test

2016年を振り返る ― さまざまな変化、来年大きく動き出す

2016年12月15日
編集部

 2016年の新語・流行語大賞は「神ってる」。今年の一皿は「パクチー料理」。今年の世相を表す漢字は「金」に決まった。楽天市場2016年ヒット商品番付では、東の横綱は「♯インスタ映え消費」、西の横綱は「ハイブリッド○○」となり、年末ムードが一気に押し寄せてきた。

 観光業界は3月26日には、北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開業し、明るい話題に包まれたが、4月に発生した熊本地震は、大きな打撃を与えた。8月の台風は北海道や岩手県・岩泉町など多くの地域が被災した。10月には鳥取中部地震も発生した。訪日外国人客は10月に史上初の2千万人を突破し、“爆買い”ブームは沈静化しつつも、「インバウンド」というワードは今年も観光業界の話題の中心にあった。

 そんななか、「違法民泊」の問題が観光業界を超えて大きな議論の的となった。旅行者の宿泊形態も多様化しており、さまざまなメニューをそろえる必要性もある。ただ、家主不在の投機を目的としたものを「民泊」と呼ぶには違和感を覚える。「民泊新法」が来年の通常国会に提出される予定だが、17年は宿泊業界も大きな枠組みの変化を迎えるだろう。

 国際的にも大きく動いた年だった。6月には英国の国民投票でEU離脱を決めた。11月の米国大統領選挙ではドナルド・トランプ氏が勝利した。韓国では朴槿恵大統領の弾劾訴追案が国会で可決され、職務停止となった。日本の安倍晋三首相は、年末に山口県長門市でロシアのプーチン大統領と会談し、その後米国・オバマ大統領とハワイ・真珠湾を訪問する。5月のオバマ大統領の広島訪問に加え、歴史的な年となる。さまざま変化が世界中、日本国内でも起こったが、本当に大きく動き出すのは17年だ。

 この数年、インバウンドが注目され続けているが、日本人の旅行動向も変化している。JTBの年末年始旅行動向によると、海外旅行が前年同期比3・3%増加する見込みだ。プラス成長は3年ぶりだ。円高傾向と、燃油サーチャージがなくなったことがその主な要因だという。しかし、来年2月には燃油サーチャージが復活する。この勢いがどこまで続くか、不安材料もある。

 長年低迷を続ける海外旅行を盛り上げるには、熟年や高齢者に頼る市場ではなく、やはり若年層への旅行喚起が必要だ。若者が旅行に行きづらい環境にあることが最大の問題ではあるが、旅行会社や旅館・ホテルもこれからの新しい層を取り込む努力をしなければ、業界ごと取り残されてしまうこともある。

 お客を受け入れる側のおもてなしやホスピタリティが取りざたされるが、むしろ最近は客の無作法が目立っている。

 老舗宿などでも「最近はこちらが教わるような、ごもっともな鋭い指摘をされるお客様はほとんどいなくなり、理不尽な言いがかりをつけるお客様が多くなりました」というような話をよく耳にする。

 本来、客と店は対等な関係であるが、今は高級店、大衆店を問わず、「自分は客なのだから」と、どんなわがままを押し通しても許されると勘違いしている客がやたら増えている。日本式の“世界に誇る”おもてなしは、無作法な客を甘えさせている、というのは言い過ぎだろうか。

(編集長・増田 剛)

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。