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【「空」の松村代表に聞く 】 AI活用し、 頑張りすぎない宿経営を (マジックプライス・ホテル番付)

2018年4月30日
編集部:謝 谷楓

2017年4月30日(月) 配信

サービスについて説明する「空」の松村代表。丁寧で紳士的な語り口が印象的だった

AI(人工知能)に対する関心が高まっている。話題のスマートスピーカーは高度な学習機能を備え、旅行や航空会社もシステムを連携している。一般ユーザー向けだけでなく、宿泊施設といった企業向けのサービスにも注目したい。宿にとっては、在庫管理に掛かる時間・手間を削減できる可能性を持つ。【謝 谷楓】

バランスの良い経営をAIがサポート

 OTA(オンライン旅行会社)の台頭をはじめ、ICT(情報通信技術)の進化に伴い販路を拡大してきた宿泊施設も多い。1日の供給量(客室)が定まっている宿泊施設にとって販路増は、在庫の繰り越し減につながる。手数料が高くても、数社のOTAに登録しているという施設も珍しくない。在庫管理や料金設定、プランの更新など、昼夜サイトコントローラーと睨めっこしている担当者も多いはずだ。

 近年、OTAでマーケティングの知見を培い、自社サイトでの直販に注力する施設が出てきた。自社サイトを経由した予約率は増加傾向にあり、5年間で5・8ポイントアップ(11・3%)している(2011―16年度発表、日本旅館協会)。適切な販売管理が死活問題であることは間違いないものの、ホスピタリティと生産性向上も忘れてはいけない。バランスの良い経営を実現するためには何をすれば良いのか? レベニューマネジメントにAI(人工知能)の活用を提案し、独自のウェブシステムを販売する空(ソラ、東京都渋谷区)の松村大貴代表は次のように語る。

 「一度体験すれば、人力で料金設定を行う大変さを身にしみて理解できるはずです。私も某旅館でインターンを経験し、フロントや夜勤業務とともにその苦労を体感しました。顧客体験を高めるホスピタリティにまい進する一方、収入の最大化にも注力することは想像以上に骨の折れることです。その結果、高度な分析を行うのではなく担当者の労働量を軽減するためにAIを活用するべきだというアイデアの具現化に至りました。季節や過去事例など、AIがデータに基づく分析を負担することで、人はおもてなしや施策立案に注力できるという考え方です」。

 就業者数に注目すると、常勤パートタイマーの比率が4割を占め、正社員と役員数は減少傾向にある【図表参照】。経営戦略策定に携わる者の減少により、個々の負担は増してくる。正社員や役員らは需要予測を立てつつ、ホスピタリティや人員配置といった生産性にも気を配らなくてはならない。

 「レベニューマネジメントを怠れば、機会損失が生じる可能性が高まります。一方、簡単で使いやすいシステムでなければ、継続して利用してもらうことはできません。人材不足が深刻ななか、分析を技術に任せることで生まれる余裕を、顧客体験と生産性向上に回してほしいと考えているのです」。

 施設にとって、収入の最大化とホスピタリティ、生産性向上はどれも疎かにできない課題ばかり。同社の提案は、すべてを熟そうと頑張りすぎるのではなく、役割分担を最適化することで良い均衡状態を保てるという点で特色を持つ。

各施設と信頼関係を築く

 同社が提供するサービスは主に2つ。客室料金を自動で算出する“MagicPrice(マジックプライス)”を主軸に、17年には自社料金を近隣エリア・競合施設と比較検討できる“ホテル番付”もリリースした。用途は異なるが、さまざまなデータを学習することで、より気の利く経営パートナーになることを目指す点で相違はない。両サービスの位置づけについて松村代表はこう説明する。

 「サービスはそれぞれ独立したものとなっています。ホテル番付は約1カ月間の無料体験期間を設けています。近隣施設の客室料金を自動で収集・分析するだけでなく、結果をメールで通知する機能も備わっています。4月のリニューアルで新たに追加しました。目的は担当者が、データ収集に明け暮れないようサポートすること。統計グラフについても、注目ポイントを指摘することで、解析の時間・手間を省けるよう工夫しました」。

 無料体験期間があることから、同社が提供するAI活用サービスに興味関心を持つ施設はまず、ホテル番付を利用すると良いだろう。利用数はすでに1500を突破し、実績を重ねている。自社を含む各社の稼働率と客室料金を指標化し簡単に比較できるため、値上げ時期の決定や価格調整時に参考となる。指標値は、約2万軒の施設が公開する残室数(販売室数)や日々の価格から算出される仕組みとなっている。利用料については、基本料金(8千円)とともに、客室数に応じた負担を求めるカタチだ。

 「価格改定を検討していることもあり、主力商品であるマジックプライスの価格は公開していません。ホテル番付と類似した料金体系で、問い合わせや打ち合わせ時に伝えています。販売価格の決定まで行えるため、各種サイトコントローラーや宿泊施設管理システム(PMS)との連携にも力を入れています。現在、“ねっぱん”と“手間いらず”、“ダイナテック”とのシステム連携を実現しています」。

 マジックプライスの導入に当たっては、過去1年以上の販売データの提供を推奨しているとのこと。AIによる提案の質を高めるため、相応の学習量を確保する必要があるからだ。季節ごとの販売実績など、宿ごとの事情にもしっかり対応する。AIが学習に利用するデータは原則、導入する施設に限定されるため自社データの流出防止対策も万全。開発する際にのみ、情報を匿名化し、参考にする。

 「価格決定分野で、業界の標準化に貢献したいと考えています。インバウンドの増加が示すように、宿泊市場はグローバルでの競争にさらされています。施設の規模に合わせた個別カスタマイズはしていませんが、ヒアリングには注力しています。今後も、利用施設すべてが、役立つ知見を入手できるよう開発を進め、国内の競争力底上げを目指します」。

 業界では現在、正社員数が減少傾向にある一方、1室当たりの人件費は増加している【図表参照】。経営負担が増すなか経営者は、いかに省力化できるかが差別化につながる。ホスピタリティや生産性向上につながるチームワークづくりなど、リピーター創出に直結する施策考案に時間を掛けることができるようになるからだ。

 「OTAから声を掛けられることもありますが、現時点では個々の施設に寄り添ったビジネス展開を続けたいと考えています。人にとって代わる汎用AIの登場にはまだ時間が必要です。まずは、日々生まれるビッグデータを解析する仕組みを提供することで、経営者からスタッフまで、働く方の信頼を得たいと考えているのです」。

 AIを上手に活用する提案が出ているなか、負担増と引き換えに経費を上げるという考え方だけでは、差別化と競争力向上は難しい。最先端技術の取り込みも、検討してほしい。

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