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観光庁、シンポ開く「日本の観光、やります!」

それぞれの立場から観光を語った
それぞれの立場から観光を語った

 観光庁は11月28日、東京都内で「日本の観光、やります!」と題した観光地域づくりシンポジウムを行った。パネルディスカッションでは、橋本五郎読売新聞特別編集委員をコーディネーターに、家田仁東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授、三重県観光審議会委員の江崎貴久旅館海月5代目女将、熊本県の佐藤義興阿蘇市長、日本旅行業協会副会長の田川博己JTB社長、観光庁の久保成人長官、フリーアナウンサーの松本志のぶさんの6人が登壇。「『日本の観光』の今と未来を考える」をテーマに、お客を迎える「おもてなし」や、訪日外国人受け入れでの英語標識の促進などについて語った。
【伊集院 悟】

おもてなしと英語標識に意見

 江崎女将は「マニュアルのおもてなしでは、心が伝わらない」と話す。あるレストランで料理が遅くなった際に、ケーキをサービスされたのだが、甘い物が苦手な江崎女将は「気持ちだけありがたく」と丁重に断ったにも関わらず、店員はケーキをテーブルに置いていったという。江崎女将は「おもてなしは、もてなす側の自己満足になってしまってはいけない」と話し、形ではない「気持ち」の重要性を語った。また、おもてなしが個人のスキル任せになっていることを指摘。「気づく人は気づくが、気づかない人は気づかないというバラつきが出ている」とし、おもてなしを「組織としてのスキル」にする必要性を語った。さらに、旅行会社と顧客が発地で決めたことを現地で細かい修正ができるようにしておくことが大切と、「発地側と着地側の連携」を課題にあげた。

 田川副会長は、組織的におもてなしができている例に加賀屋をあげ、「トップのポリシーが重要」とした。また旅行者のリピーター化の理由に、以前は「おいしい食事」や「人との出会い」があがっていたが、直近の調査では「自分が大切にされたこと」がトップとなったことを紹介した。

 松本さんは、実家の浜松市が「あいさつ運動」を実施していることを紹介。帰省時に、多くの見知らぬ小学生からあいさつをされ、自分がその土地に受け入れられているという温かい気持ちになったという。「観光業者からの歓迎は当然に感じるが、地元の人たちから話しかけられ歓迎されると満足度が上がる」と語った。また、家田教授はキヨスクでの体験をもとに「イレギュラー時にどう対応できるか」がおもてなしのポイントになると話した。

 訪日外国人の受入環境の整備促進が求められているなか、英語標識についても多くの意見があがった。家田教授は東京都内でも駅などで臨時案内などの英語標識がないことを指摘した。

 一方、松本さんは交通機関などでの英語標識の重要性を認めたうえで、日本人の生活や文化を楽しむ際は、日本語でのやり取りをすすめる。「外国のレストランに入り、外国人用のメニューを渡されるとガッカリしてしまう。言葉が分からなくても、その土地の人と触れ合いながら、同じ体験をしたい」と自身の経験から語った。「言葉が分からなくても、一生懸命伝えることが一番大切」。

 田川副会長はダボス会議でのTTCIレポートから観光分野の国際競争力ランキング2013を紹介。日本は11年の22位から躍進し、インバウンドのライバルである韓国を大きく上回る14位となったが、親近感を示す観光受容度では74位と著しく低かった。「顧客対応のレベルは世界一高いが、外国人歓迎度が低い」「商用+αでの滞在延長の奨励が低い」などの指摘を報告。海外では国際会議への夫婦参加が奨励され、会議後に観光をして帰国するのが一般的だが、日本へ来たビジネス客は会議後にすぐに帰国してしまうのが現状だ。「東京五輪までの7年間で、ビジネスで訪れた外国人をいかに観光させ、地方へ送り出し地方の魅力を見せるかがポイント」と話し、そのための「発と着の連携」の重要性を強調した。また、東京五輪に向け、バリアフリーについても提起。ロンドン五輪では石畳が文化財にあたるためバリアフリー化できなかったことを紹介し、英国のブレア首相から、「五輪までにバリアフリー化ができれば、日本は世界一の街になれる」と背中を押されたことを明かした。

 久保長官も「家庭でお客様を迎える際は玄関をキレイにする」と話し、国の玄関口である空港での手続きの利便性向上などに、他省庁と連携して取り組んでいくという。東京五輪に向け、文化庁と協定を結んだことを紹介。五輪憲章で謳われる文化プログラムに地方を含む日本全体で取り組み、その勢いを東京五輪に持ってくる考えを明かした。

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