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ジオパークを集客の要に! 地域事業者との連携強化も (静岡県、伊豆半島ジオパーク)

2018年4月25日
編集部:謝 谷楓

2018年4月25日(水) 配信

海から眺める三石岬(提供:伊豆半島ジオパーク推進協議会)

伊豆半島(静岡県)がこのほど、ユネスコ世界ジオパーク(地質遺産)に認定された。静岡県は4月20日(金)、メディア向け説明会を開催。総力を挙げて誘客に取り組む姿勢を示した。中心となる伊豆半島ジオパーク推進協議会では、地域事業者らの理解度を高めつつ、集客増に結びつく施策立案を牽引していく構え。地域事業者との連携強化も視野に入れる。

 ジオパークは、多様な観点に立って該当エリアを教育・観光に活用し、地域の持続可能な開発に主眼を置く制度。2001年からユネスコ(国連教育科学文化機関)が支援を表明し、認定組織である世界ジオパークネットワーク(Global Geoparks Network)は、04年に設立された。現在、ユネスコ世界ジオパークは国内に9つ(18年4月現在)。日本ジオパークネットワークが、各地域の活動を支援する仕組みとなっている。

課題は、来訪者増を実現する商品造成

 各認定地域にとって、認められた素材をツアー商品の造成にどう生かすかが大きな課題となっていた。支援団体である日本ジオパークネットワークでは、各エリアの地質を取り込んだツアー商品の調査・研究、クオリティ確保を目指すワーキンググループの立ち上げに注力している。

 同ネットワークは「まだ着手してから1、2年。旅行会社といった商品造成のプロフェッショナルをメンバーに加える重要性を理解するなど、どうすれば誘致につなげられるかを模索している最中です」と、本紙の取材に答えてくれた。地域の特色を世界に対し発信できる機会ではあるものの、有効利用に向けた取り組みは始まったばかりなのだ。

受入と集客体制の整備に励む

 後発となる静岡県では、これら課題を踏まえたうえで、受入・集客体制の確立を目指す。受入体制では、教育旅行を中心に7年以上の活動実績を持つ「伊豆半島ジオガイド協会」が中心となって整備する。所属ガイド数は100人ほど、地域住民が中心となって、旅行会社や一般ユーザー双方に対応できる仕組みを整えている。

伊豆半島ジオパーク推進協議会が認定するガイド170人のうち、100人ほどの有志によって運営されている「伊豆半島ジオガイド協会」

 同協会に問い合わせたところ、「認定後、旅行会社からの照会が増えている。伊東や下田など、各エリアのジオサイトに特化したプランをすでに用意し、整備は順調です」と自信を見せた。地質や地形に詳しいガイドだけでなく、英語対応できるメンバーも所属。昨年には、ウェブサイトを多言語化(英語・英語)し、インバウンドの受け入れにも力を入れている。

 集客体制の整備については、伊豆半島ジオパーク推進協議会が中心となってウェブサイトをリニューアルした。4カ国語(英語・中国語・韓国語・日本語)に対応し、人気スポットがひと目で分かるランキングや、「写真から探す」ページを設置。直感的で分かりやすい仕組みを整えることで、海外ユーザーに選ばれるジオパークを目指す。

地域事業者の収益増につながる仕組みづくりを

 説明会で登壇した同推進協議会の高橋誠氏は後日、「インバウンド向けにインスタグラムアカウントを立ち上げ、メインターゲットであるFIT(個人旅行)客を取り込みたいと考えています。ウェブサイトの充実もその一環で、地域事業者と来訪者を結ぶプラットフォームとしての役割を担っていきたいと考えています」と、取材に答えてくれた。

高橋誠氏

 これまで伊豆半島への集客を目的とした多言語サイトはほとんどなく、いかに知らしめるかが大きな課題だった。今後は、地質関連以外のコンテンツも取りそろえ、徹底したPRを行うという。

 最新の統計によると、静岡県の観光交流客数は1億5,294万人(16年度)、12年度以降増加が続き、過去最高を更新した。宿泊では、1,943万人と前年と比べ2・2%の減少となったものの、近年は右肩上がりが続き好調を維持してきた。さらなる誘致を促進させるためにも、ジオパークを観光素材としてしっかり活用したい。県でも、地域事業者の果たす役割がとくに大きいとみる。

川口茂則氏

 当日、同じく登壇した静岡県・観光部観光局観光政策課の川口茂則氏は、「地域や地域連携DMOなど、各エリアの事業者が主体的に活躍する仕組みづくりができ上がりつつある。地域のことを一番良く知っている方々が、コンテンツづくりやPRで積極的な役割を果たせるよう、牽引体制を確立していきたい」語っている。

 伊豆半島ジオガイド協会の取り組みが示すように、地域住民が主体となって観光を盛り上げる土壌は出来上がりつつある。行政サイドには、ウェブ経由の発信や地域事業者の自立支援など、各事業者が収益を生み出せる環境づくりを期待したい。

 なお、静岡県と各エリアでは現在、19年に開催予定の静岡デスティネーション・キャンペーン(DC)に向けたプロモーションに注力している最中。ジオパークを新たな観光資源と捉え、活用したい。

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