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No.455 一戸町×エフネッツ×HPE Aruba、課題に挑戦、無線LAN活用

2017年3月11日
編集部

一戸町×エフネッツ×HPE Aruba
課題に挑戦、無線LAN活用

 岩手県・一戸町では現在、屋外でも無線LANサービスを無料で利用できる。災害対策やインバウンドの利便性向上、住民の生涯学習など、活用形態はさまざまだ。今回はソフト面だけでなく、ハード面でのIT活用にも注目。無線LAN機器を製造するHPE Arubaの今井太郎部長と同町に赴き、座談会を実施した。まちづくり課の來田忍主事らを囲み、製品設置を担った富士通ネットワークソリューションズの高橋真吾氏らとともに、導入理由やメリットなどをめぐって語り合った。定住促進や学習環境整備など、無線LANの可能性は広く、観光に留まらない。

【司会進行・構成=謝 谷楓】

 
 
 ――屋外無線LAN設置の理由について。

來田:災害時の情報収集や発信を万全にすべく検討するなかで、無線LANに注目するようになりました。屋外で無線LANに接続できれば、役場や学校といった避難所となる防災拠点での情報入手が一段と容易になるからです。
 東日本大震災の際、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じた情報の発着信が注目されました。屋外でも、無線LANを経由したインターネット接続ができれば、スマートフォン端末からの状況発信も、よりスピーディかつスムーズにできるはずです。
 町では、総務省が進める公衆無線LAN環境整備支援事業として、2014年から“観光・防災Wi―Fiステーション整備”を始めました。国による支援も、実現の後押しとなりました。現在無線LANアクセスポイント(AP)は全部で33カ所。うち7カ所は、“防災情報ステーション”と定め、APと電源装置が一体となった基地局となっています。

 ――観光面での活用について。

來田:SNSへの投稿など、訪日外国人旅行者をはじめとした来訪者の利便性向上に役立っています。
 ワカサギ釣りや御所野縄文公園(博物館)など、町には国内外から注目されている施設や観光資源があります。
 菜魚湖(大志田ダム、同町奥中山地区)でのワカサギ釣りは、動画配信サイトを通じ世界に拡散されました。インバウンドの増加を果たせたのです。湖では、中国語(簡体字)の案内標識も設置しています。
 御所野縄文公園(博物館)の遺跡は、世界遺産登録に向け活動を続ける“北海道・北東北の縄文遺跡群”の構成資産の1つでもあります。インターネットに接続できる環境整備が、目標達成に寄与できれば良いです。

 ――設置のメリットについて。

來田:地域の情報が、しっかりと観光客に伝わることを大切にしています。屋外での快適なインターネット接続によって、来訪者らは、どこでも、情報を調べることができるようになりました。満足度向上につながっています。
 動態データ(人の流れ)の分析もできるようになりました。
 2016年、“希望郷いわて国体”開催時には、選手ら250人ほどを受け入れました。その際、人の流れを確認すると、竹細工体験のできる施設への移動が多いことが分かりました。データを通じなければ、分からなかった事実です。
 町は、三沢(青森県)の米軍基地に近く、米軍関係者やビジネス目的など、来訪者の目的も多様です。
 蓄積した情報を活用し、分析をすることで需要を把握し、さらなるサービス向上を目指します。

 ――セキュリティ面はどうでしょうか。

今井:無線LAN通信のセキュリティは2種類、暗号化と認証があります。
 暗号化すれば、無線LANの電波を傍受されても、通信内容を見られることを防ぐことが可能です。認証では、成功した端末のみネットワークへの接続を許可するため、セキュリティを高めることが可能です。
 暗号と認証は、どちらか一方のみ設定しているお客様が多いのですが、用途によっては暗号化と認証を同時に行うことが重要です。また、認証方法を使い分けることもできます。さらに我われの製品ではアクセス制限もかけられます。

來田:町のAPでは、用途ごとに異なる電波を出しています。観光・日常向けと、町民の生涯学習用、災害発生時用の3つです。例えば、生涯学習用では、利用の都度にパスワードを付与し、セキュリティ対策をはかっています。
 今後は、子供たちの教育への活用も視野に入れています。

 ――設置作業について。

來田:規模の大きい施設を中心に、設置計画を立案しました。無線機器を持ち歩き、設置場所を選定するということもありました。高利得指向性アンテナの場所探しには、とても苦労しました。基地局からの受診が厳しい地域で受信可能な場所を見つけたのは、散歩途中の職員でした。

高橋:景観への配慮も重視しました。町や建物の景観を損なわないよう、來田さんはじめ、役場の方々とともに、現場調査を続けました。

來田:APだけでなく、配線も見せたくないという思いがありました。設置の際には、電波の強弱との兼ね合いにも気を配ってもらいました。
 エフネッツの皆さんとはときに意見をぶつけながら、文字通り“二人三脚”で設置作業を進めてきました。

高橋:1カ所の設置に半日かけるなど、丁寧な作業を心がけました。景観を守るため、APに塗装するといった工夫も行いました。塗装する色も一律ではなく、場所に適した色を検討しながら、サンプルを取り寄せるなど、試行錯誤を繰り返しました。

今井:HPE Arubaでは、景観とのバランスを配慮したカバーも、オプションとして用意しています。塗料の付着による故障防止にも役立ちます。…

全参加者
一戸町
来田 忍 主事(総務部まちづくり課)
平 幸祐 主事
小寺 学 主事(産業部産業課)

富士通ネットワークソリューションズ(エフネッツ)
佐竹 正行 部長
小谷 洋正 所長
小林 正幸 課長補佐
岩渕 和弘 氏
高橋 真吾 氏

日本ヒューレット・パッカードネットワーク事業統括本部(HPE Aruba)
今井 太郎 部長

旅行新聞新社
謝 谷楓
(司会進行)
(順不同)

 

※ 詳細は本紙1663号または3月16日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

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