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「提言!これからの日本観光」 〝観光のリニューアルを〟

2018年10月15日(月) 配信

日本人は小、中、高校の修学旅行への参加を通じて国内の主な観光地にはほとんどの人が訪れているといっても過言ではない(写真はイメージ)

観光立国」の旗印のもと、国を挙げて観光促進に取り組みはじめて10年余りが経過した。その間、近隣諸国の経済成長などの追い風を受けて外国人観光客の急増をはじめ、国内の主な観光地にもにぎわいが戻ってきた。外国人客は国の目標2千万人を達成、目標をより高めて、2020年4千万人を目指すが、昨年既に2894万人に達し、目標達成は射程距離に入ったとみられる。
 
 観光客が増加することは当然のこととしてリピーターの増加を伴う。国も2020年の観光目標値のなかに外国人客リピーター数を掲げるほどである。また、邦人観光客についても日本では「修学旅行」の慣行が定着しており、小、中、高校いずれも9割台の高い実施率である。いわば日本人は小、中、高校の修学旅行への参加を通じて国内の主な観光地にはほとんどの人が訪れているといっても過言ではない。しかも何度かの観光ブームの時代を体験していることからみても京都、奈良などの代表的観光地での邦人観光客はほとんどがリピーターといっても過言ではないと思われる。
 
 観光地を訪れる人にとって、観光対象の価値は当然その地への訪問を繰り返すことに応じて、低減していくことはいうまでもない。したがって、ともすれば、観光がマンネリ化して魅力を失い観光客の減少につながっていくことは避けられない。年間2千万人の入場客のある東京ディズニーランドは9割がリピーターである。なかには年に数回訪れる人も少なくない。それは同施設が巨費を投じて、大規模な施設のリニューアルを毎年進めており、いつ、訪れても何かそこに新しさがあるからというのがその理由と聞く。これから日本の観光を持続的に発展させるためには、リピーター対策こそ急務と考えられる。それには、新しい観光資源の開発が求められるが、新資源開発は簡単ではなく、限度がある。したがって、リピーター対策としては資源を磨き上げることがまず、必要である。さらに観光資源に接する視点を変えて、また、観光手法を変えることによって、対象資源から新しい魅力を発見することが必要であり、そのような「新しい観光」の提案と情報発信が求められる。テーマ別観光として普及している「産業観光」についても日本観光振興協会などで新手法として開発提案を行うこととなった。
 
 例えば①国際会議等の大規模会議と連携してそのプログラムに「産業観光」を織り込み、即ちMICEの一環としての展開を提案する。産業観光の中心となる②工場工房訪問について申込みから訪問までの手続きのシステム化とワンストップ方式の採用を進め参加しやすくする③長期滞在型の農業体験などの新プログラムの開発促進――などを予定している。このように現時点までの観光の実態、ニーズの反省、分析に立って、各分野にわたる全面的な「観光のリニューアル」をはかることが「観光立国」を持続、発展させるために急務と考えられる。

 

須田 寛

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏

 

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