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「津田令子のにっぽん風土記(47)」館山でリゾートを実現させたい~千葉県館山市編~

2019年3月16日(土) 配信

 

今年5月にリニューアルオープンする「森羅」の外観パース
株式会社こがね社長 小金晴男さん

 
㈱こがね社長の小金晴男さんは生まれも育ちも千葉県館山市。自動車会社を経て地元に戻り、白浜温泉の旅館に勤めた。営業、フロントなどさまざまな仕事をするなかで、「もっとお客様に寄り添いたい」と考え、「自分でやってしまおう」と決意する。もともと妻と義母が市内で民宿を営んでいたが、新築して1983年に「民宿こがね荘」を開業した。

 
 学生の合宿を多く受け入れていた時期もある。しかし学生たちは料理にこだわりがなく、館山の新鮮な海産物を使っても、そのよさをなかなか感じてくれない。「やりがいがない」と感じた小金さんは「宴会のついたプランで、料理をしっかりやろう」と方針転換。地元で採れる伊勢エビに目をつけ、安く提供するプランを始めると好評を得た。99年に「海の湯宿 花しぶき」を開業。現在ではこれに加え、旅館とホテルの“いいとこどり”でもてなす「たてやま温泉 千里の風」、2人旅専用のラグジュアリー空間「プライベートホテル&スパレストラン 森羅」も経営している。

 
 こがねでは「地元密着型」かつ、「観光活性化となる」経営をすることを大切にしている。例えば99年に鮨店「たてやま旬鮨 海の花」を開業したのは「お客様に館山でおいしいものを食べていっていただき、価格でも安心して自信を持って勧められる店をつくりたい」という思いからだった。「お客様に不便をさせないようにと考えています。『当社に電話一本連絡をいただければ館山の観光などすべて大丈夫』と言えるようにしたい」と小金さんは話す。

 
 こうした取り組みは地域を盛り上げることにもつながる。「1軒が失敗すると『館山はよくなかった』という印象が残ってしまう。みんなが平均点以上を取らなければ。それを続けていくことで『館山に行ってみたらよかったよ』という話が出るのではないでしょうか」と小金さん。

 
 今では館山インバウンド協議会、たてやま食のまちづくり協議会、館山新・ご当地グルメ推進協議会の会長も務めている。

 
 現在は「森羅」をさらに上質感のある空間へとリニューアル中だ。また、よりカジュアルに宿泊でき、バーベキューやグランピングなどが体験できる施設もあるといいと考えている。「ある人が『最後に残されたリゾートは千葉県の南総部』と言っていました。確かに、新たな発見ができる可能性のある場所で東京から一番近いのは、南房総の南端にある館山だと思います」。 

 

コラムニスト紹介

津田 令子 氏

 

 社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

 

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