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一休、尖ったビジネスで成長 富裕層に特化し続ける

2018年11月2日
編集部:飯塚 小牧

2018年11月2日(金) 配信

榊淳社長

一休(榊淳社長)(※榊社長の正式表示は「木示申」)は10月17日、東京都内で初めて報道関係者を対象にした戦略発表会を開いた。創業20周年を機に、現状の取り組みを榊社長はじめ、4事業の責任者が説明した。榊社長は「我われは尖ったビジネスで成長してきた。これからも富裕層のニーズに特化し続ける」と述べ、改めて同社の「こころに贅沢させよう。」のコンセプトのもと、事業展開をしていくことを強調した。

 2015年のヤフー子会社後の取扱高は非公開だが、公開最終年度の15年度の取扱高は約500億円。榊社長は「16年から17年の取扱高は45%伸びた。Eコマース事業で、この伸長は著しい」と自信を見せる。現在、宿泊事業とレストラン事業、バケーションレンタル事業、スパ事業の4つを展開しているが、宿泊事業の再成長とレストラン事業の急伸が全体の伸びを牽引している。

 宿泊事業は2000年から高級宿泊施設の予約サイト「一休.com」を展開。07年の東証1部上場後、11年まで伸び悩みを経験したが12年からは順調に右肩上がりを続けている。

 その要因について、「富裕層にフォーカスしたサービスを展開してきた結果、これまで利用されていたお客様の利用額が拡大した」と説明。顧客の年間利用金額の推移を見ると、10年から17年比で年間200万円以上利用する顧客が10倍、80万円~199万円の顧客は5・3倍、40万~79万円の顧客は3・7倍と、金額が大きい顧客層ほど伸びているのが特徴だ。

 「オンラインの宿泊予約市場の成長は年率8~10%ほど。我われの伸びはこれよりもかなり高く、シェアを取りにいっている傾向にある」と分析する。一方、06年から開始したレストラン事業は、オンライン予約市場の拡大に伴う成長を目指している。「飲食のオンライン予約市場は宿泊の10年遅れといわれている」とし、ようやく市場の盛り上がりが出てきたことから、近年は順調に数字を伸ばしている。

 また、ヤフーとの連携は、販売面はまったく別に行いながら、一方でヤフーからの送客分が純増している状況だ。「一休のブランドやカルチャーを維持しながら、理想的なM&Aが実現できている」と自負した。今後はデータ連携を強化していきたい考え。ヤフーIDでの一休へのログインが増えているため、ヤフーの検索履歴などを活用することで、より明確な顧客像を読み取ることが可能になると期待する。

一休のみの販売展開差別化で富裕層受け

栗山悟本部長

 執行役員の栗山悟宿泊事業本部長によると現在、一休.comはカジュアルな「キラリト」や「ビジネス」など各ブランド合わせて約5千の宿泊施設を掲載。そのなかでも最高級の宿を「一休Plus+(プラス)」というカテゴリーで括る。軒数は約100軒で、国内OTA(オンライン旅行会社)では一休のみでしか予約できない宿もある。「オンライン予約をしていない宿を除けば国内の超高級宿の99%をカバーしている」(栗山本部長)。

 高額利用者が伸びている背景については、会員サービス「プレミアムサービス」を挙げた。利用金額が多いほどステータスが上がり、最高位のダイヤモンド会員は、客室のアップグレードやレイトチェックアウトなどのサービスが無料で受けられる。「高級な宿をよく利用する人は〝自分だけ特別〟という対応を求めている」とした。ダイヤモンド会員数は年々伸長しており、会員の年間平均利用金額は約100万円。「年間2千万円以上利用する会員も珍しくない」と述べた。

 ダイヤモンド会員に好まれる旅館は「高級で広く、露天風呂付き、部屋食で一歩も外に出なくても楽しめる〝おこもり系の宿〟」。旅館をよく利用する顧客の声として「別荘をいくつか持っているが、料理を作るのが面倒だから一休で料理の美味しそうな宿を探し、ほぼ毎週末10万円以上の宿に宿泊している」という実情を紹介した。

 今後の展開として、施設数の拡大は頭打ちだ。「ほぼすべての高級宿は網羅している。スモールラグジュアリー系の旅館は増えているので、我われのビジネスモデルと合致すれば契約するが、6千まで増えるという規模感ではない」(栗山本部長)。カジュアルブランドの展開による顧客幅の拡大も否定する。幅広い価格帯をそろえているのは、従来の顧客が必要とする場合があることを想定してのことだという。

 あくまで国内の富裕層にターゲットを絞る同社は、ニッチな需要に特化し続けることで、既存市場でのシェア拡大をはかっていく。

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