無償提供の「新型コロナ対応 多言語ピクトグラム」を紹介 JATA

2020年5月25日(月) 配信

新型コロナウイルス対策 チラシデザイン例

 日本旅行業協会(JATA)は5月21日(木)、観光事業者向けの多言語AIサービスを展開するアクティバリューズ(陳適社長、東京都渋谷区)が作成した「新型コロナウイルス対応 多言語ピクトグラム」を無償配布する情報を紹介した。

 観光事業者が実施する新型コロナウイルス対策を「見える化」することで、国内外の旅行者に安心してもらうとともに、事業者を支援するのが目的。施設内に掲示するポスターや、配布チラシ、Webサイトなどに活用できる。

 同ピクトグラムは、「施設・従業員の取り組み」と「お客様へのお願い」の2テーマに分類される。「施設・従業員の取り組み」には、接客スタッフのマスクの着用、館内共用部の消毒の強化などのほか、食事や会計のシーンに活用できるものもある。「お客様へのお願い」は、手洗いや検温など協力を呼び掛けるものがあり、2テーマ合わせて20点を超える項目を提供。今後、さらなる拡充を予定している。

 これらのピクトグラムは、素材の加工や制限、クレジットの記載などの条件は設けず、商用・非商用を問わず無償で利用できる。ダウンロードはこちらから可能(会社名、氏名、メールアドレスの入力必須)。

 同社はこれまで、観光業界向けの多言語AIチャットボット「talkppi(トーカッピ)」(英・中簡体・中繁体・韓・日)のサービスを提供している。文字と画像による案内が、施設の公式ホームページやSNSアカウントから24時間利用できるのが特徴で、宿泊施設や観光協会などで導入されている。

「きふやど」、宿泊クーポンを先払い販売 客足戻るまでの宿泊施設を支援

2020年5月25日(月) 配信

きふやど トップページ

 国際寄付機構(好岡夢貴代表理事、千葉県柏市)は、宿泊施設支援プラットフォーム「きふやど」の運営を始めた。一口5000円の宿泊クーポンを先払いで売り出し、宿泊施設に客足が戻るまでの資金繰りの手助けをする。クーポン購入時には「きふやど手数料」が掛かるが、法人の利益とせず新型コロナウイルスと戦う医療機関に全額を寄付する。

 現在、きふやどでは掲載する宿泊施設も募集している。ホテル・旅館・民宿・ペンション・ホステル・ゲストハウスなど形態を問わず、すべての宿泊施設が対象となる。

 宿泊施設に手数料や掲載料などの負担はなく、運営資金の確保にはクラウドファンディングを活用する。支援者へのリターンとしてカレンダーやトートバッグなどのオリジナルグッズ、広告バナー掲載、インタビュー型メッセージ掲載を用意。個人だけでなく企業からの支援も受け付けている。

The Wardrobe Hostel 六本木・下北沢、法人専用の1カ月連泊プラン売り出す

2020年5月25日(月) 配信

ホステルイメージ

 建築商売(田口啓右社長、東京都渋谷区)プロデュースするホステル「The Wardrobe Hostel 六本木・下北沢」はこのたび、法人専用の1カ月連泊プランを売り出した。

 新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環で、個人利用も可能。ホテルはそれぞれ六本木駅、下北沢駅から徒歩3分の立地で通勤時間の短縮がはかれる。公共交通機関の利用を最低限に抑えられるほか、家族への感染リスクも低減できるという。
 
 担当者は、同プランを公共交通機関の利用を最低限に抑え、感染リスクや心理的ストレスの軽減に役立ててほしい考えだ。

WILLER EXPRESS、6月1日から運行再開 コロナ対策講じ

2020年5月25日(月)配信

3密回避の対策イメージ

 WILLER EXPRESS(平山幸司社長、東京都江東区)は6月1日(月)から、新型コロナウイルス感染症の対策を施し、高速バスの運行を再開する。3密回避と衛生管理の対策を講じ、移動手段を必要とする乗客の移動を確保する。

 再開路線は、東京~仙台、東京~新潟、東京~長野、東京~名古屋、東京~大阪、大阪~名古屋、大阪~広島の7路線の昼行便。

 具体的な対策は、(1)5分で車内の空気を入れ替えられる外気モードを常時稼働した換気(2)隣の空席を確約する車内のフィジカルディスタンシング(3)運行ごとに使い捨てするフェイスカバーを装着した飛沫感染対策カノピーの設置(4)乗車前の検温実施による衛生管理――を実施する。

 なお、7月出発分の販売再開は、6月中旬を予定している。

HISホテルHD、テレワークプラン販売 仕事捗らないなどの声に応える

2020年5月25日(月) 配信

新しい生活様式の実践を後押しする

 HISホテルホールディングス(岩間雄二社長)はこのほど、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式と働き方のスタイル」の実践の一助として、変なホテルでテレワークを行う「ビジネスパック」と「ロボホンルーム活用プラン」を売り出した。利用期間は6月1日(月)~7月20日(月)。小さな子供がいる自宅でのテレワークが難しい、自宅のネット環境が悪く仕事が捗らないなどの声に応える。

 ビジネスパックは全国12棟の変なホテルで提供する。宿泊期間は5泊6日から最大15泊16日まで。客室は1人1室利用となる。同じ客室を長期間確保するため、客室に必要なものを置いたままにするなど、宿泊客専用のオフィスとして利用できる。価格は通常価格で1泊ごとに予約したときより、安くなっている。

 ロボホンルーム活用プランは、テレワークの際、客室に子供と一緒に入室するもの。子供はクイズの出題や名作文学の読み聞かせ、ダンスなどを行うロボホンで遊ぶことができる。同プランは、日中だけ客室を利用するデイユースと宿泊の2 種類。全国3棟のホテルで提供する。

【長崎県雲仙市】市民向けに市内宿泊を補助、1泊上限2万円

2020年5月25日(月)配信

温泉の噴気に包まれる雲仙地獄(イメージ)

 長崎県雲仙市は2020年8月31日(月)まで、市民が市内の宿泊施設に泊まると宿泊料金の半額(1人1泊あたり、上限2万円)を補助する「『地元』にとまって応援キャンペーン」事業を実施している。

 市民の協力を得ながら、新型コロナウイルス感染症拡大で多大な影響を受けた観光産業を支援する。事業予算は6500万円。5月15日(金)から8月末までの宿泊利用を第1期とし、期間中予算総額に達しない場合は2期(9月以降)も募集する。事業期間は来年2月末まで。雲仙温泉や小浜温泉など市内40軒の施設が対象。期間中、何度でも利用できる。

JTB、「Jリーグチェアマン特別賞」受賞 発達障害児向けの取り組みが評価

2020年5月25日(月) 配信

写真はイメージ

 JTB(髙橋広行社長)は5月13日(水)、発達障害のある子供たちに向けた取り組みが「2020Jリーグシャレン!アウォーズ」(主催:日本プロサッカーリーグ=Jリーグ)で、「Jリーグチェアマン特別賞」を受賞したと発表した。

 今回の取り組みは、同社と全日本空輸(ANA、平子裕志社長)、富士通(時田隆仁社長)、川崎フロンターレ(藁科義弘社長)の4社が、先導的共生社会ホストタウンの川崎市(神奈川県)とともに企画・実施し、受賞した。

 4社と川崎市は、スポーツとユニバーサルツーリズムをテーマとし、発達障害児を対象に「フロンターレ対大分トリニータ戦」のサッカー観戦と、サッカー教室交流イベントを2019年7月27日(土)、28日(日)に実施。安心できる環境下で楽しめるスポーツ観戦・体験の機会を提供したことが、心のバリアフリーの普及、合理的な配慮の概念の浸透を推進したこと、シャレンの定義(共通のテーマ×三者以上の共有)を理解し、Jリーグの代表的な活動であることが評価された。

 「2020Jリーグシャレン!アウォーズ」は、Jクラブが取り組んでいる地域課題や社会課題の解決に向けた活動など、Jクラブの持つ価値をいかんなく発揮している活動を称え、共有したい活動を表彰している。

ロゴマーク

「提言!これからの日本観光」 “不要不急”

2020年5月25日(月) 配信

 

 「不要不急の外出は自粛してほしい」と国や自治体などが2月以降、国内各地で頻繁に呼び掛けた。筆者はこれを聞いて76年前の1944(昭和19)年春を思い出す。国や都道府県などが、太平洋戦争末期の戦局悪化による国鉄旅客列車削減のダイヤ改正の際に呼び掛けた「不要不急の旅行は自粛されたい」と、今回の文言である「不要不急の外出自粛」がほとんど同じだからである。「自粛」は「要請」であるが、かなり命令に近いことも似ている。

 戦時中の「不要不急」とは軍と公務以外の旅行を指し、定義が明確だった。今回は感染症蔓延を防ぐために移動の減少をはかるもので、「不要不急」の判断は自らするしかなく、戸惑うほかなかった。「不要不急」の移動には「観光」が含まれていることは間違いないと思う。戦時中は「観光」が軍・公務以外の移動であることは明らかだった。今回は観光イベントが、相次いで中止となり、一部観光地は立ち入りも禁止。大型観光施設もほとんどが閉鎖した。今回は移動による感染症の広がりを防ぐためで、移動を伴う「観光」の自粛はやむを得ないと考える。

 しかし、誤解してはならないのは、「観光」が「不要不急」だから自粛するのではないことである。戦時中は、「不要不急」の移動の代表例に「観光」が挙げられ、時刻表の表紙、街頭などには「観光旅行をやめよう」と掲示されたほどだった。観光施策も「不要不急」とされ、国の観光局も廃局した。そのため、戦後に至るまで「観光」は「暇な人の遊び」と誤解され、観光の復興が遅れたことを忘れてはならない。

 「観光」は人間の本能に根差す重要な文化経済行動であることは言うまでもない。国は観光立国施策の重要な柱に挙げ、国内外共に促進した。しかも、近年の訪日客の急増に対応すべく、全国約130万の観光事業所も受入体制を強化、拡充してきた矢先に今回の事態となった。来年には延期された東京五輪も迫っている。感染症終息後は、速やかにV字型の観光回復を実現し、観光産業の再活性化と共に、東京五輪と観光振興を成功させる動機としたい。

 また、内外客の受入態勢を再整備しなければならない。観光が一段落している今こそ、新しい日本観光の再出発となる観光復興を目指し、施策を練り、仕込みをするべき大切な時なのではなかろうか。

 今回の感染症蔓延防止のための自粛が、戦時中のように「観光」が「不要不急」だからと再び誤解されることがあってはならない。むしろ、現在こそ「観光」の文化経済行動であるとの真の意味を理解してもらう好機と捉え、その努力を怠ってはならないと思う。そして、窮状に陥っている中小の観光事業者を公的支援で何とか維持させ、明年に備えなければならない。

 このような努力がないと、東京五輪の成功と「観光」の復興は覚束ないと思う。観光復興と地域再生のため、今を地道な努力の時と考えたい。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

【にっぽん旬旅】~動画で各地の魅力紹介~島根県~

2020年5月25日(月)配信

 島根県は全国から神々が集う「ご縁の国」として知られています。悠久の歴史と文化が今も息づく島根県を高精細な4K映像で紹介します。

 県内には世界遺産・石見銀山や隠岐ユネスコ世界ジオパーク、国宝・松江城や出雲大社など世界に誇るスポットがあります。また、日本遺産に認定されたストーリーを紡ぐ貴重な文化財群や、様々な伝統や風習。島根の風土に根ざした文化の豊かさは多くの人の心を魅了しています。

 映像では、小舟から臨む江戸期の町並み、神話の地で眺める夕日、太古の火山活動が生んだ奇石・断崖など、この土地でしか味わえない景色をはじめ、神々をお迎えする神事や祭、お囃子の軽快なリズムで勇壮かつ華麗な舞が特徴の石見神楽など、土地の人々によって大切に受け継がれている文化、そしてヤマタノオロチ神話の舞台、斐伊川が流れる中国山地で現在も継承されている「たたら製鉄」による鉄の生産などを紹介しています。

 新型コロナウイルス感染症が収束した後、皆様のお越しをお待ちしております。

島根の絶景~美しき日本のこころと原風景~

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(184)」みちのくGOLD浪漫を訪ねて(岩手県、宮城県・涌谷町ほか)

2020年5月24日(日) 配信

日本初の産金地に建つ黄金山神社(宮城県・涌谷町)

 疫病の流行は、人類の歴史とともに古い。古く奈良時代にも、今日の新型コロナウイルスのような感染病はあった。遣隋使が持ち込んだ天然痘の蔓延が原因で多くの死者を出し、その終息には十数年という長い期間を要したといわれる。時の聖武天皇が建立した奈良・東大寺の大仏(廬舎那仏)は、この疫病を鎮めるためであり、全国から僧侶を集めて大法要を行ったという記録が残っている。

 その大仏鋳造用の金を供給したのが、古来「みちのく」と呼ばれた陸奥国である。その最初の金の産出地が、宮城県・涌谷町にあり、一帯は「黄金山産金遺跡」に指定されている。金が東大寺に献上されたとき、聖武天皇はその喜びのあまり、年号を天平から天平感宝に改元したといわれる。霊峰と呼ばれる箟岳(ののだけ)山の南麓には、産金の地を記念し建立された仏堂跡と黄金山神社がひっそりと佇んでいる。

 「みちのく」の金の象徴は、奥州平泉中尊寺の金色堂である。金色堂は、やや時代が下って平安時代後期に建立された仏堂。奥州藤原氏の初代、藤原清衡が1124(天治元)年に建立した。金色堂の名の通り、堂は内外ともに総金箔貼りで、扉、壁、軒から縁や床面に至るまで漆塗りの上に金箔を貼って仕上げられている。

 これらの金は、三陸リアス海岸沿いに形成された約4億5千万年前の花崗岩で構成される地層が生み出したものである。

 その1つ、古くから良質な金や水晶の産出で知られた岩手県陸前高田市の玉山金山遺跡は、戦国時代、伊達政宗が金山奉行をおいて統治したもの。山頂の玉山神社に至る道に、かつての「精錬所跡」や最盛期の坑口「千人坑」が残っている。

モンスターゴールド(産総研Webページより)

 さらに明治以降になると、各地で大規模な鉱山開発が進んだ。空前のゴールドラッシュである。その一翼を担ったのが、宮城県気仙沼市にある鹿折金山と大谷鉱山である。鹿折金山は1904年に日本最大の自然金(モンスターゴールド)を産出し、同年のセントルイス万博に出品して世界に大きな衝撃を与えた。一方、大谷鉱山は1935年ごろの最盛期に年間1万㌧もの金を産出し、1300人の従業員を抱える一大鉱山町を形成した。

 砂金取りの時代から近世の金山開発、近代金鉱山への発展という日本の産金史を物語化したのが、2019年に認定された日本遺産「みちのくGOLD浪漫」である。

 東日本大震災からやがて10年を迎える三陸地域。大切なことは、地元の人々が忘れていた地域の歴史を掘り起こし、誇りと自信を取り戻すことである。そして、その価値を後世まで伝え生かすためには、地域の未来を形にする新たな事業を仕掛けていくことである。

 活用事業は未だ緒についたばかりだが、日本遺産という地域ブランドを生かし、この地が再び金の輝きと浪漫を取り戻すことを期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部 客員教授 丁野 朗)