高知県旅行の交通費助成、6月30日(泊)分まで期間を延長 現在は運用停止中で感染状況踏まえ再開予定

2021年2月15日(月)配信

桂浜(イメージ)

 高知県はこのほど、県内宿泊を伴う旅行の交通費を助成する「高知観光リカバリーキャンペーン」について、期間を延長し2021年6月30日(水)宿泊分までを対象とすることとした。

 当初は2月28日(日)までの宿泊を対象としていた。キャンペーンでは企画に参加する県内施設に宿泊すると、1旅行当たり1人(台)最大5000円を交付する。自家用車などで高速道路を利用した場合は、1台当たりの高速道路利用料金を対象とするほか、交通費が5000円に満たない場合は、実費を助成する。旅行者自身が利用できるほか、旅行会社が販売する商品についても同様に取り扱う。

 なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため本事業は昨年12月28日(月)から、適用を一時停止している。再開時期は高知県や全国の感染状況を踏まえ、改めて発表する。

「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(121) 感謝の想いを持ってスタートラインに立つ 明日へつなぐ今を大事に

2021年2月14日(日) 配信

 

 ジャラジャラと料金箱に次々と落ちていく運賃。1人の利用者からいただけるお金は、わずか百数十円と少額かもしれませんが、そのお金の積み重ねで私たちの日々の生活ができています。子供たちを学校に通わせ、車や家も買えたのです。これは路線バス運転士の研修でいつも私が話していることです。

 ところが、その運賃をいただくときに運転士から「感謝の言葉」を聞けることは意外に少ないのです。言っているのかもしれませんが、聞こえません。利用者の顔を見ないで前を向いたまま言うのが理由と考えられます。

 ある日、子供連れの利用者が降車口に向かって行きました。背の低い子供には、運賃の投入口が見えません。大概後ろに並ぶ降車客を気にして、親は慌てて子供を抱き上げて運賃を入れさせます。

 そのとき、運転士は無表情で料金箱を指し示すだけです。残念ですがそんな光景をよく見かけます。子供たちは何にでも興味を持ち、大人がするようにやってみたいと思うものです。上手くできたら誇らしく「またバスに乗りたい」と親にせがむかもしれません。

 そして、大きくなれば、最も親しみのある欠かせない交通機関になっていくのです。

 北海道帯広市の十勝バスは、通学定期の利用枠を広げ学校以外にもクラブ活動などで使えるようにして、学生に最も身近で便利な交通機関となり、数年後には通勤定期の利用者が増えました。未来のお客様を創造する壮大なプロジェクトが成功したのです。

 あるとき、航空会社のCA研修時に「飛行機はなぜ飛ぶのでしょうか」と質問しました。「ご利用いただけるお客様がいるから、飛行機は飛ぶのです」という答えは、コロナ禍の中でより強く意識してもらえるようになりました。

 この当たり前のことに、改めて気付かされたとき、その感謝の想いをどのような行動でお客様に伝えたらよいのでしょうか。それを実行に移すやり方を学ぶのが今なのです。

 今、改めて宿泊業の方々にお願いしていることがあります。今まで忙しくて手が回らない、と軽視していたことを始めてみましょう。1つに「お礼状」があります。現場での満足度を高めることに一生懸命で、手が付けられていなかったことです。

 東京にある、私の大好きなレストラン「カシータ」では、オープン当時お客様が少なくて苦しいときにオーナーが店長に話された言葉で「今日お越しくださったお客様が、次に必ずまたお越しいただくことだけを考えて実行してくれ」が今も大切にされています。

 どんなに苦しい状況でも「感謝の想い」があれば、毎日スタートラインはやって来ます。今日をスタートラインに顔晴りましょう。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

共立メンテナンス 京都に和風ホテル 長崎駅前にも1月開業

2021年2月13日(土) 配信

「御宿 野乃 京都七条」の畳敷きロビー(イメージ)

 ビジネスホテル「ドーミーイン」やリゾートホテル「共立リゾート」を全国で運営する共立メンテナンス(上田卓味社長、東京都千代田区)は今年1月、京都市と長崎市に新たなホテルをオープンした。

 京都市に1月13日、開業した「天然温泉蓮花の湯 御宿 野乃 京都七条」は、同社が展開する全館畳敷き、天然温泉完備の和風ビジネスホテル「御宿 野乃」シリーズの6棟目となるホテル。ドーミーインチェーン最大の客室数全471室を備える。

 JR京都駅から徒歩圏内の好立地にあり、京都観光の出発地としても最適。朝食には、ご当地メニュー「国産鴨と九条ねぎのしゃぶしゃぶ」や、京都老舗「ゆば庄」の湯葉を使用した「湯葉丼」など、地元食材を使った約60品目のバイキングを用意する。

ドーミーインPREMIUM長崎駅前の天然温泉大浴場(イメージ)

 また、1月27日には、長崎県内2棟目の出店となる「天然温泉 鶴港の湯 ドーミーインPREMIUM長崎駅前」をオープン。JR長崎本線長崎駅から徒歩5分の立地にあり、出張や観光に適している。

 客室数は全219室。ダブルを中心に、ツインやトリプルなど6タイプの客室を備える。全室にシモンズ社製ベッドを導入する。朝食は、長崎県産アジを使った「鯵たたき丼」など約50品目の和洋食バイキングを用意する。

全旅連青年部 知恵結集し、生き抜く 約60人が参加 〝分散型〟提案

2021年2月13日(土) 配信

参加者ら。「皆様のお越しをお待ちしております」と消費者に向け手を振った

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(鈴木治彦部長)は2月8日(月)、全国旅館・ホテルサミット2021をオンラインで開いた。コロナ禍で、宿泊施設の需要が減少するなか、全国にある宿泊施設の経営者ら約60人が、混雑を回避できる「分散型旅行」などの理解を深めた。そのうえで、「全国の同志の知恵を結集、コロナ禍を生き抜く!」をテーマに、自社の取り組みなどをグループワーク形式で語り合った。【木下 裕斗】

 冒頭のあいさつで、鈴木治彦部長は「各宿泊施設の知恵を結集し、ウィズコロナ時代を明るく過ごせるようにしたい」と呼び掛けた。

鈴木治彦部長。「ウィズコロナ時代を明るく過ごせるようしたい」と呼び掛けた

 基調講演では政策担当の星永重副部長と、総務・広報担当の田辺大輔副部長が分散型旅行の普及を提案した。

 福島県の会津・湯野上温泉で「藤龍館」を経営する星副部長は、利用客が繁忙期に集中していることを指摘。「ウィズコロナ時代に向けて、混雑を回避するアイデアを練る必要がある」と訴えた。

星永重副部長。分散型旅行の普及を促した

 閑散期にも集客に力を入れる事例として、田辺副部長は自館の「さぎの湯荘」(島根県安来市)で行う、冬の白鳥と6月のホタル見学ツアーを紹介した。

 「(コロナ禍で)混雑を避ける声が増えている。ツアーも行うことで、単価も上げることができた」と効果を話した。

 星副部長は「お客様が少ない今は、新しい地域の魅力を発掘できるチャンス」と分散型旅行の実施を促した。

 ワーク―シップは5~7人ずつに分かれ、共通のテーマでグループワークを行った。「お客様が求める旅」については、四万やまぐち館(群馬県・中之条町)の山口晋吾副社長が、ほかのグループと接触を避ける声が増えたことを受け、部屋食を始めたことを報告した。

 奥飛騨ガーデンホテル焼岳(岐阜県高山市)の石田剛大社長は、自館の周辺にある立ち寄り施設の多くが休業している状況にあり、「ツアーを組みづらくなった旅行会社が多い。宿はこれまでよりも早い時間帯に宿泊客を受け入れる必要性」を提案した。

 「お客様をどうもてなすか、宿泊施設が提案すべき旅」では、割烹旅館清都(千葉県南房総市)の清都俊仁専務は滞在中の移動について「(感染を防止するため)公共交通機関を避ける人が増えている」と語り、観光地を自転車で巡るサイクルツーリズムに力を入れている。「2次交通の課題も解決できる」と強調した。

 「どう利益を出し、どう雇用を維持するか」では、星副部長が経営者の高齢化や、コロナ禍による利用減で廃業した宿が自館の周辺に多くあることに着目。「ほかの利用者との接触を回避したい」消費者の声に応えようと、周辺の宿の運営を担い、一棟貸しを始めたという。

 「客室間以上に間隔が空く利点があり、コロナ禍でも集客を見込める」と自信をみせた。

 鈴木部長が「実際に部員の表情を見ながら、知恵を出し合えたことは青年部の成果になった」と振り返った。

 星副部長は「収束後、訪日客は必ず戻るが、各国で取り合いになる可能性がある。サミットで実感した高い〝日本の競争力〟で臨みたい」と締めた。

スポーツ文化ツーリズムアワード2020 「おわせ海・山ツーデーウォーク」ら13団体入賞 

2021年2月12日(金) 配信

スポーツ庁らはこのほど、「スポーツ文化ツーリズムアワード2020」の受賞団体を発表した

 スポーツ庁、文化庁、観光庁の3庁はこのほど、「スポーツ文化ツーリズムアワード2020」の応募数48件の中から13件の受賞団体を発表した。スポーツや文化芸術資源の融合により、新たに生まれる地域の魅力を国内外に発信し、訪日外国人旅行者の増加や国内観光の活性化をはかる目的。

 スポーツ文化ツーリズム賞には、「おわせ海・山ツーデーウォーク」(同実行委員会、三重県尾鷲市)と、「富士下山~富士山の知られざる魅力に出会う自然旅行~」(富士山ネイチャーツアーズ)の2件が選出された。

 「おわせ海・山ツーデーウォーク」では、世界遺産の熊野古道伊勢路を歩く大会で、定期的なコース整備や保全活動を通して、熊野古道のレガシーを構成に伝える役割も担っている。地域の自然を生かしていることや、スポーツ振興への寄与、文化の活用、経済効果、将来性など、実績・総合力で最高評価を獲得した。

 「富士下山~富士山の知られざる魅力に出会う自然旅行~」は、「富士山の魅力は5合目より下にその7割がある」というツアーコンセプトのもと、富士山を下って楽しむオリジナルエコツアー。

 山を下りながら自然遺産としての富士山を楽しむという点がユニークだとして評価につながった。

 

 各賞の受賞取組は次の通り。

 

【スポーツツーリズム賞】

「あるがままの自然を活用したアウトドアスポーツ“アドベンチャーレース”を全国で展開」(エクストレモ)

「FIBA 3×3 World Tour Utsunomiya Final 2019」(同実行委員会)

 

【文化ツーリズム賞】

「日本遺産北前船を通じた各地の文化資源活用と観光振興」(北前船交流拡大機構)

「重要文化財の保存修理工事を観光資源化『道後温泉本館×火の鳥 道後REBORNプロジェクト』」(愛媛県松山市)

 

【武道ツーリズム賞】

「世界でただ一つ! 空手発祥地“沖縄”の空手ツーリズム事業」(Ageshio Japan)

「居合道発祥の地でサムライ体験 山形県村山市」(むらやま武道ツーリズム推進協議会)

 

【日本遺産ツーリズム賞】

「和歌山ジャズマラソン」(和歌山県和歌山市)

「出羽三山の精神文化と山形交響楽団のコラボレーションによるコンサート『出羽三山シンフォニー』」(出羽三山シンフォニー実行委員会)

 

【食文化ツーリズム賞】

「TOYOURA世界ホタテ釣り選手権大会 ~The world scallop fishing Championships~」(TOYOURA世界ホタテ釣り協会)

「『晴レの酒、花の宴。』 日本酒蔵ツーリズム推進事業」(日本酒蔵ツーリズム推進協議会)

「ジオ・ガストロノミー・ツーリズム」(しもきたTABIあしすと)

Go To利用実績 約8781万人泊 利用割引支援額は約5399億円に(観光庁)

2021年2月12日(金) 配信

観光庁

 観光庁はこのほど、2020年7月22日(水)~12月28日(月)チェックアウト分までのGo Toトラベル事業の利用実績を発表した。利用人泊数は約8781万人泊、支援額は約5399億円となり、このうち地域共通クーポンの付与額は、約1317億円(10月1日~12月28日)規模に達した。

 1人泊当たりの割引支援額は約4649円で、1人泊当たりの旅行代金は約1万3282円と推計した。

 同事業開始からの利用人泊数は、8月末時点で少なくとも1563万人泊、9月末で2981万人泊、10月末で5186万人泊、11月末で7752万人泊と、前月比1000万人泊以上増で推移している。

 また、利用価格帯(7~10月の宿泊旅行)で見ると、宿泊単品は「5000円以上1万円未満」の利用者が41・1%と最も多く、次いで「5000円未満」(25・8%)と、比較的低価格帯の利用が中心となっている。

祭り応援ビールを販売、売上10%を祭り主催者に寄付へ

2021年2月12日(金)配信

マツリエール(写真左)

 オマツリジャパン(加藤優子社長、東京都渋谷区)は、ケイズブルーイングカンパニー(加藤秀則社長、福岡県福岡市)と共同で、全国の祭りを応援するクラフトビール「マツリエール」を開発した。コロナ禍で中止や規模縮小に追い込まれている祭りを支援するために企画し、3月3日(水)から販売を始める。

 売上の10%を、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策費用として、祭り主催者に寄付する。寄付先は、東京高円寺阿波おどり(東京都)、越中八尾おわら風の盆(富山県)、新居浜太鼓祭り(愛媛県)。このほか、九州・東北の祭りも現在調整している。

 「マツリエール」は、祭りの持つ「伝統」のイメージから、イギリスの伝統的なスタイルであるペールエールを採用。フレッシュな柑橘を思わせるホップの華やかな香りと、ペールエール本来のモルティさのバランス、程よいボディが特徴だ。飲んだあとはクリーンで親しみやすい余韻が残るように醸造したという。

 ラベルは「全国の祭りを応援する」というコンセプトで、祭りの提灯を模したデザインを採用。お祭りファンにとどまらず、より多くの人に支援してもらいたい思いを込めて、ポップな雰囲気に仕上げた。

 内容量は1本330㍉㍑で、アルコール分は5%。価格は6本セットで3960円(税込)+配送料。500セット限定で、ブルーマスターECサイトで販売する。

21年2月入社は36人、うち新卒は28人 星野リゾート

2021年2月12日(金) 配信

星野リゾートは2月5日(金)、リゾナーレ八ヶ岳で21年2月入社式を開いた

 星野リゾート(星野佳路社長、長野県・軽井沢町)は2月5日(金)、リゾナーレ八ヶ岳で2021年2月の入社式を開いた。入社人数は36人、うち新卒入社は28人となった。

 同社では、新入社員が入社時期を4、6、10、2月のうちから選ぶ方式を採用している。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響があり、4、6月は新入社員全員が集う形での入社式を中止していたが、10月から再開した。

 新入社員は2月1日から5日間、新入社員研修「Warm-up Camp」に参加した。今年2月のテーマ「Survive~不確実な世の中でも生き残るためのスキル習得~」のもと、実際のホテル運営を体験しながら、ディスカッションやグループワークを通じて運営に必要なスキルを学んだ。

 入社式では毎回恒例となる、手形で契りを残す「契りの会」を行った。また、チームごとに、働くうえでの決意を川柳で発表した。

 このほど入社した新入社員は、2月6日(土)から全国各地の施設に着任した。

総合テーマは「ウィズコロナ時代のニューノーマル」 国際観光施設協会 「国際ホテル・レストランショー」にブース出展

2021年2月12日(金) 配信

国際観光施設協会ブースイメージ

 国際観光施設協会(鈴木裕会長)は2月16(火)~19日(金)まで、東京ビッグサイトで行われる「国際ホテル・レストランショー」にブースを出展する。

 総合テーマは、「ウィズコロナ時代のニューノーマル」。協会の総合力を生かすべく、これまで展示チームを担ってきた技術委員会の枠を超え、「ワーケーション」、「フェーズフリー」、「町じゅう旅館・ホテル」、「ウィズコロナ時代の設備」、「ウィズコロナ時代の建築」、「ウィズコロナ時代のインテリア」の6 チームを編成し、ウィズコロナ時代を生き抜くためのハードについて、さまざまな視点から提案を行う。

 展示方法は従来のパネル展示から大型ディスプレイを使った映像展示に変更し、ブースをワーケーションの舞台であるリゾート空間に見立て、音響設備を駆使した大自然の中にいるかのような演出のもと映像を見るようにする。

ムリ・ムダ・ムラを排除し作業効率を上げる 福井県・グランディア芳泉 宿泊業の生産性向上シンポジウム③

2021年2月12日(金) 配信 

第3回シンポジウムでは、グランディア芳泉がムダを排除した生産性向上の方法を紹介した

 観光庁と日本生産性本部は2月中、宿泊事業者の生産性向上に向けての取り組み事例を紹介する「宿泊業の生産性向上シンポジウム」を計5回行う。2月9日(火)に開かれた第3回シンポジウムでは、あわら温泉 グランディア芳泉(山口透社長、福井県あわら市)が「全社一丸となった生産性向上と働き方改革」をテーマに講演を行った。

 同旅館が生産性向上に取り組むきっかけとなったのは、「過剰な債務や、古くて時代遅れな施設、過酷な労働条件などの、旅館業の厳しい経営実態があったから」(山口賢司専務)と説明した。

 持続可能なビジネスモデルの構築を急いだ結果、社員全員の「生産性向上への理解」が必要不可欠だとした。

 とくに、お客の求めていない作業「ムリ・ムダ・ムラ」を排除することで、標準化やIT化、準備をしない、まとめてやらないなど、作業効率を上げる方法を実施した。

 具体的な取り組みとして、これまでレストランや食事処で手書きのテーブルレイアウトを用意していたのを、POS(販売時点情報管理)システムを導入し、急なテーブル変更にも対応ができるようにした。また、お客ごとに席を固定しセッティングしていた事前席割りを廃止し、始業前の準備時間の大幅な短縮に成功した。

 また、従業員のマルチスキル化にとどまらず、顧客満足を上げるために、①接客時間を増やす②出来立ての料理を提供する③個別にきめ細かく対応する──など、「作業効率化」と「品質向上」を同時に行うことで、生産性向上を目指した。

 この方針に従って、現場作業の改善を行った。予約部では電話による予約確認作業を廃止し、サービス部では宴会場や会議場などの案内表示板を電子化して、デジタルサイネージを活用した。

 全社共通の取り組みとして、フロントから電話で各部署に連絡していた従来のやり方から、ビジネスチャットを導入し、館内連絡をリアルタイムで共有できるようにした。

 山口専務は、「顧客の要望を満たす作業提供に徹することで、品質があがると同時に、社員のモチベーションもアップする」と力を込めた。

 これらの取り組みの成果として、従業員の年間休日105日となり週休2日制の導入が叶い、売上高経常利益率は10%を達成した。

 最後に、「改善に必要なのは経営者のブレないビジョンと、社員の思いと行動力。慣習や理論に頼らず、現場観察を重視してほしい」とアドバイスを送った。