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「観光革命」地球規模の構造的変化(197)観光改善地区(TID)への期待

2018年4月8日(日) 配信

観光地経営の健全化をはかるためにTDI制度の検討を

 観光庁は2020年までに「世界水準のDMO」を100法人育成する目標を掲げている。日本版DMOが「世界水準の観光地経営組織」として健全に発展するためには多くの課題を解決することが不可欠だ。

 観光地経営を成功させるためには、行政とDMOと民間(観光関連事業者)の役割分担を明確にしたうえで、DMOの「権限と責任の明確化」が不可欠になる。要するに現在の日本各地の観光協会などは「行政の下請け機関」のような役割を果たしており、行政からの出向者が責任者を務めるとともに、活動資金の多くを公的資金に依存するケースが多い。このため「観光地経営組織としてのDMO」は専門的人財の確保と自立的財源の確保が必要不可欠になる。

 広島県は日本版DMOが抱える諸課題として、①法的位置づけがなく、観光地経営の権限がないこと②DMOの事業費(公的資金)が時限的で安定した特定財源がないこと③受益者(とくに宿泊事業者)によるガバナンスを効かせる仕組みがないことなどを重視して、日本版TID法(仮称)制定を政府に対して提案している。TID(Tourism Improvement District:観光改善地区)制度は92年に米国で初めて導入されている。それ以前には多くの都市が宿泊税をDMOの財源に当ててきたが、諸都市の財政逼迫が生じるとDMOへの予算削減が行われがちだった。そのため財源確保の不安定性の解消を目指して一定エリア内の宿泊事業者の合意の下で宿泊収入から一定割合の賦課金を徴収する制度を導入。全米で約150のエリアでTIDが施行されている。

 広島県の提案による日本版TID法(仮称)では、行政・議会はTID団体認定・賦課金徴収交付・DMO監視、宿泊事業者は賦課金納付・理事会参加、DMOは事業計画策定・事業実施・行政への報告・理事会への報告、理事会はDMOの意思決定・DMO監視などの役割をそれぞれ担うことになっている。

 日本でも各都市で宿泊税導入が本格化している。今後、宿泊税はDMOの財源として活用される予定であるが、TID(観光改善地区)制度についてはあまり検討がなされていない。観光地経営の健全化をはかるためには、いずれTIDを視野に入れることが必要になるだろう。

 

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

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