「観光革命」地球規模の構造的変化(191) 人生100年時代の到来

人生100年時代の到来

 9月18日は祝日法で定められた「敬老の日」であった。実はその1週間前に首相官邸で第1回目の「人生100年時代構想会議」が開催された。この会議は安倍政権の新しい重要課題である「人づくり革命」の推進組織。

 日本は既に世界に誇るべき「超長寿社会」を実現しつつある。かつてであれば「人生100年時代」などは夢のまた夢であったが、現在では明らかに現実化している。例えば日本では百歳を超える「百寿者」が1963年に全国で153人であったが、2016年には6万5692人に達している。半世紀のうちに400倍以上の増加だ。まさに驚異的な長寿化である。

 私が館長を務めている北海道博物館では10月20日から「弥永コレクション展」を開催予定である。このコレクションは現在98歳の弥永芳子さんが半世紀をかけて収集した各種資料(貨幣、貴金属、琥珀、黄金美術品、アイヌ民族関係など)。弥永さんは札幌生まれでドレスメーカー女学院を卒業し、道庁職員と結婚して主婦であったが、46歳のときに欧州を旅行し、貨幣の歴史に興味を持って収集・研究を行うようになった。51歳のときに北海道貨幣史研究会を発足させて会長を務め、その後、道内300カ所を現地調査して貴金属類やアンモナイトを自ら収集・研究した。66歳のときに私設3階建ての「弥永北海道博物館」を開設して95歳まで館長を務めた。3年前に博物館を閉館し、資料のほとんどを北海道博物館に寄贈。これまでに貨幣史、金属史、北海道郷土史関係の16冊の著作を出版し、現在も執筆活動を続けておられる。

 医学者や脳科学者は科学的根拠にもとづいて、長寿の秘訣は「運動」「好奇心」「社会とのかかわり」が最も大切と述べている。毎日適度に身体を動かし、さまざまなことに対して知的好奇心をもち、他者とのつながり(コミュニケーション)を大切にしている高齢者は長生きできるらしい。弥永さんの人生でも明らかなように、長寿の秘訣は「運動」「好奇心」「社会とのかかわり」であり、旅行はそれらの3つの要因に関わっている。高齢者にとって自らの趣味や好奇心を満たす旅行は極めて大切だ。併せて社会的に高齢者の旅行をサポートする「トラベルヘルパー」などのシステムづくりが不可欠である。

(北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授 石森 秀三)

コラムニスト紹介

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

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