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「提言!これからの日本観光」 感染防止“モデルツアー”を

2021年8月29日(日) 配信

 新型コロナウイルスの拡大から1年半が経過した。感染拡大防止のため主要都市を中心に「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点地域」が指定されるなど、さまざまな規制措置が断続的に実施されてきた。

 不要不急の移動などが自粛の対象となり、観光客は国内外客共に激減し、観光産業の経営は深刻な危機に直面している。しかも、新型コロナウイルスは変異株に入れ替わりつつあり、終息の見通しがつかない。

 専門家は「当分、再拡大を防ぐため、強力な防止策を続けざるを得ない」という。

 コロナ禍対策は長期戦に入り、今後日常化さえ、懸念される状況である。

 これに伴う交通需要の減少は大変痛手で、とくに観光客の利用減は目を覆うものがある。7月上旬の各新幹線の乗客数は依然として、対前々年比の半減以下で推移している。しかし皮肉なことに現在、新幹線がコロナ禍で1番安全な交通機関とさえ言われている。

 これは、乗客減のためグループの間隔を空けて指定席券を発売などしているからである。

 具体的には、一部のJRでは座席が3列の新幹線で窓側席から発券し、次に通路側席を売り出すことで、隣席を空けている。なお、自由席は最も混雑している際でも、窓側席が埋まる程度である。

 「観光」が自粛を求められることは、人の移動による多人数の接触がウイルスを媒介するためで、人流抑制のためには、やむを得ないことと言えよう。

 しかし、「観光」は日常生活の場を離れて他地域の「光」を観て心の安らぎを得るもので、人間の移動本能に根差す行動である。従って、抑制期間が長期化かつ過度に進むと、移動本能のはけ口を求め、夜間に酒会をともにする人が増え、感染者数が増加する心配がある。

 そこでコロナ禍の下でも安全な「観光」の手法を関係者の協力で開発し、提案する必要があると考える。例えば、列車で座席の「密」を防ぐため、現在発売駅の工夫で実行しているような座席指定方式を業界全体で採用することである。

 さらに、宿は個室または、1室の定員にゆとりを持たせるような受け入れや、食事は部屋食にするなどが感染防止に効果的と考える。観光地の案内も集団行動ではなく、ガイドは一定時間、案内したうえで、あとは自由行動とすることも有効ではないか。

 このような感染防止に徹した「観光ツアー」を旅行会社などが商品化して、販売することで、移動本能を充足し、ストレスを解消すると共に、重要な文化経済行動である「観光」の灯りを消さない努力が求められる。

 そして、感染防止を日常の生活行動にし、「観光」との両立をはかる必要がある。自粛から1歩進んだ能動的な感染防止策を日常化する努力があってこそ、コロナ下での健全な日常生活が取り戻せると思う。

 人間の「本能」を充足する前向きな「行動型」の感染防止対策の実現を期待したい。

須田 寛

 

日本商工会議所 観光専門委員会 委員

 
須田 寬 氏
 
 
 
 

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