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黒字は35% 大都市に集中、人件費上昇と開く収支差(15年度乗合バス事業収支状況)

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 国土交通省はこのほど、2015年度乗合バス事業の収支状況を発表した。保有車両数30台以上の事業者248社を対象に調査し、黒字事業者は全体の35・1%にあたる87社となった。全事業者の概況は、収入が前年度比1・3%増、支出は同0・5%減。経常収支率は1・8ポイント改善して97・0%。「燃料油脂費が減少傾向にあるが、人件費が上昇傾向にあること」や、「地方部と大都市圏の収支状況の格差」をはっきりと示す結果となった。
【後藤 文昭】

 調査は公営と民営、大都市部(三大都市圏)とその他地域に分けた。経常収支率は、公営が前年度比2・7ポイント増の95・1%、民営が同1・5ポイント増の97・5%。公営の黒字事業者は19事業社中4社で、全体の約21%。民営は229社中83社で、全体の約36%を占め、どちらも黒字が半数以下という結果になった。公営の赤字額は79億円、民営は146億円。

 エリア別でみると、大都市圏では、82事業社中黒字が59社で全体の約72%と7割を超える高い結果になった。一方、その他地域は166社中黒字が28社、全体の約17%と極端に低くなる。大都市部の収支損益は140億円の黒字、その他地域は364億円の赤字。その差は224億円と大きな差がついた。

 輸送人員の推移では、大都市圏では同2・0%増の26億2800万人。一方その他地域は同0・4%減の13億2700万人と2年連続で減少している。公営は同1・1%増の9億2400万人、民営は同1・2%増の30億3100万人とともに微増だった。

 公営と民営、大都市部とその他地域で原価に占める燃料油脂費を比べると大きな変化はなく、人件費が占める割合も、4分類とも50%超えと違いはみられない。一方、大都市部の諸経費が37・5%、その他地域が32%と5・5%の差があることも分かった。  

 原価に対して高い割合を占めている人件費は、公営が同1・0%減の875億8800万円となり、5年連続で減少している。一方民営は同1・5%増の3377億5300万円となり、3年連続の上昇。大都市部では、同1・0%増の2459億2000万円。その他地域の人件費は4年連続減少を続けていたが、同1・0%増の1794億2000万円と前年度から約17億円増えた。

 燃料油脂費は人件費と逆に公営、民営、大都市部、その他地域すべてで2年連続の減少。減少幅も、すべて20%台と大幅な減少となった。

 実車走行キロ当たりの原価では公営が同9円61銭安い656円54銭なのに対し、民営は前年より2円22銭高い402円28銭。民営は5年連続で原価が上がっている。輸送人員が多い大都市部では原価が552円27銭と同2円67円値下がったが、輸送人員が少ないその他地域では341円59銭と1円45銭値上がっている。一方実車走行キロ当たりの収入は、公営と民営、大都市部、その他地域すべてで増収している。

 定期券利用者は、公営、民営ともに4年連続の増加で、公営が同1・9%増の2億582万8千人、民営が同2・0%増の7億7186万7千人となった。通勤、通学などの手段としてバス需要は依然として大きいことがわかる。

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