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理解を深めながら対応、ムスリム観光客におもてなし

加森観光の事例を紹介する仙野氏
加森観光の事例を紹介する仙野氏

日観振がセミナー開く

 日本観光振興協会(山口範雄会長)は10月23日、東京都内で「ムスリム観光客おもてなしセミナー」を開いた。ビザの発給要件の緩和や、LCCの新規就航などにより、アジア各国からの観光客が大幅に伸びるなか、今後ムスリム(イスラム教信仰者)観光客の飛躍的な増加も予想される。観光業界では、ムスリム観光客を受け入れる際には、信仰や戒律に基づいた食事、礼拝などの配慮を学びたいとの声も多く、今回のセミナーには定員150人を大幅に上回る約250人が参加した。先進事例紹介では、「ムスリム観光客の話を聞き、コミュニケーションによって理解を深めながら対応していくことが大事」という現場の声が多かった。

 加森観光社長室長の仙野雅則氏は「料理はハラルの概念を守りながら、北海道の食材を食べていただきたいとハラル御膳などを提供している。お酒やみりんが使えないので、代わりになるものを独自に研究している」とし、「料理長が食後にムスリム観光客のテーブルに行き、話を聞くことが一番ノウハウの蓄積につながる」と話した。また、北海道内を周遊するツアーの場合は、昼食にハラルフードを提供できる店がないケースもあり、「朝ハラルフードのランチボックスを用意すると喜ばれる」と語った。

 横浜ラーメン博物館営業戦略事業部広報・宣伝課長の中野正博氏は「最近は世界中から日本のラーメンを食べに訪れる」状況を説明。「宗教、思想、アレルギーなどの理由で困っているお客様にも、いかに美味しいラーメンを食べていただけるかを考え続けている」とし、「ベジタリアン向けのメニューや、ムスリムフレンドリーの対応にも取り組んでいる」と報告した。

 白馬五竜観光協会理事・白馬サンバレーホテル支配人の坂本守氏は「すべてハラル対応はできないので、背伸びをせずに、できること、できないことを正直に話している」としたうえで、「日本食が口に合わない人もいるので、瓶に入ったチリソースなどムスリムの方が使う調味料などをテーブルに置くことで、空腹のまま席を立つことがないように配慮している。自分流にアレンジして美味しく食べていただく方がいいと考えている」と述べた。さらに、「本や講習で学んだものを先回りして実践しても良い結果にはならないと思う。その場、その場でムスリムのお客様に聞きながら対応した方がいい。コミュニケーションを取りながら、こちらができる範囲で彼らが一番望ましいと思うことをしてあげることがいいのでは」とアドバイスした。

 専門家による講義では、日本アセアンセンター観光交流部プロジェクトマネージャーの藤田賢氏と、INJカルチャーセンター・インドネシア語主任講師のイワン・スティヤ・ブティ氏が「アセアンからのムスリム観光客の受け入れについて」をテーマに、ハラルフードやお祈りなど、ムスリムの生活習慣などを具体例も示しながら詳しく説明した。

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