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「街のデッサン(207)」低速電動バスMAYUが世界を席巻する日 「スロー観光」が楽しい

2018年7月7日
編集部

2018年7月7日(土) 配信

MAYUバスと運営会社清水社長がゆく

「MAYU(まゆ)」という愛称のいかにもかわいらしい電気自動車(バス)に乗せてもらった。

 初夏の爽やかな風のように、ゆっくりとした速度で群馬・桐生の街と古民家と郊外の古刹を巡る小さな旅である。10人乗りのボックス型電気自動車は速度が最高でも19㌔。ときどき道の傍に留まるのは、後ろから追いついてくる自動車や自転車に追い抜いてもらうため。先を急がない哲学が、このスローモビリティを旨とする自動車の信条で、街の風景も歩いている人様も、のこぎり屋根の織工場や自然の中に埋もれて建っている寺院も、これまでの観光シーンとはまったく違って心の中に悠然としみ込んでくる。

 ああこれは、スローツーリズムという新しいカテゴリーの旅が存在するんだ、と私には思えた。

 現代は、スピード過剰の時代。あらゆるものが、早く早くである。飛行機や自動車のような乗り物だけでなく、企業、産業の商品開発もスピードが勝負。Eコマースも通販も、ネットで注文すればその日のうちに届くといった具合。問題なのは、このシンギュラリティ(技術特異点)と呼ばれる時代にAI技術の幾何級数的な進展に多くの人々が追いついていけなくなる「文明クライシス」が起こるのではないか、ということだ。実際に、パソコンができずスマホを持たない人々にとって、生きづらい社会が生み出されている。

 桐生のMAYUプロジェクトは、桐生市の地域の経済・産業、それに織の都市が培ってきた地域文化の再興を目指して、地元の中小企業や大学に市民、そして行政、会議所などコミュニティセクターが知活(知恵の出し合い)連携して挑戦してきた事業である。具体的には、桐生再生やシンクトゥギャザー、群馬大学理工学府、桐生市、桐生商工会議所らが生み出した、コラボ産業だ。

 MAYUバスを運営しているのは桐生再生で、社長の清水宏康氏にバスに同乗してもらい、ゆったり揺られながら話を聞いた。その要諦は「桐生市では産業技術が多数の地元中小企業に集積し、その技術文化環境で育ってきた若手市民ベンチャーの叡智を生かし、群大理工学府と連携して観光や地域福祉に役立つ市民事業としてスタートした。

 スロー社会の先取りは、実は新しい文明の中核技術や産業になるでしょう」。MAYUバスは観光だけでなく、本領は高齢化したコミュニティの人々の生活基盤(インフラ)だ。すでに海外からも注文があり、有力な輸出製品にもなる。桐生という地方都市から途轍もない構想が生まれていることに感動した。

(エッセイスト 望月 照彦)

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

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