日観振が初の中期事業計画を発表 基幹産業化に向け発信力強化へ
2025年6月11日(水) 配信

日本観光振興協会(菰田正信会長、674会員)は6月10日(火)、東京都港区の品川プリンスホテルで2025年度通常総会を開き、日観振として初めて、複数年度にわたる中期事業計画を策定したと発表した。25~27年度までの3カ年計画で、基幹産業化に向けた発信力の強化や観光DX、人材育成の推進などに注力していく。
あいさつに立った菰田会長は中期計画のビジョンについて、「観光産業を我が国の確固たる機関産業として、その意義を広く発信するとともに、観光による地域づくりを推進し、観光産業の持続的な発展を実現すること」と紹介。「課題が複雑化するなか、中長期的な視点で着実に事業を進めていきたい」と力を込めた。
重点施策として、観光立国に資する日本の観光振興の中枢機関(ナショナルセンター)としての活動強化をはかる。具体的には引き続き、関係省庁に対して提言活動を行っていく。直近では政府が検討を開始した次期の「第5次観光立国推進基本計画」への提言書をまとめ、提出する予定という。
また、持続可能な産業であることを明示するため、観光産業界として基幹産業の目指す姿を描く、長期的なビジョンの策定に取り組む。旅行業や宿泊業など各業界で示されている将来像を横断的に見て、観光産業全体で俯瞰したものとするため、それぞれの若手約20人をメンバーとする検討会を設置。1年を掛けて議論し、26年度総会での発表を想定する。
観光DXの基盤化推進と確立に向けては、引き続き地域が観光地経営に活用可能な「日本観光振興デジタルプラットフォーム(デジプラ)」の継続的な提供を行う。地域が稼ぐ仕組み作りと観光デジタル人材の育成を進め、自走可能な戦略的地域経営の実現と拡大を支援していく。
さらに、観光教育と人材育成は産官学の取り組みの相互連携や相乗効果により、実効性を高めていく。現在、長崎県と長崎市、長崎大学が「観光教育の推進」を掲げ、小学校から大学までの一貫したプログラムの開発を目指した先進的な取り組みを行っていることから、「長崎モデル」として全国展開を目指す。将来的に観光教育を小学校から段階的に行うことで、ピラミッドの頂点として観光産業経営人材と観光地域経営人材の育成をはかりたい考え。

総会後の情報交換会には、衆議院議員の菅義偉元首相や元衆議院議員の二階俊博氏ら来賓も多数出席し、盛大に開かれた。