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消費意欲好転の兆し 「若者の〇〇離れ」歯止めか 三菱総研mif

2017年10月21日
編集部

2017年10月21日(土) 配信

小川歌織氏

 三菱総合研究所はこのほど、2017年の「生活者市場予測システム:mif(ミフ)」調査の速報を発表。雇用環境の改善などで生活者の気分は上向き、消費マインドに好転の兆しがあるとした。今回は、20代の消費意欲の向上が顕著に現れた。昨今叫ばれていた「若者の○○離れ」に歯止めがかかる勢いもある。旅行消費にも意欲をみせており、とくに海外旅行は年1回以上旅行する人の割合が全体で11・5%なのに対し、20代は14・2%と上回った。

【飯塚 小牧】

 調査の説明を行ったエム・アール・アイリサーチアソシエイツのアナリスト、小川歌織氏は、16年までは「財布の紐は固い」「若者のモノ離れが進む」「変化から安定へ」などキーワードが暗い傾向にあったと紹介。それが17年は一転し、「雇用環境の改善などで消費者の気分が上向き始めた」と述べた。

 消費支出の項目をみると、教養娯楽費や交際費、衣類履物費が16年より上昇。これらは消費抑制時には節約対象となるもので、この項目の支出が伸びているということは節約志向が緩んだと考えられる。

 前年と比較した「暮らし向き向上感」は「向上している」が前年比2・2ポイント増の10・6%となり、「低下している」は3・5ポイント減の21・1%となった。

 今後の暮らし向きについては「良くなっていく」が2・2ポイント増の12・8%、「同じようなもの」は2ポイント増で52・1%。「悪くなっていく」は3・3ポイント減の25・9%。とくに20代は「良くなっていく」が21・3%、「悪くなっていく」が15・0%と、年代のなかで唯一「良くなっていく」の方が上回った。

 経済的ゆとりの実感に対しては、「かなりゆとりがある」「ゆとりがある」の合計が2・1ポイント増の23・8%となり、ゆとりを感じる人が増加した。

 こうした背景について小川氏は、日本経済新聞のデータから17年4―6月期は金融業を除いた上場企業の約7割で純利益が増加していることを提示。これにより、人手不足は正社員にまでおよび、パートを含む有効求人倍率がバブル期より高い数字となったことが好要因だと分析した。

 また、さまざまな分野で危惧されていた「若者の○○離れ」についても、結婚やモノ、旅行などの項目で上昇傾向にあることを紹介した。結婚は5年以内の結婚予想が20代で5・8ポイント増の36・2%、交際相手の有無は4・8ポイント増の30・5%と大幅に増加。「東日本大震災後に『絆』がキーワードになったが、その11年の数値を超えているのが特徴」という。

海外、国内旅行とも上昇

 旅行については、20代で年1回以上行く人の合計が海外旅行は3・3ポイント増の14・2%、国内旅行(宿泊)が5・5ポイント増の56・0%、国内旅行(日帰り)が4・7ポイント増の56・5%といずれも上昇。全体も同様に伸びてはいるが、増加率は20代が大きかった。

 コト消費についても、「友人・知人とわくわくする体験をしたい」「おもてなしなど特別なサービスを体験したい」などが全世代別で最も高く、20代が余暇活動の牽引役になると予測した。

 若者を中心に消費マインドが上向く一方で、長期的な不安感は根強く残っている。日本の向かっている方向を「良い」とする割合は10%程度で14年から横ばい状態だ。将来の生活への不安は「とても不安」が19・2%、「不安」が40・4%。小川氏は「『とても不安』の割合は11年の東日本大震災後と同程度になっており、看過できない重い結果」とし、中長期的な手立てが不可欠だと指摘した。

 

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