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【福岡県「東峰村」の旅】日本の原風景 石積み棚田 素朴で温かな小石原焼の魅力も

2019年4月13日
九州支局:有島 誠

2019年4月13日(土) 配信

日本の棚田100選「竹地区の棚田」

 福岡県福岡市から車で約1時間20分。県中央部東端の東峰村は、2005年に小石原村と宝珠山村が合併して誕生した、人口2千人余りの自然豊かな山間の里。17年7月の九州北部豪雨では大きな被害を受けたが、現在は村が一つになり復興への活気にあふれている。素朴で温かい小石原焼や棚田の美、修験者の巨木、奇岩群と信仰など、東峰村を訪れその魅力を体感した。

【有島 誠】

樹齢600年の大王杉

 南東部が大分県日田市と接し、北に長く伸びた東峰村は、南東に宝珠山地区、北に小石原地区と分かれる。北の小石原地区には修験道の山・英彦山に入山する修験者の行者堂があり、周辺に修験者が植樹した「行者杉」と呼ばれる巨木数百本が林立し、森閑とした森をつくる。

 大部分は樹齢200年を超えるが、ひと際高く伸びる「大王杉」は樹齢600年、樹高53㍍、幹回り8・3㍍と他を圧倒する。森には、かつて豊前と筑前の国境を分けた「国境石」も残る。

 小石原焼窯元は、ここから南西部一帯に43軒が集中する。小石原焼は、高取焼から磁器、陶器と変遷して現在のカタチとなる。特徴は磁器の影響を受けた薄づくりで、縁を装飾した生活雑器。

 生乾きの生地に化粧土をかけ、ロクロで回しながら、曲がった鉋で模様を付ける飛び鉋や、刷毛や櫛、指などで模様を付ける技法で生み出す焼き物が「用の美」として評価されている。

陶工・太田さんが見事な技で器を作る

 小石原で一番古い窯元の一つ「太田窯」では、15代目の陶工・太田万弥さんが、ロクロで皿やコップ、椀など短時間に作り、刷毛目や飛び鉋模様などの技で息を吹き込む。敷地内には茅葺の古民家で、作品を展示し即売も行う。

 宝珠山地区の見どころは、隕石のパワースポットで知られる「岩屋神社」と、日本の棚田100選に認定された「竹地区の棚田」。

 岩屋神社は西暦547年に、天から降ってきた宝珠石(別名・星の玉)を、ご神体として神殿を造り安置した。宝珠とは仏教用語で、何でも願いが叶う不思議な玉という意味で、パワースポットして人気を集める。

パワースポットの岩屋神社

 神社一帯には奇岩群が林立し、神々が降臨する神聖なものとして、古くから信仰の対象となってきた。

 神社の近くには、標高250―400㍍の急斜面に、数百年の歴史の石積み棚田400枚が広がり、四季折々の表情を見せてくれる。

 6月8日には、棚田を照らす火まつり、11月上旬には石積みをライトアップする秋明かりが開かれる。

 【取材メモ】

 ◆菌床で無農薬栽培の「宝珠山きのこ生産組合」。シイタケやヒラタケなど新鮮きのこを安価で販売する。

 ◆焼き立てヤマメやナスの味噌田楽、煮しめ、こんにゃく、だんご汁など、「惣助」では豊かな山菜料理が味わえる。

 ◆東峰村をどこよりも深く案内するのが「東峰村ツーリズム協会」。会長の小野豊徳さんは元村役場職員。小石原焼窯元めぐりから花めぐり、味めぐり、トレッキングなどオーダーメードの旅ガイドを行う。災害視察も対応。東峰見聞録検索。

 問い合わせ=☎080(5275)1040。

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