test

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(94) プラスの言葉のチカラ 「淹れ立てのコーヒー」

2018年11月3日(土) 配信 

飛行機で飲むコーヒー(画像はイメージ)

 航空会社の研修中に、オブザーバー参加のスタッフから「ちょうど今、話し合ってもらっている件で、お客様の声がメールで入りました」と、報告されました。それは「淹れ立てのおいしいコーヒーをすぐにお持ちいたしますね」というキャビンアテンダントの声を「うれしく思いました」という内容でした。

 これは、ドリンクサービスの途中でコーヒーがなくなったときに、研修に参加したCAがお客様に発した言葉です。今までだと、「申し訳ございません。あいにく今、コーヒーを切らせてしまいましたので、しばらくお待ちいただけますか」というのが通常でした。

 研修で伝えたことは、何気なく使っているマイナスのイメージを持つ言葉に気を付けようというものでした。この場合は、「申し訳ございません」「しばらくお待ちいただけますか」が、それにあたります。

 何にでも、「申し訳ございません」と謝罪を言えばよいのではない。「しばらく」という言葉を添えたとしてもお待ちいただくことは変わらない。このマイナスのイメージをお客様に残す言葉を「プラスの言葉」で伝えよう、と研修をしました。

 お客様を幸せな気持ちにするためには、コーヒーがちょうど切れてしまったという事実は変えられなくても、それを伝える言葉でお客様の気分を変えることはできるのです。その1つの成果として、お客様がその言葉に感動し、「いただくコーヒーが楽しみになった」と本社に手紙をくださったのです。

 この半年くらい、機内で耳にする「お客様が指定されているお座席に着席していることを確認してから出発します」というフレーズに、非常に違和感を覚えました。「今のアナウンスはおかしくないですか」と何度か聞きましたが「申し訳ありません」と返すだけで修正はありません。

 しかし2度だけ、これが正しいのではという方がいました。「着席されていることを確認して…」。

 マニュアルを覚えるだけでも新入社員にとっては大変な仕事です。一生懸命に取り組む姿勢は尊いものですが、マニュアルの言葉だけではいけません。伝えたいことが相手に伝わることが大切であり、そのためには違和感なく受け止めてもらえる言葉を選ばなければならないのです。

 マニュアルで、ほどほどに実行できる人を育てようと企業側が考えてしまうと、「考動」できないスタッフを創り出してしまいます。考えて行動する思考を持ってもらうには、普段から何気なく使う言葉に、関心を寄せるクセをつけさせることが大切です。美しい日本語も大切ですが、プラスの言葉を使えるような研修を実行してください。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。