【温故知新・松山社長インタビュー】「目的となる宿」の創出を、今後は〝事業継承〟主軸に

松山知樹社長

 富裕層向けの宿泊施設の運営や、旅館のコンサルティングなどを手掛ける「温故知新」(松山知樹社長、東京都港区)は、旅の目的地となる宿づくりを目指している。松山社長に設立の経緯や今後の展開などを聞いた。
【飯塚 小牧】

 ――これまでの経歴を含め、会社設立の経緯や事業内容を教えて下さい。

 私は大阪出身で両親は福井の出です。今は東京ベースで仕事をしているものの、もともと地域への意識がありました。大学進学で上京し、都市計画を専攻しました。その時代、すでに東京一極集中といわれていましたが、都市計画を通じ、都市の目線で地域の在り方を考えていたのです。

 卒業後は外資系のコンサルティング会社に勤めましたが、もう少し実務を経験したいと思い、ベンチャー支援企業の創業に参加しました。20代のころです。

 その後、ご縁があって2005年から星野リゾートにお世話になりました。その年は旅館再生事業が始まった年で、会社全体が転換期のタイミングでした。ゴールドマンサックスとの旅館再生事業の星野リゾート側の責任者として4年ほど携わりました。09年には役員にも就きましたが、以前から実業・ベンチャー指向だったので、自分で会社を立ち上げようと考えました。

 いろいろな選択肢がありましたが、検討すればするほど、旅館やリゾート事業が魅力的に感じられるようになりました。お客様に喜んで頂くことが、すなわち自分たちの利益になる。シンプルで、騙すということがない「いい仕事」です。

 11年2月に旅館を運営するための会社としてたった1人で起業しました。しかし、その1カ月後に東日本大震災が発生し、計画していたプロジェクトがすべて頓挫しました。路頭に迷いそうでしたが、タイミング的に東北の旅館の復興支援のニーズがあり、再生のための計画づくりや改装のサポートを20軒ほど手掛けました。

 今も東北に限りませんが、再生の計画づくりや、売上アップのためのコンサルティング、オペレーションへのアドバイスなどの業務を行っています。

 一方、投資家やオーナー様と組んで、我われが運営するというスキームを組めないかとずっとチャンスをうかがっていました。それが当初の目的でしたので。そんななか、ご縁があり、四国の愛媛県松山市でスモールラグジュアリーホテル「瀬戸内リトリート青凪」を直営することになりました。

 ――瀬戸内リトリート青凪の客層や販売手法などを教えて下さい。

 安藤忠雄氏設計の元美術館をホテルにしました。「安藤忠雄建築」「四国で最高級」「世界初のフルフラット寝湯付き客室」など特徴的な要素もあり、宿自体がデスティネーションになっているという自負はあります。7室の客室はオールスイートで高単価なので、稼働率はまだ6割強ですが、地域に貢献できていると思います。首都圏からのお客様が多く、インバウンドは約1割。中国や台湾、香港だけではなく欧米系も多いです。

 販売についてはOTA(オンライン旅行会社)を積極的に活用しています。自社だけで売るのは容易ではなく、共存共栄だと考えています。

 ――今後も高級宿をメインに運営されますか。

 ラグジュアリー一本槍で考えているわけではなく、ユニークなシナリオを描けるかどうかが大切です。絶景や素晴らしい源泉があるなどです。我われは「その宿に行くこと自体が目的となる宿」の運営を目指しており、その対極はビジネスホテルです。

 ――民泊についてはどうお考えですか。

 一種の流行りのようなもので、メインストリームにはならないと思います。ただ、税金や規制面が公平ではないので、同じ土俵に立ってもらいたいとは思います。また、新法では地域ごとに民泊を受け入れるか決められるようですが、これは地域が何を大切にするのかを問われていると思います。自治体がしっかりすることが大切です。

 ――改めて今後の展望を教えて下さい。

 地域をどう盛り上げていくかという思いが根底にあります。私自身、東京は仮住まい感があり、利便上、やむを得ず住んでいる所があります。地域のためにも目的地となる宿を作り、新しい需要を創出したいと考えます。「ここに来たい」と思っていただける宿を、ほかにはない発想で作っていきたいですね。

 また、今後注目しているのは「事業継承」です。再生事業の需要は一巡したと思っていますが、後継者がいない宿は増加傾向にあります。「再生」ではなく、健全な経営をされている宿のオーナーの「想い」を継ぎながら、さらに発展させていく。一つひとつのユニークさを大切に、オーナーが大切にしていること、宿の中核になっているものを大切に引き継ぐことができるのではないかと思います。

 一方で、投資家に対するリターンがないと事業として成り立たないので、そこはしっかり利益を出していきます。最終的には「戦略の切れ味」が重要で、知恵の勝負だと思います。やり切る気合いを持って取り組んでいきます。

 ――ありがとうございました。

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