丹後ちりめんテーマに観光誘客の可能性探る 海の京都DMOが事業者招きモニターツアー実施
2025年4月16日(水) 配信
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海の京都DMOは2025年2月27(木)~28日(金)、丹後ちりめんをテーマにモニターツアーを行った。東京・八王子の繊維業関係者を招き、コンテンツの見せ方について意見交換を実施。織物の産地として素晴らしい資源を有する丹後地域の観光誘客の可能性を探った。また、時代に即した新しい取り組みを進める事業者との交流の機会も設けた。
丹後地方は、日本のシェアの7~8割を占める着物用の正絹小幅後染め織物の産地。俗にいう「丹後ちりめん」のことで、シボと呼ばれる凹凸が特徴だ。撚糸と撚りのない生糸と交互に織り込んだ生地を精錬することで糸が収縮し、緯糸(よこいと)の撚りがもどることで、独特の形状が生まれる。凹凸があることで肌に触れたときに空気の層が生まれ、心地よい肌触りを生むという。
丹後織物工業組合は丹後織物工業組合加工場(京丹後市)に「TANGO OPEN CENTER」を開設し、丹後ちりめんの魅力を発信している。「精練加工場見学 オープンファクトリー “精練の世界”」では、組合職員の案内を聞きながら入荷から精錬、乾燥、検査などを経て出荷するまでの一連の工程を見学できる。精錬とは、織り上がった後染絹織物の繊維に含まれる不純物や、「セリシン」と呼ばれるたんぱく質を取り除く重要な作業工程で、この工程を行うことで丹後ちりめん最大の特徴であるシボが作られる。TANGO OPEN CENTERでは、丹後ちりめんの面白さに触れられるワークショップや精錬体験なども開催している。

和装需要が減少するなか、丹後ちりめんの新しい展開も進んでいる。クスカ(与謝野町)は2010年に自社ブランドKUSKAを立ち上げ、手織りのネクタイを販売。現在は「kuska fabric」にリブランドし、アパレルを展開している。
デザイン、紋紙、製織を一貫して制作する江原産業は(与謝野町)は、シルクブランド「create ebara」を立ち上げ、「シルクと共に新しいライフスタイルを創造する」のコンセプトのもとさまざまなシルク商品を世界各国に販売している。
□ちりめんの歴史を感じる

モニターツアーでは、丹後ちりめんに関わる地域の歴史も紹介した。旧尾藤家住宅(与謝野町)は、江戸時代に建てられた丹後ちりめん商家。関西北部の大型農家を基本として丹後ちりめん商家の要素を加え、さらに昭和初期の洋風住宅建築が付加されている貴重な建造物で、京都府の有形文化財に指定されている。
旧三上家住宅は、江戸時代に酒造や廻船業、糸問屋などを営んでいた宮津城下有数の商家「元結屋(もっといや)三上家」の住宅。元首相の西園寺公望や有栖川宮熾仁親王らの目を楽しませたと言われる庭園は、京都府指定名勝で、奥座敷からの眺めが良く見えるようにつくられている。
モニターツアーでは、同邸宅で「宮津おどり」も紹介した。「宮津おどり」とは、古くから宮津に伝わる「宮津節」「宮津盆おどり松坂」「あいやえおどり」の3曲を組み合わせたのの総称。日本遺産「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」の構成文化財の一つとして認定を受けており、今回踊りを披露した宮津おどり振興会が保存と伝承役を担っている。
【後藤 文昭】