NZの「クォールマーク」参考に、インバウンド誘致で海外視察

高橋五輪夫委員長
高橋五輪夫委員長

新潟県旅館組合青年部(大竹啓五部長)は1月18日、新潟市内の岩室温泉ゆもとやで新年会を開き、魚沼市や南魚沼市、湯沢町、十日町、津南町、群馬県みなかみ町、長野県栄村の7市町村が連携し地域経済の活性化を目指す雪国観光圏事業を報告した。

 雪国観光圏の高橋五輪夫インバウンド委員長は昨年12月、日本貿易振興機構(JETRO)の地域間産業交流事業(RIT)として観光先進国ニュージーランドを視察。一番の目的は、旅行業者格付け制度「クォールマーク」を勉強するため。この制度は宿泊施設や、輸送機関、旅行プログラムなどを安全性や自然への配慮に応じて格付ける。宿泊施設だけでもホテルやバックパッカー専用、自炊設備付など8つのカテゴリーがあり、利用目的に応じてカテゴリー分けしているところに特徴がある。審査するのは国が指定する第三機関。

 

 高橋インバウンド委員長は「外国人旅行者に満足してもらうためにはどうしたらいいかを考えた。格付けというと語弊があるが、カテゴリーで分けて宿泊施設を紹介すれば旅行スタイルに合わせて利用してくれるのではないか」と話した。

 JETRO新潟の池下譲治所長はクォールマークについて「旅行者にとってわかりやすい制度。初めて訪れる外国人旅行者も安心してサービスを受けられる。ニュージーランドの旅行者総数の半分以上を海外旅行者が占める要因にもなっている」とインバウンド誘致に利点があるとし、「こういう制度は皆さんに広め共有していくことが大事。ゆくゆくは日本全国に広めていきたいという野心を持っている」と話した。

 会に先だちセミナーが開かれ、国土交通省北陸信越運輸局の岩城宏幸企画観光部長が登壇。「観光政策の現状と今後」をテーマに講演した。

 岩城部長は、「世界観光機関(UNWTO)の予測のよると2020年までに東アジアで交流人口は4億人まで急拡大する。アジア各国で取り合いがはじまる」とインバウンド誘致に今取り組まなければいけない理由を説明。「とくに中国人海外旅行者は毎年500万人ずつ増加し、20年に1億人になると予測されている。中国人観光客のシェアを大きくしないと、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)で定める目標達成は難しい」と話した。

 観光庁は、中国人観光客対応事業として、中国語による旅館文化の情報提供や宿泊施設従業員を対象とした人材育成セミナーなどを行う。

「日本観光振興協会」に、日観協とTIJ合体の新名称

日観協の西田厚聰会長
日観協の西田厚聰会長

 日本観光協会の西田厚聰会長と日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長は1月13日、新春恒例の観光関係者賀詞交歓会で、4月1日からスタートする日本観光協会とTIJの合体組織の新名称に「日本観光振興協会」を検討していることを発表した。

 新春恒例の観光関係者賀詞交歓会が東京都内のホテルで開かれ、観光関係団体や企業、国土交通省、国会議員など約200人が集まった。

 主催の日本観光協会の西田会長は冒頭のあいさつで、4月1日からスタートするTIJとの合体組織の新名称について「日本観光振興協会」がよいのではとTIJの舩山会長と話し合っている旨を発表した。西田会長は「観光はモノ主体の消費型産業ではなく、サービス主体のイノベーティブな産業。観光立国の実現に向け、多くの課題はあるが、既存の古い体質や枠組みを見直し、ダイナミックな取り組みをしていきたい」と決意を語った。

TIJの舩山龍二会長
TIJの舩山龍二会長

 TIJの舩山会長は新組織の名称について、「名は体を表す」とし、「観光業界を盛り上げるには、業界との連帯、地域の自治体や産業、住民との連携が大切。新組織は観光庁のパートナーとして、ただ1点、観光の振興に努めていきたい」と語った。

 来賓の池口修次国土交通副大臣は、訪日外国人3000万人プログラムや、創意工夫による国際競争力をもつ魅力ある観光地づくり、有給休暇取得率のアップや休暇分散化などの休暇改革に、全力をあげ取り組んでいる旨を話し、「休暇分散化については、経済・社会への影響を考えながら、産業界・労働界・教育界・地域、それぞれの課題を整理しながら検討を進めたい」と述べた。

 

No.268 山梨県地域活性化事業 - ユニバーサルツーリズムへ

山梨県地域活性化事業
ユニバーサルツーリズムへ

 障がいを持っている人や高齢者、外国人など、皆が安心して旅館やホテルに泊まれるようにと、昨今注目が集まるユニバーサルデザイン。NPO法人富士山地域創造は2010年12月13日、バリアフリー推進の活動を行っているウエストナウ代表の今西正義氏を講師に迎え、富士河口湖町でバリアフリーツアーサポート事業講演会を開いた。河口湖のユニバーサルツーリズムへ向けての取り組みを通し、皆が快適に暮らす環境、バリアフリーについて考える。
 

【伊集院 悟】

「バリアフリーで快適な町へ」    

「バリアフリーツアーサポート事業講演会」を主催するNPO法人富士山地域創造は、行政では手の届かない隙間をケアしようと、「観光」を中心に地域活性化や地域振興に力を入れる山梨県地域活性化促進事業を展開している。今回、河口湖町にユニバーサルデザインを浸透させるべく、バリアフリー推進活動を行うウエストナウ代表の今西氏を迎え、バリフフリーに関する第1回目の講演会を企画した。

小佐野常夫理事長

 3月10、11日には、河口湖町で障がい者のモニターツアーを開催。電動車イスの人と視覚障がい者を対象に、サポートするボランティアスタッフとともに町を回り、バリア状況について調査、ディスカッションし、改善点として今後に生かしていくという。問い合わせ=電話0555(72)8222。

 富士山地域創造の小佐野常夫理事長は講演会で、「日本はバリアフリーの面では欧米と比較して大きく遅れている。障がいを持っている人に対して、どのようなおもてなしや対応ができるかを皆で考えていきたい」と呼びかけた。さらに、「バリアフリーの問題は障がい者だけの問題ではない。高齢になれば誰でも、目が見えにくくなったり、体が不自由になったりする。来るべき高齢化社会を見据えて、障がいを持っている人や高齢の人も快適に過ごせる環境を目指さなくては」と思いを語った。

 

※ 詳細は本紙1408号または日経テレコン21でお読みいただけます。

第36回「100選」表彰式、1月21日 京王プラザホテル

 旅行新聞新社が主催し、全国旅行業協会(ANTA)および日本旅行業協会(JATA)後援による第36回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」、第31回「プロが選ぶ観光・食事、土産物施設100選」、第20回プロが選ぶ「優良観光バス30選」、選考審査委員特別賞「日本の小宿」の表彰式、祝賀パーティーを1月21日、東京・新宿の京王プラザホテルで開催します。

 表彰式は午前11時から、祝賀パーティーは正午から、本館5階の「コンコードボールルーム」で開きます。表彰式・祝賀パーティーの出席者と本紙読者には、本年の入選施設一覧をまとめた小冊子「100選発表号」をお届けします。巻末には入選施設からご提供をいただいた宿泊券や物産品などのプレゼント企画も実施します。皆様のご応募をお待ちしております。

 「優秀バスガイド」「もてなしの達人」表彰式は2月18日

 第9回「優秀バスガイド」、第8回「もてなしの達人」の表彰式は2月18日、午後1時から浜松町東京會館(東京都港区)で開きます。詳細は後日お知らせします。

空港用竹製車イス、保安検査場もスイスイ

 日本航空(JAL)と独立行政法人産業技術総合研究所、サン創ing(三浦陽治代表、大分県日出町)はこのほど、保安検査場において金属反応が出ない空港用竹製車イスを共同開発した。これまで車イス利用者は金属が検知器に反応するためボディチェックを必ず受けざるを得なかったが、竹製車イスの利用で、そのまま保安検査場を通過し、搭乗口まで行くことができる。

 竹製車イスは車輪のほか、強度を保つ軸や軸受け、ブレーキなどすべてにおいて金属を不使用。足の背部分や全体の強度確保には、しなやかな竹の特性を活かすための特殊技術が施され、大車輪に装着される握り手部分(ハンドリム)も竹で作られている。竹特有の暖かさを感じることができる。

 オフィスS.I.C(尻無浜啓造代表、兵庫県芦屋市)所属の赤星憲広(元プロ野球選手)が設立した社会貢献基金である「Ring of Red~赤星憲広の輪を広げる基金」が竹製車イス導入の意義に賛同・協賛。

 1月から大分空港に1台、2月に羽田空港(国内線)に2台を配備する。JALグループ利用者にサービス提供する。

一足早い成人式 はとバス

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 はとバス(松尾均社長、東京都大田区)は1月7日、本社で今年20歳を迎えるバスガイド23人のための独自の成人式を行った。

 毎年、祝日に当たる成人の日が業務多忙のため、各地自治体の式典に出席できない場合があることから、一足早く行っている。新春の風物詩としてすっかり定着。今年で50回目を数える。

 成人バスガイド23人は本社車庫での記念撮影後、バスに乗車して明治神宮へ移動、表参道を歩き本殿へ向かい、昇殿参拝、玉串奉納を行った。

 一昨年導入した2階建てオープンバス「オー・ソラ・ミオ」を使った撮影では、寒空の下にも関わらず新成人の元気な声が響いた。

NHKアートに決定、旅行博の委託先

 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、2011年の「JATA国際観光会議・世界旅行博(仮称)」の委託先をNHKアート(岡田円治社長)に決定したことを発表した。2006年から実施・運営契約を結んでいた世界旅行博(森谷博社長)との契約が3月31日で終了するため、公開入札を行い、決定した。

 正式なイベント名称は1月中にも発表する予定。

 10年9月に開始した公開入札には世界旅行博を含む5社が応札していたが、10年12月に同社が応札を辞退。これを受け、JATAは4社のうち、メディアとの連携や他のイベントの経験、協賛先の幅広さなどからNHKアートを選出した。単年度の計画で、来年以降は再度検討する。

 JATAの柴田耕介理事長は、今までと同様に業界と一般向けの発信を行うとし、内容については「今までの良さと新しいイベントとしての意識を持つ」と語った。イベントの内容については「これは主観だが、昨年から本格的に実施したBtoBの強化やメディア戦略、異業種とのコラボレーションなどが効果的ではないか」とし、「コンセプトもできるだけ早く決めて発表する」と述べた。

訪日韓国人52%増、中国は16%の減少

 日本政府観光局(JNTO)がまとめた2010年11月の訪日外客数(推計値)は、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響を受け、中国が前年同月比15・9%減の6万8500人、中国漁船衝突事件に加え、マニラでの香港人バスジャック事件を契機とした外国旅行の手控えや円高の影響を受けた香港が同14・7%減の2万7400人と大幅に減少した。

 全体では、羽田空港の国際線発着枠拡大や訪日旅行の広告・宣伝効果、景気の回復・好転などにより、同12・4%増の63万5千人と、09年11月以降13カ月連続で前年同月比は増加した。ただし、6月の同59・5%増など大幅な増加を記録していた10年のなかでは増加率が鈍化。11月単月で過去最高だった07年(68万6747人)と比べると、約5万1700人少なかった。主要15市場のうち、タイ、シンガポール、マレーシアは11月単月で過去最高を記録した。

 1―11月の累計数では、前年同期比29・2%増の796万3300人。これまで過去最高であった08年1―11月の累計数(783万7481人)と比べ、約12万5800人多かった。

 方面別では、景気回復や訪日旅行の宣伝効果、航空座席供給量の増加が影響した韓国が、同51・8%増の19万7200人と5割以上の大幅な伸びをみせ、09年11月以降13カ月連続で増加となった。タイは景気回復や航空便拡大、訪日旅行番組の放映効果などにより、32・2%増の1万8900人と、3割強の大幅増。同じく、景気回復や航空便拡大によりシンガポールが同18・8%増の2万3600人となった。そのほかの主要15市場では、台湾が同4・8%増の8万9400人、米国が同2・1%増の5万9100人、豪州が同12・1%減の1万5200人、英国が同1・1%減の1万5100人、ドイツが同19・7%増の1万2500人、カナダが同6・3%減の1万1600人、マレーシアが同14・2%増の1万1100人、フランスが8・6%増の1万1100人、インドが同5・2%増の5400人、ロシアが同11・9%増の5千人。

取得は22.5%にとどまる、時期は7-8月が51.7%に

 日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ、舩山龍二会長)はこのほど、2010年度「1ウイークバカンス」キャンペーンの活動報告を発表した。これによると、最近1年間で「1ウイークバカンス」(有給休暇を合わせた連続1週間以上の休暇)を取得した人の割合は22・5%(前年は22・0%)と、ほぼ前年並みにとどまった。調査は昨年9―11月に「1ウイークバカンス」集中告知キャンペーンとして、TIJ会員会社と協力して旅行関連商品が当たる「クイズ&アンケート」を実施し、1万件を超える応募があり、その内容をまとめたもの。

 「1ウイークバカンス」推進部会(部会長=加藤誠・JTB旅行事業本部法人営業部長兼地域交流ビジネス推進室長)は調査結果について、「取得の定着にはまだ至っていない状況」と捉えている。

 取得時期をみると、7―8月の夏休み時期が51・7%と過半数を占めた。さらに、春休みやゴールデンウイークを含む3―6月(21・4%)を加えると、73・1%と7割を超える。

 一方、「秋休み」や年末年始を含む期間は合計で26・9%と未だ取得が広がっていない状況。ただし、「秋休み」の認知率は61・4%と前年から3・3ポイント増加し、とくに20歳代以下では70%を超えた。

 また、実際に「1ウイークバカンス」の連続休暇を取得するための整備条件については、(1)企業における休暇の制度化(71・2%)(2)連続した休暇の義務づけ(59・0%)(3)「1ウイークバカンス」の世間的な認知(57・8%)と続く。

休暇改革、3月までに修正案、メリット活かしデメリット最小化

 観光庁の溝畑宏長官は昨年12月22日行われた定例会見で、休暇改革について全国を5ブロック以内に分け、まずは先行して秋のみ大型連休を導入する方向で修正案を作る考えを示した。3月の第3回休暇改革国民会議で提案する。

 これまで春と秋に大型連休を作り全国をブロックに分けて休暇を分散化させるたたき台をもとに議論が進められてきたが、12月16日に行われた第2回休暇改革国民会議で出された方向性を踏まえ修正案を作る。具体的には海の日、敬老の日、体育の日の秋の3つのハッピーマンデーを廃止し、秋の新たな大型連休に振り替える。春の大型連休については、「導入を断念したわけではない」とし、今後も地域を限定した実証実験を続ける。休暇改革の具体的な法案提出の時期については政務三役、民主党の判断にゆだねられる。

 12月の休暇改革国民会議において、銀行や中小企業などの団体代表者から強い反対意見が出たことについては、「改革はすべてをプラスにすることは難しい。メリットを活かしながらデメリットをいかに最小化するか。全体として経済や、国民の精神的な豊かさにプラスになるなか、デメリットについてはていねいに説明を続ける」と述べた。

 11月の訪日外客数は、前年同月比12・4%増の63万5千人、1月からの累計は同29・2%増の過去最高796万3千人となった。中国は尖閣諸島問題の影響で同15・9%減の6万9千人となったが、11月末から本格的なプロモーションを再開。「2月の中国における旧正月の数字はいい。V字回復に向けて取り組んでいる」。

 一方で、観光立国推進基本計画のなかで掲げる10年までに訪日外国人数1千万人の目標は達成できないことが確実となった。「達成できなかったことは大変残念。課題、問題のきちんとした分析を行い、来年に向けて努力していきたい」と語り、具体的な方策として通訳案内士制度の見直しによる人材確保、観光のICT(インフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー)化、訪日外国人向けの鉄道割引フリー切符の実証実験、旅行ムーブメントの創出をあげた。

 観光のICT化は、国際空港や観光案内所、ホテル、コンビニなど外国人旅行者が集まる施設に無線LANを整備し、無料で利用できる環境を整備する。「外国人旅行者が日本を訪れて一番困難を感じているところ。来年中に最低100カ所は設置したい」と話した。

 旅行ムーブメントの創出については「国民一人ひとりの旅行へ対する意識がしぼんでいくと、観光立国は厳しい。国民をあげて旅行に行くムーブメントを起こしていきたい。来年はこのあたりも力を入れていきたい」と語った。11年は、日本スキー発祥100周年を契機としたスノーレジャーの活性化、国際森林年を契機としたグリーンツーリズムの活性化など、テーマ別に関係団体と一体となり、国内外におけるプロモーションや招請事業などを行う。