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【特集 No.486】全国被災地語り部シンポin東北 「KATARIBE」を世界共通語に

2018年3月9日(金) 配信

 東日本大震災からまもなく7年を迎える2月25-26日の2日間、宮城県・南三陸町の南三陸ホテル観洋と、同町内で「第3回全国被災地語り部シンポジウムin東北」が開催された。「『KATARIBE』を世界へ」をテーマに、全国から約400人の「語り部」らが参加。被災地の経験や知恵を日本中、世界に向けて発信し、学び合うことの大切さを確認した。「被災地」と「未災地」を結び、次の世代にも教訓を紡いでいくと宣言し、次回の開催地・熊本につなげていく活動を取材した。

【増田 剛】

 2年前の第1回全国被災地語り部シンポジウムは、同じ南三陸ホテル観洋で行われ、前回(第2回)は兵庫県・淡路島の淡路夢舞台国際会議場で開かれた。

 3回目を迎えた今大会の冒頭、阿部隆二郎実行委員長(南三陸町地域観光復興協議会会長)は、「まもなく東日本大震災から7年を迎える。この集いの大きな目的は震災の風化を防ぎ、震災の教訓を世界に伝えること」とあいさつした。風化を防ぐために、南三陸ホテル観洋が毎日運行している語り部バスが17年度ジャパン・ツーリズム・アワードの大賞を受賞したことを報告。「私たちはSNS(交流サイト)なども含め、さまざまな方法で次世代に、そして未災地に震災の教訓を伝えていかなければならない」と力強く語った。

 その後、パネルディスカッション「普遍性・持続性のある震災伝承と震災遺構~『KATARIBE(語り部)』を世界へ・被災地から未災地へ・その先の未来へ~」を開いた。

 登壇者は、震災語り部・元気仙沼本吉地方広域消防南三陸消防署副所長の佐藤誠悦氏、宮古観光文化交流協会「学ぶ防災ガイド」の元田久美子氏、益城だいすきプロジェクト・きままに代表理事の吉村静代氏、日本外国特派員協会理事のメリー・コーベット氏、上智大学比較文化研究所客員研究員のフラビア・フルコ氏。コーディネーターは東北学院大学教養学部地域構想学科教授の柳井雅也氏が務めた。

 佐藤氏は「語り部にとって一番大事なことは、自分が体験した真実を後世に伝えること。それは広報誌でもSNSでもなんでもいい」と訴えた。

 元田氏は伝承と日々の訓練、教育の大切さを語り、「たくさんの人たちの支援に感謝しながら、恩返しとして一人ひとりの命を守るために案内していきたい」と話した。

 吉村氏は熊本での震災の教訓として、避難所から仮設、復興住宅に移り住む際に「安心して住めるコミュニティ」の重要性を語り、「ネットワークをつくりながら語り部を育てていくこと」の大切さを強調した。

 コーベット氏は、被災地に寄付や支援をするときの日本のシステムやルールの分りづらさなどを指摘。フルコ氏は外国語の対応ができる語り部を増やすことや、今後、海外の被災地とつながることの意義を説いた。

100分の1を途切れることなくつなげよう

 分科会では①「語り部として私たちが今、伝えたいこと」②「震災遺構と語り部が伝える震災伝承と教訓」③「未来への伝承~10年・100年・1000年先へつなぐために必要なこと~」――の3テーマに分かれて議論。

 それぞれの分科会では、ガイドの高齢化や、復興によって案内する場所が減少していくこと、宿泊施設はあるが買い物する店がないため、お金が地元に落ちないなどの課題や問題点も上げられた。また、自然への正しい理解の必要性や、〝ストーリー(物語)の力〟の重要性も確認した。「明日にでも大災害が起こる可能性がある未災地の人たちに、被災者は何を伝えるべきか」も大きなテーマとなった。「生き残る方法を伝えるべきではないか」という意見も出て、会場を巻き込んだ議論となった。第1分科会のコーディネーターを務めたリアス・アーク美術館学芸係長の山内宏泰氏は「100人すべてに継承されることは難しいが、伝える側(語り部)の目標としては、100分の1を途切れることなく、永遠につなげていく活動を続けること」と述べた。…

 

※詳細は本紙1705号または3月15日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

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