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【WIT(Web in Travel)国際会議 OTAのトップリーダーが熱く議論】投資、買収、提携、撤退 ―今後の展望を問う

(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏
(左から)西田裕志氏、宮本賢一郎氏

「変わりゆく日本市場」テーマに
 世界各国からオンライン旅行会社(OTA)などの代表らが集まる「WIT(Web in Travel)JAPAN& NORTH ASIA 2016」国際会議が6月3日に、ヒルトン東京お台場(東京都港区)で開かれ、国内外のOTAのトップリーダーらが参加した。投資、買収、提携、撤退――。それぞれ自分たちを中心に駆け抜けてきたOTA企業が、現在、そのあり方を模索している。登壇者は熱い議論を交わしながら、これからの展望を語った。
【平綿 裕一】

 今やITテクノロジーと旅行業は切り離せない関係となっている。同会議は旅行業界や市場の流行に関して、北東アジアをはじめとするアジア市場を中心に、OTAや、航空業、ホテル・旅館業などの代表らを迎えて行われた。

 パネルディスカッション「変わりゆく日本マーケット―主要OTAの動向」では、楽天トラベル事業部副事業長兼編成・マーケティング部部長の高野芳行氏、ヤフーショッピングカンパニー予約事業本部トラベルサービスマネージャーの西田裕志氏、リクルートライフスタイル執行役員旅行領域担当の宮本賢一郎氏、一休社長の榊淳氏、i.JTB執行役員兼販売本部副本部長の山口健一氏が登壇した。司会は同会議の実行委員長を務める、ベンチャーリパブリック社長の柴田啓氏。登壇者らに踏み込んだ質問を投げかけた。

高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏
高野芳行氏、榊淳氏、山口健一氏

 リクルートの宮本氏は、「日本のモバイルのシェアが3年後にどうなっているか」との質問に対し、他の登壇者は50―70%になると予想するなか、40%と回答。理由を問われると、「モバイルの比率が高くなっていく流れは変わらないと思う。しかし、日本の国内市場の人口構成比は他のAPAC(アジア太平洋地域)と異なっていて、国内市場は50歳以上のシニア層が半数以上という事実もある。なので、進展が遅いのではないかと考えている」と推論を展開した。

司会の柴田啓氏
司会の柴田啓氏

 また、司会の柴田氏は、「今回、ヤフーだけのセッションを作ろうとした。なぜなら過去20カ月の間に、ここにいる一休を含め、かなり旅行分野に投資をされた」と前置きし、ヤフーの西田氏にいったいどれほど投資したのか聞いたところ、「約1千億円で、これほどの金額を投資したのは他分野を含めて、旅行分野がおそらく初めて」と答え、旅行分野への野心を顕わにした。続けて柴田氏は、「その投資がどれほど利益をもたらし、毎年どれほど回収できるのか」と踏み込んだ質問をすると、西田氏は「短期的には答えづらい」と濁しつつ、「ヤフーは旅行分野で多くのサービスがあり、さまざまなソリューションがある。買収や提携をしたところは、ヤフーが基本的に持ってなかったコンテンツを保持している会社。そこを組み合わせれば、可能性は無限に広がっていく」と事業拡大に自信をのぞかせた。

 このあと、ディスカッションは海外事業の話題へ移り、司会の柴田氏は、リクルートの宮本氏、楽天の高野氏らのそれぞれの海外事業について焦点を置いた。

 柴田氏は、リクルートの海外事業について、「インドネシア、フィリピンなどで数年OTAの事業を行っていた。しかし、この1年程でほとんどすべての会社を子会社にし、構造を変えた」と説明し、そこで何を学んだのか宮本氏に問うと、「ローカライズの重要性。結局、地域各国ごとに商習慣の違いがある。一見同じようなWebマーケティングのルールに当てはめても、それぞれの現地スタッフが、現地に合ったかたちで対応しないといけない」と答え、自社の海外事業に関して冷静な分析をした。

 柴田氏は、楽天が今年に入りシンガポールやマレーシア、インドネシアなどのeコマース関係のオペレーションすべて閉鎖したことに触れ、その理由を高野氏に質問。これに対し、「選択と集中だ」とし、「楽天は『Vision2020』を掲げて3つの柱を立てた。これは、ストロングビジネス、スマートビジネス、スピードビジネスで、この3つの戦略的分野に投資していく。売上高は1兆7千億円、営業利益は3千億円を目指す」と述べた。ひとまず非選択としたエリアから離れ、3つの分野に集中していく構えだ。

 しかし、高野氏は、「グローバルという意味では台湾などが『ストロングビジネス』に位置する。引き続き楽天カード台湾や楽天市場台湾など、連携し、コラボレーションして日本と同じような下地を生み出していく」と話し今後も基本的に海外事業に力を入れて活動していくことを強調した。

 ディスカッションの終盤では、それまでとは違った向きの質問もあった。

 一休の榊氏は、もし明日仕事を変えられて、海外OTAで働けるとしたらどこの企業にいきたいかという質問に対して、「トリップアドバイザー」と回答し、「個人的な見解だが、バリューチェーンが広がってきていると感じている。川上のサーチのところから、予約、そして旅後の口コミの共有など、バリューチェーンをすべて押さえている。これは非常に優位なポジションだと思っている」と理由を語った。

 i.JTBの山口氏は、もし観光大臣になり100億円の予算を組まれたら、なにに使うかという質問に対し、「交通費を安くし移動費を抑えられることができれば、いろいろなところに交流ができるのではないか、移動がとにかく簡単にできれば、もっと活性化していくはず」と話した。

 ディスカッション全体を通して、柴田氏を中心にさまざまな質問や議論が展開された。今後は海外OTAが、ますます日本市場に参入してくることは避けられず、これについて脅威に感じるかとの質問に、登壇者ら全員が少なからず脅威に感じていると述べ、 近年国内OTAのトップリーダーらが慌ただしく動いている理由も垣間見ることができた。

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