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対応力向上とネットワーク強化を 「2019年度JNTO認定外国人観光案内所全国研修会」開く ムスリムへの対応も紹介

2020年2月7日
編集部:入江千恵子

2020年2月7日(金) 配信

全国から大勢の参加者が訪れた

 日本政府観光局(JNTO、清野智理事長)は2月6日(木)、東京都内で「2019年度JNTO認定外国人観光案内所全国研修会」を開いた。国内の外国人観光案内所の関係者約200人が集まり、講演や接遇研修など2日間の日程で行われた。外国人向け観光案内所における対応力向上や案内所関係者間のネットワーク強化をはかるのが目的。

 JNTOは、観光庁が12年1月に定めた「外国人観光案内所の設置・運営のあり方指針」に基づき、外国人観光案内所の認定制度を行っている。訪日旅行者にサービスの充実度が分かりやすいよう、サービス内容や機能、開所日数などサービス基準を設け、カテゴリーを4つに分類している。

JNTOの清野智理事長

 JNTOの清野智理事は、「案内所は現在、1276カ所。20年度までに1500所を目標としている。ただ増やすだけでなく、充実した案内が重要。今後も質の向上を目指して進めていきたい」と力を込めた。

 新型コロナウイルスによる感染症が拡大していることについては、「一喜一憂することなく適切な対策をし、お越しいただいた外国人旅行者に『日本に来て良かった』と思っていただくことが大事」と冷静な対応を呼び掛けた。

 そのうえで、「いずれは終息する。その段階で外国人旅行者を迎える準備をするのではなく、いま与えられた時間に準備しておくことが重要になる」と述べた。

 6日(木)は2部構成で、計7人の講演が行われた。第1部では、JNTOジャカルタ事務所長の天野泉氏が「インドネシアの訪日者の特徴とムスリム旅行者について」をテーマ登壇した。

 インドネシア在住の天野氏は同国を「笑顔の多い国」と紹介。「皆さんの観光案内所にインドネシア人が来たら『スラマダタン(ようこその意味)』とあいさつしてみてください。きっと笑顔になってくれます」と呼び掛けた。

 インドネシア人の観光の目的は「写真を撮ること」だとし、「SNS(交流サイト)映えするスポットなど、写真を見せながら行きたいところを選んでもらうといい」と提案。注意点は「車社会のため歩くのが苦手。15分以上歩く場所は事前に案内が必要」と付け加えた。

 インドネシアに住むムスリムは、多様な民族や文化が融合する国事情もあり、「クリスチャンと旅行することもある」という。「民族や宗教が違っていても、インドネシアでは学校や職場も一緒」と宗教にこだわるのではなく、柔軟な対応をすることの必要性を語った。

 ムスリムの食事については、「ハラル認証をとっている飲食店」のほか、「ハラルに沿った食事を提供する店」、「肉とアルコールを抜くなど、希望に対応をしてくれる店」の3パターンの情報収集が必要だとした。

 日本でラーメンを食べたい人が多く、「豚とアルコールが入っていないラーメン屋を調べておくとよい」とアドバイスした。なお、インドネシア人の味の好みは、「濃い目の味と辛いものが好き。すっぱいのは苦手」な人が多いという。

 礼拝については、基本は1日5回。だが「人によって朝と夜だけの人もいる」といい、金曜の昼は多くの人が礼拝をする。礼拝室には、「カーペット敷きや畳など、靴を脱いで利用できる空きスペースが適している。可能なら手足を洗える場所、男女別、マットやベールがあるとさらにいい」と話した。

 別の講演では、観光庁参事官(外客受入担当)の片山敏宏氏は、「観光の現状と受入環境整備」について語った。片山氏は、外国人旅行者のFIT(個人旅行)化が進んでいることを背景に、災害時に旅行者が希望する対応について提案した。

 昨年、台風19号の際に外国人旅行者を対象にしたアンケート調査では「最も多いのは、案内所での情報提供を充実してほしいという意見」と紹介。そのうえで、「スマホ時代でも災害時は対面での対応が根強い。分かりやすい表現で伝えてほしい」と要望した。

 JNTOロンドン事務局長の市川智秀氏は「英国市場の最新動向」をテーマに講演。年々増加する訪日英国人は、桜と紅葉の時期に訪日者数のピークを迎える。ゴールデンルートが大半を占めるが、「地方滞在も増加している」と最近の傾向を語った。観光の目的は、自然環境や文化体験、リラクゼーションへの関心が高いとの調査結果も紹介した。

 東京オリンピック・パラリンピックへの旅行については、「英国内で単体チケットはすでに完売」と報告。現在、チケット付き旅行商品(日本円で約70~240万円)が販売されているという。

 南房総市観光協会の多田福太朗氏は「災害時における外国人観光案内所の機能・役割―台風15号・19号の経験を通じて」と題し、被災状況を報告した。台風災害を経験し、「被災したら何もできない。非常時に“いつもの業務”ができる体制づくりが観光案内所の機能であり役割」と総括した。

 第2部では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会広報局事業部観客の経験課の菊池創造氏が「数字で見る大会の観客像と街中の参加機会 観客の方々への状況提供」について語り、Accessible Japanのグリズデイル・バリージョシュア氏は「最強のおもてなし―日本のユニバーサルツーリズム―」を、JNTO地域連携部長の渡辺厚氏は「2019年度JNTO認定案内所実態調査事業中間報告―アンケート調査及び訪問調査―」について講演した。

 研修会は2月7日(金)も行われ、接遇研修やグループディスカッションが行われた。

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