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〈旬刊旅行新聞7月21日号コラム〉西日本豪雨 「フェーズフリー」で命や生活を守る

2018年7月20日
編集部:増田 剛

2018年7月20日(金)配信 

「いつもともしもを、もっとフリーに」がフェイズフリーの考え方

西日本豪雨による死者は200人を超えた。大きな災害に遭われた被災者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 岡山県倉敷市真備町では、堤防の決壊によって地域の約4分の1が浸水した。全国各地で河川の氾濫や、土砂崩れなど大変な被害が連日報道されている。

 豪雨のあとには、40度近い猛暑が日本列島を襲い、被災地支援に訪れたボランティアの方々も熱中症によって救急搬送されるケースも増え、過酷な状況にある。       

 この猛暑のなか、被災者には、まず飲料水や食料が必要である。感染症や食中毒から守る衛生用品も不可欠である。

 避難場所である体育館での生活は、プライバシーの確保も難しい。被災者には入浴ができる環境が望まれる。

 岡山県旅館ホテル生活衛生同業組合では被災者に大浴場を無料開放したり、受け入れも積極的に呼び掛けている。地域が被災したとき、さまざまな専門分野で活動している人たちが、地元の被災者を助ける姿には胸を打たれる。「旅館やホテルは遠くからの旅人を宿泊させるだけでなく、地域とともにある」ことを示されている宿の経営者らに敬意を表したい。

 防災工学の専門家で、スペラディウス代表の佐藤唯行氏は、「『災害』は『危機(ハザード)』と、その危機に対する『社会の脆弱性』が重なり、人や建物が被害を受け、生活が脅かされること」――と説明する。私たちはいつも日常と、非日常(災害時)の2つの時間(フェーズ)に分けて考えがちだ。そして、突然訪れる災害時に準備していた防災グッズをすぐに活用できるとは限らない。

 そこで、佐藤氏は「日常時だけ、あるいは非日常だけにしか使うことができないモノやサービスよりも、両方のフェーズで便利に活用できる「フェーズフリー」によって、時間的な制約を取り払い、未来の命や生活を守るための新しいアイデアを提案している。

 例えば、子供のランドセルは軽量で大容量なので、水に浮くことが可能。浸水時には浮き輪代わりになる。ポンチョは災害時には風雨を防ぐだけでなく、屋外でポンチョの中で着替えや、用を足すこともできる。PHV(プラグイン・ハイブリッド・カー)は停電時には家の電源に早変わりする。ガソリン補給ができなくても、残りの分である程度の走行距離をキープできる。アウトドア活動を趣味にしている人は、災害発生時に屋外で調理をしたり、居住スペースを作ったり、安全を確保することが可能である。

 旅館やホテルは飲料水や食料、大浴場などを備えている。災害時には、困った被災者の受け入れ施設として活用することも、フェーズフリーの代表的な考え方だ。

 今年6月の悲惨な事件が発生した後に、多くの人は新幹線の座席を外すと楯として使えることが分かった。車が水没し、ドアが開かない状況では、シートのヘッドレストを取り外し、支柱の金属部分で窓ガラスを割って脱出する方法もメディアの紹介で知った。

 生活者も旅行者も、いつどこで災害に出遭うか分からない。佐藤氏が提唱する「いつもともしもを、もっとフリーに」のフェーズフリーの考えが社会に広く浸透してほしい。日常的に使っている身の回りのモノを、非常時に役立てる“直感”も磨きたい。

(編集長・増田 剛)

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