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DMO課題の打開へ、産学官合同研究会を設置(日観振)

2017年11月1日
編集部

2017年11月1日(水) 配信

清水哲夫氏

 日本観光振興協会が今年3月に全国の日本版DMO候補登録法人に行った調査で、安定的な運営を行うための財源確保や専門人材の不足などの課題が浮き彫りになった。この現状を打開するため地域と企業の相互交流を促進し、産学官がそれぞれの立場から意見交換を行う場として「観光経営研究会~世界水準の観光経営を目指す産学官合同研究会~」を設置。10月16日に東京都内で1回目の研究会を開いた。

 冒頭、あいさつに立った日観振の久保成人理事長は「観光を取り巻く環境は非常に大きく変動し、課題も次から次へ現れている。こうした状況を打開するため、観光地経営をより効率的に実現しなければいけない」と会の趣旨を説明。初回の議題「ビッグデータを活用した観光マーケティング」について「そのなかでも切実なテーマを据えた」と語った。

 ビッグデータは全知全能ではない

 研究会では、日観振総合調査研究所長で首都大学東京都市環境学部教授の清水哲夫氏が登壇。「観光の現象と行動を分析するための統計・ビッグデータ~できることとできないことを考える~」と題し、講演した。清水氏は政府が公開している地域経済分析のデータプラットフォーム「RESAS(リーサス)」の専門委員として、自治体の地方創生事業へ協力。大学では多摩信用金庫とともに、自治体の職員にデータとの付き合い方を教育する「地域創生スクール」を開講している。

 こうした経験から清水氏は「ビッグデータは全知全能の神ではない。そもそも何を知りたいのかを理解することが大切。何をやりたいか分からない状況で利用しても意味がない」と指摘。統計やビッグデータの種類別に、できることとできないことを行政担当者やDMO幹部は理解すべきだと主張した。例えば「観光客の周遊行動把握」は位置情報データや目的地検索データで分かるが、この2つはこれ以外に利用できず「観光客の消費行動把握」や「観光客の評価把握」には統計調査やアンケートなどが必要になる。こうしたことを見極める能力を「4つのデータ力」として(1)データを収集する力(2)データを分析する力(3)データを理解する力(4)データを活用する力――を挙げた。

 一方、現状のビッグデータのデータ量では不十分で、観光地の一定の現象をつかむまではいかないという。「観光地のマーケティングに利用するにはさらに技術開発が必要で、まだ先に進めないのが正直なところ」と今後の進展に期待した。

 研究会ではこのほか、実際にビッグデータを扱う企業からのプレゼンテーションや参加者同士での意見交換が行われた。

 2回目以降は参加者からのアンケートを基に、その時期に沿ったテーマを設定する予定。

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