日本観光振興協会【協力】ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構▽全国外国語教育振興協会▽通訳品質評議会▽日本国際手話通訳・ガイド協会▽GISS研究会

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