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地域を変革する人材、高度化する復興人材ニーズ

日本財団の青柳光昌氏
日本財団の青柳光昌氏

 転職支援サービスを展開するビズリーチが3月9日に東京都内で開いたセミナーで、東北復興の人材紹介事業を進める日本財団の青柳光昌氏がこれからの東北に求められる人材について語った。震災復興を機に全国からさまざまな「復興人材」が東北に集まるなか、観光分野の人材ニーズも「地域を変革する人材」と高度化している。

 旅館・ホテル業は、復興ラッシュで回復してきた建設業や運送業と異なり、売上水準が震災前水準まで回復していないところが多い。訪日面を見ても、全国的に外国人観光客の増加が目立つなかで、東北には年間50万人程度しか訪れていないという現状があり、観光推進は東北の喫緊の課題となっている。

 青柳氏によると「地域をリブランディングできる人材」が必要という。岩手県釜石市は全国的に「鉄鋼のまち」のイメージとして知られているが、2019年のラグビーワールドカップの開催地に決定してから「スポーツのまち」のイメージが板についた。このような地域の変革が今、被災地には求められているのだという。

 変革には「ヨソ者目線」も重要だ。外部の人間は地域の人々が見落としがちな資源を魅力として引き出す力があるので、「ヨソ者」がリブランディングのきっかけをつくる可能性に大きな期待が寄せられている。

 実務面で不足している人材は「販売ルートを確保できる人材」という。ハードが復旧するだけでは観光客は集まらない。誘客の仕組みを考案できるマーケッターの存在が必要になってくる。

 復興地域のなかでもとくに観光施策が進んでいる地域を聞くと「宮城県石巻市の隣にある女川町ですね。観光施策が驚くほど早く進んでいます」と高く評価した。

 女川町には東北電力の原発(現在運転停止中)があるため、財政面での民間の動きが早かった。また、地域の若手が中心になって復興を進めているため、新しいことへのチャレンジが活発で、スピード感のある復興が進んでいる。

 「被災後すぐに釜石の商工会長らが、次世代を担う若手に釜石の将来を預けました。足りない部分があれば年長者の知見でサポートする、という体制です。地方では珍しいことだと思います」と力を込めた。

 女川町の観光振興を全体的にみると、「定住してほしい」「観光に来てほしい」と露骨な要求がないところがポイントという。「女川町のことを少しでも気にしてくれるファンを増やすために、女川町の良さに磨きをかけているのです」。

 昨年再開したJR女川駅の新駅舎は海にかけて一直線にプロムナードを伸ばし、町の美しさを引き立てる。これからの東北復興は、リブランディングやヨソ者視先、新しい考えの導入など、考え方の充実さが肝になる。本格的に「人」が東北をステップアップさせる時代がやってきた。

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