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【特集 No.487】ICTインフラを整える 点をつなぎ、面をつくる試み

2018年3月20日
編集部

2018年3月20日(火) 配信

 道路や空港、上下水道など、公的機関が中心となって社会インフラは整備・維持されてきた。しっかりとした下部構造が整っているからこそ、企業らは経済活動に専念できる。インバウンドの取り込みを軸に観光立国の実現を目指すなか、飲食店や宿泊施設ら関連企業の後方支援確立は不可欠だ。翻訳や緊急時対応、ルート検索など、来訪者が必要とする情報の集約と快適なアクセスを実現し、受入体制の質的向上を目指す基盤づくりに着目した。
【謝 谷楓】

 ICT(情報通信技術)の発達によって旅のスタイルは大きく変わった。OTA(オンライン旅行会社)が台頭し、FIT(個人旅行)化はインバウンド・国内かかわらず顕著だ。実質、ネット上に国境はなく、サービス供給者とユーザーの出会う機会は瞬時に創出される。民泊に代表されるシェアリングエコノミーは、企業が実際のサービスを提供するのではなく、消費者同士をマッチングさせ手数料を得るビジネスモデルの確立を意味し、消費者が供給者にもなりえることを決定づけた。昨今、大手企業を中心にマッチング=組み合わせの精度を高めるための試行錯誤が目立つ。AI(人工知能)やビッグデータの活用もそのためにある。

 最適な組み合わせを実現すれば、ビジネスチャンスは拡大し経済は活性化する。OTAの台頭が、観光業界に与えた影響からもインパクトの大きさを知ることができる。オンライン旅行サービスは3兆円(2016年)を超える市場規模にまで成長した。

あらゆる情報との、マッチングを最適化

 普及が進むなか、マッチングに対する期待は、旅マエ以外の分野でも高まっている。エアラインや施設手配の簡易化がFITの成長を押し上げてきたものの、現地での翻訳情報の入手や決済、防災時対応では、未着手の領域も多い。旅ナカでの情報のマッチング(組み合わせの最適化)が、今後の課題とされている。最適なマッチングを実現するためには、飲食店や観光・宿泊施設、地方行政など、多岐にわたる連携が求められる。1軒の飲食店が、翻訳メニューを考案したところで、数千万人規模で来訪するインバウンドに与える影響力には限界があるからだ。

 総務省は昨年、「質の高い ICT インフラ投資の指針」を公表。戦略策定や導入・運用に関する方向性を示した。5G(第5世代移動通信システム)に代表されるハード面のほか、受入体制の充実に直結するソフトインフラの整備にも注力する必要があるとみる。

 ソフトインフラとは、CMS(コンテンツ管理システム)の提供や、ビッグデータの活用、アプリケーションの開発を指し、ハードを生かして提供されるサービスを意味する。提供が進めば、エリア全部の飲食店メニューの多言語化を実現するだけでなく、時と場所を選ばず情報にアクセスできるようになる。

 SNS(交流サイト)の発達やオウンドメディアへの注目によって、情報発信が当たり前となるなか、何をではなく、どうやってリーチさせ消費に結びつけるのか? 成約に直結する仕組みづくりの基盤を整えることが、ソフトインフラ整備の目的だ。

 OTAの躍進が業界内の再編を加速させ、旅行会社の商い方は大きく変質した。人と人・住宅をめぐるマッチングは、住宅宿泊事業法(民泊法)という新しいルール(法律)を生むまでに至った。組み合わせの最適化は今後、あらゆる情報領域にまで浸透することとなる。

 今回はとくに、2次元(QR)コードをタッチポイントに多言語化・防災に役立つCMSの提供や、ルート検索に注力する3者の取り組みにフォーカスした。…

 

※詳細は本紙1706号または3月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

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