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【特集No.524】 空飛ぶ車イス  「ひとりのハートが世界を変えられる」 

2019年5月31日
編集部:平綿 裕一

2019年5月31日(金) 配信

 空飛ぶ車イス社長と呼ばれる加藤健一氏(山形バリアフリー観光ツアーセンター代表理事)は日本で唯一、車イスでのバリアフリー体験飛行を受け入れている。加藤代表は21歳のときに難病の筋ジストロフィーが発病。32歳には完全に車イス生活となった。それでも前へ進み、「ひとりのハートが世界を変えられる」を理念に掲げ、誰もが楽しめるバリアフリー観光に取り組んでいる。自らが挑戦し、新たな道を拓く姿が、障害者、健常者問わず多くの人々に影響を与えている。

 【平綿 裕一】

 筋ジストロフィーは進行性の難病だ。今日できていたことが、明日できなくなる日が来るかもしれない。21歳で発病してから10年間ほどは、前に進めなかった。加藤代表は「日々何かができなくなる苦しみから、将来の不安にさいなまれていた」と振り返る。

 それでも前を向いた。2015年10月、考えられもしなかった車イスでのパラグライダータンデム(2人乗り)飛行を成功させたのは、加藤代表自身だった。

 「できないと嘆いていてもいつまでたってもできないまま。努力して物事を成したときの喜びは生きる原動力になるし、いろいろなアイデアにもつながる。これは僕たちの活動に生きているし、僕の強み。乗り越えてきたからこそ、今がある」。

南陽スカイパークで、車イスによるパラグライダー体験飛行を実際に行うソアリングシステムパラグライダースクール(金井誠代表)提供

 16年4月に同センターを設立し、車イスでのパラグライダー体験飛行の受け付けている。場所は山形県南陽市にある南陽スカイパーク。車イスでのパラグライダー体験飛行を受け入れる日本で初めてのフライトエリアだ。

 ただ、この取り組みも初めは見向きもされなかった。「気持ちは分かるが、実際に受け入れるのは大変」「そんなこと誰がやるんだ」――。イベントを開いても、1人も来ない時期もあった。「障害者側も地上でさまざまなバリアを感じていて、空を飛ぶなんて夢のまた夢だと思っていた。だからこそ挑戦しようと決めた」。

 加藤代表は取り組みを続けた。こつこつと想いを伝えた。課題となる飛行方法や受入対応、健康状態の確認など、一つひとつ潰していった。徐々に賛同者が増え、構想から1年ほどで実現に至った。

 「たった5分ほどのフライトで世界が、人生が変わる。この経験から普段の生活が変わることがある。だからこそバリアフリー観光はとても意義がある。非日常を味わえる旅での経験は、人が変わるきっかけになる」。……【全文は、本紙1755号または6月6日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

訂正 1755号(6月1日付)1面特集「空飛ぶ車イス」の記事で、内容に誤りがありましたので一部記事を修正いたします。

 山形バリアフリー観光ツアーセンター(加藤健一代表理事)は車イスでのパラグライダー体験飛行を「受け入れている」ではなく、正しくは「受け付けている」です。また、「日本で唯一」ではなく、「日本で初めて」です。7段落目については「(中略)受入対応、健康状態の確認など」が正しい表現になります。

 「車イスで空を飛びたい」という、加藤氏のパラグライダータンデム飛行の夢を叶えるために、山形県南陽市でパラグライダースクールを開いている「ソアリングシステム」(金井誠代表)が、パッセンジャー(乗客)の安全飛行のために離着陸の飛行訓練や、準備などを繰り返し行っていました。

 また、筋ジストロフィー患者による世界初のソロフライトに必要だった専用の装置も、金井氏らが開発していたという部分の視点が欠落しておりました。説明が不十分だったことをお詫びし、加筆いたします

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