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復興進むいわき、福島県が視察会実施

2012年4月1日
編集部

 東日本大震災から1年が経過した3月、福島県は首都圏の旅行会社の担当者を対象に、県観光の風評被害を払しょくし、正確な情報を伝えることを目的とした視察研修会を開いた。今回は「中通り・いわき」、「白河・会津」の2コースを企画。3月14日から2泊3日で開かれた中通り・いわきコースに同行した。

【鈴木 克範】

≪誘客事業も強化≫

<最後の海獣が帰還>

 東日本大震災の津波被害を受けたアクアマリンふくしま(いわき市)は、開館11周年記念日となった昨年7月15日、いち早く再開を果たした。全国の動物園や水族館が海獣たちの受け入れに協力し、さらには新たな展示生物を提供したことが、復興を力強く後押しした。

 ゴマフアザラシの「くらら」が避難先の鴨川シーワールドで出産した子供は「きぼう」と名付けられ今、元気な姿で来館者を迎えている。3月21日にはトドの「フク」が避難先から戻り、すべての動物の帰郷が完了した。

 当初からシーラカンスの生態解明に力を入れ、解剖標本や稚魚の水中映像などを公開している。シーラカンスのキャラクター「権兵衛(ごんべえ)」の人気も上々とか。
 

<きづなテーマに再開>

 いわき市のスパリゾートハワイアンズは2月8日、「きづなリゾート」を新コンセプトに約11カ月ぶりに全館で営業を再開した。

 震災前から建設を進めていた120室、500人収容の新ホテル「モノリス・タワー」も同日開業した。

 メイン施設の大型屋内プール「ウォーターパーク」が復旧し、連日子供たちの歓声でにぎわっている。「きずなキャラバン」として、全国公演を続けてきたフラガールたちも本来のステージに戻り、熱のこもったポリネシアンショーを披露している。

大勢の観客を前に華やかな舞台(ハワイアンズ)
大勢の観客を前に華やかな舞台(ハワイアンズ)

 施設を運営する常磐興産は、3年後の2014年に震災前の年間来館者(日帰り145万人、宿泊40万人)に戻す計画を掲げている。

<いわき沿岸の被災地>

 美空ひばりさんがレコーディングした「みだれ髪」のモチーフになった塩屋埼灯台周辺は、いわき市内でも津波被害が大きかった。灯台に向かう道路沿いは、建物の基礎を残すだけの光景が続く。そんななか、みだれ髪の歌碑前にある「山六観光」は昨年末から物販営業を再開した。店舗内には被災当日、売店の使い捨てカメラで撮影したという写真が展示されている。団体客などからの要望で「当時のようすを説明させていただきます」(同店)。今回昼食で訪れた「丸克商店」(小名浜)や「アクアマリンふくしま」なども、写真や映像で被災時のようすを伝えようと取り組んでいる。

発災時の状況を説明(山六観光)
発災時の状況を説明(山六観光)


<春の訪れは間近>

 県下で桜の名所として名高い三春町の「滝桜」。ベニシダレの一本桜で国の天然記念物の指定を受けている。今年の観桜期間は4月6日から5月6日(開花状況により変更)。4月14日から同22日は午後6時から9時までライトアップも行う。

 このひと月に例年30万人が訪れるという人気スポットだ。混雑が予想される週末には駐車場からの無料シャトルバスや、JR三春駅からの臨時バスも運行する。観桜料は1人300円(中学生以下無料)。

 滝桜と合わせて、旅行商品の目玉となるのが福島市内の「花見山」。私有地を花見山公園として開放しているが、今年は樹木養生のため、立ち入り規制が行われている。周辺散策は可能だが注意が必要だ。詳細は花見山コールセンター(電話:024―526―0871)へ。
 

<県の誘客対策>

 福島県は5月27日まで、体験型の宝探しゲーム「リアル宝探しイベントin福島コードF―2」を7温泉地で実施している。昨秋、約2万人を集めた人気企画の第2弾。今回は3万5千人の参加を目指す。宝の地図の暗号を解きながら県内各温泉地に隠された宝箱を探す仕組みだが、「難しい点が奏功し、人気を集めています」(県観光交流課)。新年度事業では磐梯吾妻スカイラインなど観光有料道路3ラインの無料開放、旅行会社と連携した誘客事業なども実施する。

宝探しゲームを解説(飯坂温泉・旧堀切邸)
宝探しゲームを解説(飯坂温泉・旧堀切邸)

 原発事故への不安に対しては、正確かつ最新の放射線情報を県ホームページのトップ画面から提供している。客観的な事実を伝え、最後は個人の判断に委ねるのが現状だ。そんななか、明るい話題もある。震災後1年を機に、台湾から福島県への渡航自粛勧告が解除された(東京電力福島第一原発の半径30㌔圏内は除く)。「見て、感じて、知って」もらうことが、風評被害克服への最大の支援になる。今後も正確な情報発信や誘客事業に力を入れていく。

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