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12年ぶり800万人台回復、連休の日並びや天候に恵まれ、オートキャンプ15年の参加人口

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 日本オートキャンプ協会(明瀬一裕会長)がこのほど発表した「オートキャンプ白書2016」によると、2015年のオートキャンプ参加人口は、03年以来12年ぶりに800万人を超えた。ゴールデンウイークなどの連休の日並びが良く、それらの連休が比較的天候に恵まれていたことが理由に挙げられた。また、「グランピング」がさまざまなメディアに露出し、キャンプは“誰にでもできて楽しめる”という認識が広まることで、キャンプ人口拡大に寄与する結果となった。

 グランピングとは、グラマラス(魅力的な)と、キャンプを合わせた造語。テントやロッジに泊まってホテルのようなサービスを受けられる。キャンプ道具や経験がなくても、アウトドアを楽しむことができ、おしゃれな雰囲気で幅広い層から注目を浴びている。

 同協会は、7月5日に東京都内で発表会を開き、明瀬会長は同白書が創刊から30年目を迎えたことについて言及。発刊の経緯やこれまでの軌跡、今後の展望などを語った。このなかで明瀬会長は「オートキャンプは世に誕生して約半世紀になろうとしているが、新しい発展の段階に入ったのではないか」と述べた。

 15年のオートキャンプ参加人口は、前年比3・8%増の810万人。キャンプ場平均稼働率は、前年から2・3ポイント増の13・5%と過去最高を記録した。地域別では、東北を除くすべての地域で前年を上回り、とくに九州・沖縄では稼働率が倍増した。また、キャンプ場の収支状況で、「黒字・トントン」と答えたのは69・8%(14年61・3%)、一方の「赤字」は26・3%(14年33・4%)と大きく改善し、収支も過去最高となった。

 15年のキャンパー平均年齢は42・4歳で、ここ15年間で4・1歳上昇している。42歳はほぼ「団塊ジュニア」世代にあたり、比較的人口規模の大きい層になる。近年のオートキャンプの好調さの背景には、団塊ジュニア世代である30―40代の子育て期世代が、全体のキャンパーの約7割を占めていることが考えられる。

 また、訪日客が増加するなか、キャンプ場への訪日キャンパーの受け入れについては、「積極的に受け入れていきたい」が15・4%、「受け入れてもよい」が66・0%となり、約8割が訪日キャンパーの受け入れを許容している結果に。

 対して「受け入れたくはない」は14・7%。「言葉を含めて受入体制ができていない」との声が多く、受入側は言葉や文化の壁、マナー違反などの問題に直面している。ただ、旺盛な訪日客需要を取り込む機会を逃す手はない。今後は早急な受入体制づくりなどの対策を講じる必要が求められる。
【平綿 裕一】

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白書創刊から30周年、明瀬会長が軌跡や展望語る(オートキャンプ協会)

明瀬一裕会長
明瀬一裕会長

 オートキャンプ白書は1986年の創刊から今年で30年目を迎える。7月5日に行われた同白書の発表会で、日本オートキャンプ協会の明瀬一裕会長はオートキャンプをめぐる昨今の動きを説明した。

 1960年代に高度経済成長期で国民の可処分所得が増え、モータリゼーション(自動車の大衆化)により移動が容易となり日本でオートキャンプが誕生した。70年代に入ると高度経済成長が終わり、それまでの仕事一辺倒の生活から、「家族と自然のなかで、共有の時間を過ごしたい」という需要が生まれた。オートキャンプはそれに応えるレジャーであるということで、次第に普及していった。

 80年代に入り、経済が低成長となると、金銭消費型レジャーから、時間をゆっくり使う時間消費型レジャーへと収束していき、ますます発展することとなった。

 そして1986年にはオートキャンプ推計人口がついに500万人を超え、国民的レジャーとして定着した。同時に今後はオートキャンプの実態を明らかにすべきとの認識がなされて、オートキャンプ白書が創刊された。

 その後、90年代に入るとバブル経済を背景に空前のアウトドアブームが起こり、96年にはオートキャンプ参加人口が1580万人に達し、ピークを迎えた。

 ピークからの20年を振り返ると、最初の10年間は減少の一途、後半はほぼ横ばいだったと総括できる。ただ、オートキャンプが低迷したのではなく、むしろ逆で、この20年間は700万人を下限として、底堅く推移したからだ。つまり、30―40代の子育て世代の家族が、毎年、30―40万世帯ほど新規参入し、参加人口を支えてきたことに他ならない。

 08年のリーマンショックを端に発した世界的な金融危機や、2011年の東日本大震災という未曽有の災害においても、そのエネルギーはいささかも揺るぐことなかった。

 そして、13、14年は僅かに参加人口が増加。少子高齢化、人口減少の相対的な人口動態のなか、2年続けて増えたことはオートキャンプが新しい広がりを見せ始めたのではないか、と昨年指摘した。これは、参加人口が12年ぶりに800万人台を回復したことで立証された。

 背景として、30―40代の子育て世代のオートキャンプに対する需要がこれまでにも増して強くなったことと、前後の20代、50代の参加人口が増えていること。さらに、訪日客のオートキャンプ場の利用などが推察できる。そしてこのことは、オートキャンプが世に誕生して約半世紀になろうとしているが、新しい、発展の段階に入ったということを物語っている。

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