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民泊市場に独自のエッセンス 国内需要の創出にも注力(Relux)

2018年3月9日(金) 配信

ロコパートナーズ
Global事業部長
河村 晃平 氏

 OTA(オンライン旅行会社)の普及が進むなか、Reluxを運営するLoco Partners(ロコパートナーズ、篠塚孝哉社長)の躍進はとくに目覚ましい。独自基準(Reluxグレード)を設け、掲載する施設を厳選。ユーザー満足度にフォーカスした取り組みは、ハイエンド層からの支持も厚く、会員数は125万人(18年2月)を突破した。今回は、1月にスタートした民泊事業“Vacation Home〟(バケーションホーム)に焦点を据える。

【謝 谷楓】

民泊でも、“一流”を厳選

 6月に施行される住宅宿泊事業法(民泊法)下では、物件オーナー(ホスト)である住宅宿泊事業者を中心に、仲介業者と管理業者の3者が一体となって、ユーザー(ゲスト)に対し宿泊サービスを供することとなる。仲介業者は、ゲストと物件がマッチングする「場」を提供するプラットフォーマーとも呼ばれ、“バケーションホーム”を運営するロコパートナーズも仲介業者という位置づけとなる。これまでホテル・旅館を中心に宿泊予約サービスを展開してきた同社では、100項目にも及ぶ審査項目を設けるなど、掲載に当たり高い基準を設けてきた。消費者間(CtoC)ビジネスでも、ユーザーの求める高い満足度を保証していけるのだろうか?  同社Global事業部長の河村晃平氏は次のように答える。

 「Reluxカスタマーが、戸惑うことなく民泊を楽しむことのできる環境を整えています。カジュアルから1―3つ星、The MUSEUMというReluxグレードは“バケーションホーム”で取り扱う民泊物件にも適用されるからです。審査項目についても、ホテル・旅館と同等の水準を設けています。現時点での物件数は約140。町家や別荘などさまざまなタイプを取りそろえていますが、いずれもReluxの世界観に見合う物件となっています。“審査委員会”によるジャッジも健在です」。

 ユーザーの満足度を高めることで施設は売上増を期待できる。民泊事業でも、カスタマーファーストの考え方を徹底させた。

 「Reluxカスタマーの期待値と満足度には相関関係があるということを前提に、Reluxグレードを設けています。一方的な押し付けではなく、ユーザーと施設双方に対し、最適なマッチングを提供することが目的となっています。民泊物件でも、期待値と満足度に乖離が生まれないよう、ホストに対しお願いすることはしっかりするという姿勢を取っていきたいと考えています。物件紹介ページには、ゲストとホストによる双方向レビューも取り入れる予定です。安全面や近隣住民との関係構築でもサポートを行っていきます」。

 消費者間ビジネスに、同社の独自基準や評価システムのエッセンスを加えることで、満足度を担保する構えだ。

アクティビティ提供にも意欲

 ゲストとホスト同士の交流も、民泊の持つ醍醐味だ。泊まるだけでなく、食やアクティビティなど、地元住民であるホストとの触れ合いを求めて民泊を選択するユーザーも少なくない。観光庁の調査によると、インバウンドの“有償での住宅宿泊”いわゆる民泊の利用率はホテル・旅館に次ぐ順位で、非利用者よりも、歴史や文化、日常生活の体験率で高い統計結果が出ている。平均泊数についても、民泊利用者は非利用者よりも1・7泊多い(7・6泊)。

 「2月に、グローバル会員数が25万人を超えました。海外でも認知が進んでいます。さらに拡大することで、地域の消費増に貢献したいですね。新しい宿泊スタイルとして定着させることは、国内旅行の需要喚起にも寄与できると考えています」。

 民泊=インバウンド向けという認識がまだ根強いなか、民泊事業は、国内で加速するコト消費とも好相性だと河村氏は見る。

 「ユーザーの成熟に合わせて、コト消費が一般化してきました。その“コト”をめぐる内容や質に対する期待も高まっています。民泊はその期待に応えることのできるコンテンツだと捉えています。他プラットフォーマーを見ても、アクティビティは重要な役割を担っています。現状は宿泊のみに特化していますが、将来的には商材の発掘や開発も検討していく必要があるかもしれません。高い満足度を求める我われのカスタマーが旅ナカで何を望んでいるのか? まずはマーケティング調査を重ねていきたいですね」。

 高い審査基準をクリアした物件にそぐわない体験では満足度を維持することは難しい。検討を予定するアクティビティの開発にも、同社の哲学が注入されることとなりそうだ。なお、民泊事業における同社の現時点での最重要ポイントは物件のクオリティであり、ホストが個人か法人かについては問わない方針だ。

仕入れ目標は600件

 「法施行前ということもあり、約140件にとどまっていますが、600件を目標に仕入れを行っていく予定です」。

 数を主眼に事業展開した結果、クオリティが疎かになっては本末転倒だが、高い目標設定にはユーザー満足度を重視する同社ならではの理由がある。

 「都市・地方での別荘や町家、一棟貸しなど、さまざまな物件を豊富に取りそろえなくては、ユーザーの持つ多様なニーズに応えることはできないはずです。先ほど、民泊とアクティビティ(体験)の相性の良さが話題に上りましたが、これまで培ってきた我われの強みは高い満足度の創出にあると自負しています。まずはその部分で勝負をするという考え方です」。

さまざまな可能性視野に

 民泊法の施行を前に、航空会社や旅行会社、地域との提携を進める仲介業者が目立つ。同社ではエアビーアンドビーをはじめ、在庫共有を中心に他仲介業者との連携を深めてきた。

 「ハウスメーカーや航空会社、地方自治体など、提携の可能性は多岐に渡ると考えています。これまでの事業展開を通じ、集客増に関する知見を深めてきました。パートナーが有する物件にコンセプトや内装に関する知見を導入することで、不動産投資のリスクを取ることなく、Reluxブランドの民泊施設を展開できるかもしれません。民泊を切り口に、地域全体のプロデュースでもサポートできる体制を整えていきたいですね。Reluxは、旅行に対し感度の高い会員組織です。我われにしかできない提案に期待してほしいと思います」。

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