【特集 No.488】エコ・小活動を全国に 少しの工夫で大きなコスト削減
2018年3月30日(金) 配信
「国際観光振興に技術で貢献する」を理念に掲げる国際観光施設協会(鈴木裕会長)は、協会活動の柱として「エコ・小活動」を推進している。宿泊施設が大きな投資をせずに、水光熱使用量のムダを省き、小さな工夫で収入増につなげる取り組みだ。節電や節水を意識し、宿にあわせた設備運用を行うことで、大きな成果に結びつける。活動を牽引するエコ小委員会の佐々山茂委員長と小川正晃副委員長に話を聞いた。
【後藤 文昭】
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エコ・小活動は、「エコロジーの考えから、人間と自然が共生するために、小さなエネルギーで施設を運営し、利益を増やすとともに、環境も美しくする」運動。
同協会の中核事業を担うエコ・小委員会の佐々山委員長は、「この考え方を実現するためには、ランニングコスト(運転費)の削減が有効だ」と話す。「経営者が水光熱のムダ遣いに気がついていない場合いが多い。まずは水光熱使用量の見直しが必要だ」。
多くの旅館は団体旅行を想定して設計されているため、個人旅行中心の今の旅行形態では館内設備を効率的に運用できず、必然的に水光熱使用量が増えている。
このためエコ・小委員会では、旅館の相談を受ける際は、必ず年間水光熱使用量の提出を求めることから始める。
佐々山委員長は「大きな投資をしなくても、工夫次第で水光熱費用の削減はできる。宿にあわせた施設運用をするために、まずは、館内設備を把握するべき」と強調する。とくに「調理場」と「大浴場」には多くのムダがあり、少しの工夫で大きなコスト削減を達成できるという。
また、水光熱使用量のムダを見直す過程で、作業のムダも省け、余剰人材を人手が足りないところにまわすことも可能になる。「エコ・小活動が、生産性の向上にもつながる」(佐々山委員長)としている。
□水光熱費、1200円以上で削減に期待
委員会は、宿泊客1人当たりの水光熱費900円を数値目標としている。実現目安は、1人当たり水600リットル、油2・5リットル、温泉500リットル、電気22・0キロワットアワー、ガス0・3立方メートルとしている。
調査した60軒の宿で900円以下に抑えられていた宿はわずか17%。1300円が全体の平均値であるが、「1200円以上の場合は大きな削減効果が期待できる」(同)と語る。…
※詳細は本紙1708号または4月4日以降日経テレコン21でお読みいただけます。