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【特集No.595】箱根塔ノ沢温泉「一の湯」 マニュアル化で業務工程を明確に

2021年11月1日
編集部:増田 剛

2021年11月1日(月) 配信 

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気の秘訣を探っていく対談シリーズ「いい旅館にしよう! Ⅲ」の9回目は、神奈川県・箱根塔ノ沢温泉「一の湯」社長の小川尊也氏が登場。一の湯は、スタディスト(鈴木悟史社長)のマニュアル作成・共有システム「ティーチミー・ビズ」を活用し、毎日マニュアルを更新している。内藤氏と「マニュアル化で業務工程を明確化する」取り組みについて語り合った。

【増田 剛】

 ――小川社長は一の湯に帰る前は何をやられていたのですか。

 小川:大学を卒業後、イタリアンレストランチェーンのサイゼリヤで7年間、店長など店舗オペレーションに携わっていました。
 2015年に箱根は噴火の警戒レベルが上がり、先代(父)から「戻ってきてほしい」と言われました。「跡を継いでくれ」とは一度も言われたことは無かったのですが、その一言が胸に響き、即座に宿に帰ることを決意しました。
 15年から1年間、一の湯の現場で商品開発部の立ち上げや、PB(プライベート・ブランド)などにも着手しました。17年に16代目の社長に就任しました。

 内藤:なぜサイゼリヤに入社したのですか。

 小川:一の湯がサイゼリヤと同じように旅館をチェーン展開していることは、子供のころから知っていました。セントラルキッチンが存在し、予約センターが分離しているなど、普通の旅館とは違うことは意識していました。「チェーンストアを自ら経験してみたい」という思いがあり、さまざまな選択肢の中で、食を通して日常の豊かさを提案するサイゼリヤの理論やビジョンに惚れて入社しました。

 内藤:サイゼリヤでは具体的にどのようなことをやられていたのですか。

 小川:店長としてお客様と対峙しながら、現場のコントロールや「どうしたらお客様に喜んでいただけるか」を追求していました。「何があっても、お客様、従業員、取引先、株主のために動く」という、理念にブレがないことを徹底的に学びました。
 一の湯に入って内部を見ると、まったく違っていました。全社員に「一の湯の経営理念は?」と質問しましたが、誰1人言えませんでした。サイゼリヤでは新卒を大量採用し、入社後1カ月間はホテルに「館詰」で徹底的に教育していきます。

 内藤:当時の一の湯を、あえて批判的に課題を挙げていただくと、他の旅館も共通した課題として参考にもなります。

 小川:3S主義という部分、つまり「標準化(Standardization)」「単純化(Simplification)」「徹底化(Specialization)」が何一つできていませんでした。
 業務マニュアルは一応ありましたが、我流でやっていました。どこの店舗に行っても物の配置が異なっていました。調理方法や、道具もバラバラでした。「これが正しい」という1本の軸、「正解」を作ってあげないと、商品の品質がブレますし、お客様の印象も変わってきます。
 まずは経営理念とマニュアルを作ることからスタートしました。マニュアルをバインダーにしていましたが、常に差し替えていくべきものが、2015年に宿に入ったとき、前回の更新が06年というような状態でした。

 内藤:盛り付け方がバラバラなど、実際にクレームなど問題は起こっていましたか。

 小川:現場で問題が発生していたかどうか、それすらも分かっていなかったと思います。「報告する」という概念がなかったので、トラブルは現場で対応して、それで完結していたと思います。今はクレームを含め、お客様の声が現場からたくさん上がってきます。
 離職の問題もありました。新入社員も2、3年で辞めてしまう理由は「ずっと放置され、教育をされないから」です。
 教育にもつながることですが、一の湯には、セントラルキッチンに板前がいますが、各店舗にはいません。そのうえで、原材料の段階から消費者にわたるまで全責任を一貫して持つ「バーティカル・マーチャンダイジング」の考え方を取り入れ、産地から食材を探し、自分たちが提供したい商品を創る「商品開発部」を立ち上げました。
 そこでカタチになったのがコーヒーやカレー、ラーメンなどの自社独自の商品開発です。夕食も朝食も「我われが本当に出したいものを出す」方向に動いています。

 内藤:バーティカル・マーチャンダイジングは面白い考え方だと思います。チェーンストアでは当たり前の考え方ですが、旅館業界ではこれまであまり議論されることはありませんでした。

 小川:もう1つ、離職の課題解決には、朝働いて、中抜けで5―6時間休憩して、夜働くというのが旅館の一般的な働き方ですが、中抜けを無くしました。「朝、昼働いて帰る」「昼、夜働いて帰る」というシフトに変えています。

 内藤:中抜けは問題だと感じたのですか。……

【全文は、本紙1847号または11月5日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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