【特集No.502】JNTO・清野理事長に聞く 訪日4000万人、消費額8兆円へ
2018年9月11日(火) 配信
日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は、2020年における訪日外客数4000万人、訪日外国人の旅行消費額8兆円とする政府目標の達成に向けて、さまざまなプロモーション事業を展開している。訪日外客数が急拡大する一方で、2次交通の課題や、オーバーツーリズムへの対応も求められている。海外拠点の戦略や、MICEの誘致拡大への受け皿づくり、東京オリンピック・パラリンピックに向けたJNTOの役割など、清野理事長に聞いた。
【増田 剛】
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――急拡大しているインバウンド(訪日外国人旅行)市場をどのように捉えていますか。
東日本大震災が発生した2011年の訪日外客数は622万人まで落ち込みましたが、翌12年には836万人まで回復しました。
そこから17年は2869万人と、5年間で約3・4倍になりました。これは驚異的な数字です。逆に言えば、それまで日本の観光が海外市場にあまり開かれていなかったということだとも思います。
日本全体が人口減少時代を迎え、観光交流、とりわけインバウンドの重要性が高まり、政策の大きな柱として認識されるようになりました。ビザの緩和や、免税制度の拡充などもはかられ、とくに東南アジアや中国からの旅行者が拡大してきました。
国際収支においては、インバウンドによる消費額拡大は輸出額の増加と同じであり、地方創生や日本経済の活性化にとって、観光がとても大事な要素になってきています。
――20年に4千万人が目標ですが。
訪日外客数が堅調に推移してきているなか、目標達成に向けて引き続き努力していきます。
――欧米豪の富裕層の取り込みに向け、今年から「Enjoy my Japan」グローバルキャンペーンも展開されています。
20年までに訪日外客数4千万人とともに、その消費額8兆円という、もう一つの目標があります。
現状では訪日外客数のうち、アジアからが約85%を占めます。近隣諸国との双方向の交流は今後も拡大していくはずですし、またそうしなければなりません。
一方で、欧米豪などからの旅行者は、比較的長期にわたって滞在する傾向があります。今後、これらの市場からのお客様をさらに伸ばしていくことが必要です。これによって訪日外客数だけでなく、17年には4・4兆円だった消費額の拡大も目指します。
海外には頻繁に旅行しているものの、日本を旅行先として認知・意識していない層を主なターゲットに、伝統文化に留まらない日本の多様な魅力を発信する「Enjoy my Japan」グローバルキャンペーンをスタートさせました。
日本の豊かな自然や、アクティビティなどのさまざまな魅力を知っていただき、満喫できるストーリーを提示していくことが重要です。……
【全文は、本紙1724号または9月18日以降日経テレコン21でお読みいただけます。】