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「観光革命」地球規模の構造的変化(207)文化財保護法改正と観光振興

2019年2月2日(土) 配信 

(画像はイメージ)

文化財保護法は、日本における文化財の保存と活用並びに国民の文化的向上を目的に、1950年に制定された。その前年に法隆寺金堂で火災が起き、極めて貴重な金堂壁画が焼損したことをきっかけにして、議員立法で制定された法律だ。そのあとに時代の変化に合わせて何度も法律改正が繰り返されてきたが、昨年6月に重要な改正が行われ、今年4月に施行される。今回の文化財保護法改正は地域の文化観光に大きな影響を与えるので、詳しく取り上げたい。

 今回の法改正のポイントはいくつかある。①地域における文化財の総合的な保存・活用(都道府県は文化財の保存・活用に関する総合的な施策の大綱を策定、市町村は大綱を勘案して「文化財保存活用地域計画」を策定)②個別文化財計画の推進・民間団体の活用③首長権限の強化(条例によって文化財保護事務を従来の教育委員会所管から地方公共団体の首長部局所管へ移管できる)――など。

 法改正で今後、数多くの市町村で首長権限の強化がはかられる。結果として、文化財行政と観光行政、まちづくり行政などが一体的に推進しやすくなる。ただし文化財を軽々に扱うケースも生じるので、新たに地方文化財保護審議会を必置して、首長による暴走を監視することになる。

 文化庁予算は長らく1千億円程度であったが、19年度予算は1330億円に増額される。18年度予算は1077億円だったので前年度比23・5%増だ。しかも観光関連の予算が増やされている。例えば「文化財を活かした観光戦略推進プラン」には155億円が配分される。具体的には、文化遺産総合活用推進事業(約21億円)、日本遺産魅力発信事業(約14億円)、博物館を中核とした文化クラスターの形成(約14億円)、観光拠点形成重点支援事業(約4億円)など。

 安倍政権は17年に閣議決定した「骨太の方針」のなかで、文化芸術・観光・産業が一体となって新たな価値を創出する「稼ぐ文化」への展開を打ち出しており、文化芸術資源の一層の活用によって経済波及効果を生み出すことが国家戦略になっている。

 文化芸術資源のすべてが市場原理主義に適合するわけではないが、安倍政権が続く限り「稼ぐ観光」と「稼ぐ文化」の融合が重要であり続けるだろう。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

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