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〈旬刊旅行新聞12月11・21日合併号コラム〉2018年の観光業界を振り返る 日本が抱える課題に現場が直面した年

2018年12月13日
編集部:増田 剛

2018年12月13日(木) 配信 

2018年の観光業界を振り返る

早いもので2018年の最終号となった。6―7面では、本紙の見出しと写真で18年の観光業界を振り返った。

 何といっても、自然災害が相次いだ年という印象が強い。1月には群馬県で草津本白根山の噴火に始まり、6月には大阪府北部地震、7月の西日本豪雨は平成史上最悪の豪雨被害となった。夏は40度を超える酷暑が日本列島を襲った。

 9月には台風21号が直撃し、記録的な高潮により、関西国際空港が水没した光景は衝撃を受けた。その直後に北海道胆振東部地震が発生。秋の観光シーズンを迎えた北海道観光に深刻な打撃となった。国内主要空港である関空と新千歳空港が同時に閉鎖され、訪日外国人旅行者にも大きな混乱を与えた。

 この時期は、観光業界の誰と話しても、災害の話ばかりだった。そんななか日本という国が満身創痍になりながらも、復興への意志の強さを感じた。旅行業界も被災地の早期復旧や需要回復に向けたツアーを企画し、支援に動いた。

 これら災害が相次いだこともあり、9月の訪日外国人旅行者数は、前年同期比5・3%減の216万人と、5年8カ月ぶりに前年を下回ることになった。逆に考えると、6年近くも長期間にわたって、訪日外国人旅行者数が成長し続けてきたことにも驚いた。 

 18年は訪日外国人旅行者が初めて3千万人を突破する節目の年になるが、オーバーツーリズム(観光公害)という新たな問題が各地で顕在化してきた。

 少子高齢化が進み、生産年齢人口(15―64歳)の急速な減少と表裏して、外国人旅行者の激増に伴い、国際化への対応が迫られている。こうした日本が抱える課題に観光業の現場が直面し、さまざまな法整備が行われた年でもある。

 4月11日には国際観光旅客税法が成立し、19年1月7日から日本を出国する人に1千円が徴収される。

 6月15日には民泊法(住宅宿泊事業法)が施行され、宿泊業の多様化が一気に進んだ。

 12月8日には改正入管法が成立。外国人労働者の受入拡大が加速していくだろう。

 サービス産業の現場では、「生産性向上が喫緊の課題」と言われ続けている。また、AI(人工知能)の話題も業界を席巻した。AIと人間の能力の比較をテーマとしたセミナーが観光業界でも開かれた。AIに対する不安がある一方で、「人によるサービスの価値」を再認識する機会が数多くあった。

 世界に目を向けると、北朝鮮の脅威が続くなか、6月にはシンガポールで米朝首脳会談が開かれるなど、東アジアを取り巻く情勢は目まぐるしく変化している。覇権を争う米中の対立が苛烈化し、日韓関係の悪化も深刻化している。国家間の関係は、観光動向にも強く影響する。“観光制裁”といった動きも見据えなければならない。

 12月3日には、「2018ユーキャン新語・流行語大賞」も発表され、大賞はロコ・ソラーレ(女子カーリング)の「そだねー」だった。思えば、随分前の出来事のような気がするが、平昌冬季オリンピックや、ロシアでのサッカーワールドカップ大会も開かれたスポーツイヤーだった。最近では、「平成最後の○○」という言葉を、巷間でしばしば耳にする。平成最後の年の瀬を悔いなく過ごしたいと思う。

(編集長・増田 剛)

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