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〈旬刊旅行新聞9月21日号コラム〉北九州市 「旅の玄人」が好む、渋めの観光地

2018年9月21日
編集部:増田 剛

2018年9月21日(金)配信 

門司港は夜景も綺麗だ

 北九州市と聞いて、何を連想するだろうか?

 バイオレンスなイメージを思い浮かべる人もいるかもしれない。古くは八幡製鉄所、マニアックなところでは、競輪や、パンチパーマ発祥の地……などなど。最近は「50歳から住みたい地方ランキング(民間雑誌)」で全国第1位、子育て環境についても「次世代育成環境ランキング(NPO調べ)」で7年連続政令指定都市のトップに輝くなど、新しい表情も見せ始めている。

 その一方で、観光都市としての認識が薄いのは確かだ。首都圏で生活しながら、「博多に行ってみたい」という人には、高頻度で出会うのだが、「あ~北九州市を旅行してみたい」という声にあまり出会うことがない。派手さはないが、いぶし銀のような北九州市の魅力を知る1人としては、とても残念である。

 北九州市は、今年度から「北九州市応援ショップ」の認定事業をスタートさせた。

 9月12日には、東京・西新宿にオープンした地元・北九州市のお酒とグルメの飲食店「北九州酒場」を第1号店に認定した。同店では、門司港名物の焼きカレーや合馬(おうま)の筍の炭火焼き、生姜を効かせた“肉肉うどん”、バナナカクテルなど「kitaQ」グルメを存分に味わうことができる。同市では「まずは食から親しんでいただき、その後、旅行先、移住先に選んでいただけたらうれしい」と話す。

 焼きカレーといえば、門司港の赤煉瓦街の中に浮かぶ海賊船のレストラン「ファンキータイガー」が有名である。お笑いグループ「ロバート」の秋山竜次さんの父親・秋山幸重さんが、ハンバーグや焼きカレーを提供している人気店だ。

 噂を耳にするたびに「一度食べに行きたい」と思っていたが、ようやく今年8月に門司港を代表する観光名所でもある海賊船で「焼きカレー」を味わうことができた。同店は船が老朽化したこともあり、9月30日で閉店し、新天地で営業を再開するという。食後、爽やかな海風を受けながら、「門司港まで焼きカレーを食べに行ってよかった」と感じた。

 昭和30年代に門司で生まれた焼きカレーは「ごはんにカレーをかけ、チーズ、卵を載せてオーブンで焼く」スタイルが基本形。門司港周辺には、さまざまなスタイルで焼きカレーを提供する店が多数あり、グルメマップを見ながら探すのも楽しい。

 観光地には、ストーリー(物語)が必要だとしばしばいわれる。その意味では、北九州市のとりわけ門司港周辺はストーリーの宝庫だ。バナナの叩き売りの発祥の地であり、独特の口上を持つ文化を観光PRにも活用している。また、約600㍍しか離れていない本州・下関市と結ぶ関門橋は写真映えする。海底の関門トンネルは下関まで歩いて渡ることもできる。

 関門海峡には、日本を代表する剣豪・宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘した巌流島(船島、下関市)があり、下関、門司から連絡船でアクセスできる。“サムライ好き”な外国人旅行者にも人気のスポットになり得るのではないだろうか。

 北九州市といえば、小倉を忘れてはならない。数ある名物料理のなか、かしわうどんが好きだ。小倉駅構内にある「玄海うどん」は安くて美味しいのでおすすめだ。北九州市は「旅の玄人」が好む、渋めの観光地だと思う。

(編集長・増田 剛)

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