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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(96) 人が集まる職場づくり 「サービス業の価値は」

2019年1月5日(土) 配信 

冷蔵庫でお預かり(画像はイメージ)

 サービス業の価値は「人」で決まります。人を育てるには、時間もコストもかかりますが、人に依存するビジネスも、働き方改革によって難しい時代になってきました。ただ、これを言い訳に人を育てることから逃げてはなりません。

 先日に伺った旅館では、人が価値を創造すると強い決意を持ち、大卒の仲居さんを積極的に採用して、この10年間で平均単価を2倍にしました。しかも、採用エントリーは5―10人に対して、250―300人の応募があったということです。人が活躍できる環境を創造できれば、働きたい人を集めることはできるのです。

 先日、東京でのセミナーを終えて帰阪するときに、スタッフが東京駅で土産品を買いました。冷蔵だったので、帰りに必要な時間の保冷剤をお願いし、新幹線の出発までの待ち時間で、他の店も見て回ろうと考えていたとき、店員から「もしほかに行かれるのでしたら、お帰りまで冷蔵庫でお預かりしましょうか」と、驚くような提案をしてもらったそうです。

 2、3時間の保冷材は無料で、それ以上は有料が普通です。保冷バッグも有料です。この店もそれは同じようでしたが、一旦買った商品を、店で預かってくれることは、ほかではありません。

 仮に、預かりをお願いしても、まず断られます。ただお客様は、まずお目当てのものを買って、残りの時間でほかに良いものがないかを探したいのです。ほかを見ていて、時間が無くなり、お目当てを買えなくなることだけは避けたいわけです。

 だから、冷蔵品と分かっていても、重い荷物とともにそれを持って、他の店を見て回っているのです。このお店の店員は、お客様が自社の商品を一番に買ってくれるうれしい想いを受け止めて、提案をしてくれたのです。

 「そんなことをしたら、冷蔵庫がいっぱいになってしまう」「取りに来られなかったらどうしよう」「忙しいときに取りに来られても困る」「取り間違えてお渡ししてしまったら…」など、私たちも同様に起こるかもしれないリスクを一生懸命に考えて、手間の掛かることから逃げようとしていないでしょうか。

 やると決めて、リスクに対応する術を考えた方が楽しいのではないでしょうか。ビジネスの目的は、創客にあります。一瞬の出逢いであったとしても、その出逢いの中に感動を創り出せれば、またあなたに逢いたいという方を呼び寄せることができるのです。

 こうしたお客様を創り出していくために、不満を与えないそこそこの満足度を提供するより、一度の出逢いで次の来館を決定づけるようなサービスを考えて実行する「考動」できる環境が、働きたい職場を生み出すものなのです。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

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