ペンを持つ者 ― 地域を輝かす気概を(3/11付)

 あれからもう1年が経つというのに、津波に襲われた町の幾つかは復興の足掛かりも掴めないままのところがある。漁業や農業、そして観光業など地場の産業が復活しなければ、その地域の復興はありえないし、地場産業の復活には、地元の人々がその地域に住み、生活をしなければならない。しかし、津波に流されてしまった住宅地や産業地の多くは、今も更地のままになっている。

 少子高齢化、過疎化が著しい地方部でとくに人口減少傾向が進んでいたが、東日本大震災で一気にその流れが加速した。東京に隣接する千葉県ですら、2011年は予想を7年前倒しに人口が減少したという。大きな打撃を受けた東北地方では、このまま放置していれば、人口流出はさらに加速するだろう。

 高度経済成長期や人口増加時代なら、復興のスピードも早い。力強い再生力によって、各地で復興の鎚音が響き渡っていたかもしれない。しかし、国の少子化問題の対応の遅れが、あらゆる歪みを起こしている。残念だ。高齢層に手厚く、現役世代、若年層への手当ての貧弱さ。若い家族や20代の若者、10代の学生が安心して教育を受けられ、就職ができ、結婚・子育て、生活ができる社会の仕組みづくりが国にとって一番大事なはずなのだ。百年の国家観、未来を語れる政治家が何人いるだろうか。また、ごく近未来図を描いても、災害に対して極めて脆弱な東京に人や経済、文化、政治の一極集中でいいと考える人はあまりいないだろう。変革のスピードがあまりに遅すぎる。

 日本全体を見渡すと、札幌や仙台、新潟、金沢、名古屋、大阪、広島、福岡といった地域の中核都市は、もっと個性的で、輝くべきだと思う。駅を降りた瞬間の無個性ぶりには、げんなりだ。地域ブロックのリーダーとして、海外にも知名度を上げるために、率先して文化・経済活動を盛り上げていってほしい。東京ばかりを見るのではなく、世界中の煌めく都市を模範に、地域の文化力を高める努力に期待したい。訪れる人に、ドキドキさせてほしいものだ。

 そして、我われペンを持つ者は、地域の魅力を掘り起こす力の貧弱ぶりを直視し、反省すべきである。松尾芭蕉が「奥の細道」で訪れた観光名所は、今も輝きを失わない。ペンを持つ者、芭蕉ほどの気概はあるだろうか。

(編集長・増田 剛) 

【3月17日】花魁道中を再現 熊本県・人吉温泉


3月17日 人吉雅の賑
熊本県人吉温泉で3月17日、人吉球磨はひなまつり きものぶらり歩き「人吉雅の賑(みやびの賑わい)」が開かれます。

あでやかな時代絵巻さながらに、一般公募で選ばれた女性たちが花魁(おいらん)、舞妓、芸子さんに華麗に変身し九日町おひな通りをそぞろ歩きます。本場東京の専門スタッフが化粧、着付を行うので見ごたえは十分。 九州では珍しい「花魁道中」の再現をお楽しみください。

開催日:平成24年3月17日(土)※雨天の場合は中止

時 間:正午~午後4時(練り歩きは正午と午後3時の2回)

会 場:人吉市九日町おひな通り

行列場所:花魁、舞妓が『清流山水花 あゆの里』から『国際観光旅館 鍋屋本館』までを練り歩きます。

主 催:九日町着物ぶらり歩き実行委員会

問合せ先:TEL 0966-22-0015 ビラエステ(熊澤さんまで)

3月31日まで「人吉球磨は、ひなまつり」を開催中!!
市内の人吉クラフトパーク石野公園、ひとよしおひな通り九日町、五日町、鍛冶屋町をはじめ、人吉球磨一帯の温泉施設・観光スポット100カ所以上でひな人形を展示しています。また、ひなまつり期間中には、各会場で趣向をこらしたイベントを開催します。総良村の専徳寺は今年、一般公開されていません。ご注意ください。

詳しくは人吉温泉観光協会のホームページをご覧ください

7月から5都市就航、拠点は成田、ルートは未定

鈴木社長(左)、ブキャナンCEO
鈴木社長(左)、ブキャナンCEO

 ジェットスター・ジャパン(鈴木みゆき社長、東京都千代田区)は2月8日、東京都内で会見を開き、7月から成田空港を拠点に国内便の就航を開始すると発表した。

 就航ルートは調整中だが、成田、関西、福岡、札幌、沖縄の5都市に就航予定だという。使用機材はエアバス社のA320型機(180席)。

 また、13年中に国際線の就航も計画する。

 ジェットスターグループのブルース・ブキャナンCEOは「計画よりも数カ月前倒しすることができた」と就航を報告。同グループが日本市場に参入して5年半以上が経ち、200万人を超える日本人が利用していることなどをあげ、「日本市場でブランド認知度が確固たるものになってきている」と自信を見せた。

 鈴木社長は就航先について「さまざまなアンケートやフェイスブックキャンペーンで徹底的にニーズを調査した。お客様が初期の段階で当社に最も求めている路線」と強調し、「目的地に観光がもたらす潤いをできる限り提供したい」とした。拠点を成田に置いた理由は「アジアには行き届いたグループの路線網があり、これに乗り継ぐためにも利便性が高い」と触れた。

 料金については既存エアラインの5―6割で設定。燃油サーチャージの付加も考えていないという。同グループの売りである、同日同時刻同ルートで他社より10%安くする「プライスビートギャランティ」(最低価格保証)を日本でも適用するが「例え原価割れしても、他社が100円でも実行する」(ブキャナンCEO)と断言する。

 鈴木社長は「魅力的な運賃を提供することで、日本市場でも新しいニーズを掘り起こせる」とし、「さまざまな創意工夫で日本の経済回復や繁栄に寄与し、日本で最も信頼され喜ばれるLCCを目指す」と意気込んだ。

韓国初のクルーズ会社、3月15日 日本発商品開始

会見するハン・ヒソン会長(右から2番目)
会見するハン・ヒソン会長(右から2番目)

 韓国初のクルーズ会社として2月16日に運航を開始したハーモニークルーズ(ハン・ヒソン会長)は2月20日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で会見を開き、日本発商品を3月15日に運航開始することを発表した。

二階俊博衆議院議員を表敬訪問
二階俊博衆議院議員を表敬訪問

 ハン会長は「見るだけの韓流ではなく、体験できる文化商品も盛り込んで、顧客満足の最大化を目指したい」と力を込める。大阪―済州島―仁川3泊4日商品を3月15日、3月29日、4月12日出発の3回運航予定。日本発商品運航開始日となる3月15日出発のコースではK―POP男性グループ「TEEN TOP」の船上公演を行う。

 運航する船「クラブハーモニー」は総トン数2万6千トン、全長174メートル、幅26メートル。383客室を完備し、乗船人数は約1千人。料金は2人1室で1人6万3千円―12万6千円で設定し、仁川からの帰りの飛行機代は別途となる。

 ハーモニークルーズでは、初年度の乗客数を8万人、そのうち韓国人6割、日本人や中国人などで残りの4割と見込む。ただ、日本発商品は100%日本人客を想定し、日本語のできる韓国人乗務員と、日本人乗務員で対応する。ターゲットはシニア世代と30―50代の韓国に興味のある人。ハン会長は「普段からクルーズ船に乗っている層だけでなく、メインは一般の人。家族連れや若い人などに余暇を楽しんでもらいたい」と語る。

JATAを表敬訪問
JATAを表敬訪問

 今後は、5―6月には麗水博覧会をからめた商品も企画し、大阪発商品を7回(日本発着5回、日本発片道2回)運航予定。7―8月には横浜発着で北海道、ロシアのウラジオストックなどへの就航、下期には中国への就航商品も計画中という。また、4月中はチャ・グンソクと少女時代のユナ主演の「愛の雨」の船上撮影を予定し、映画公開時には撮影地ツアーも計画している。

溝畑宏観光庁長官を表敬訪問
溝畑宏観光庁長官を表敬訪問

 会見後には本紙の仲介により、ハーモニークルーズのハン会長、日本マーケティング部のキン・ジンヒョン部長、ハーモニークルーズ・ジャパンのユン・キジュン代表、藤原寛マネージャーの4人が、観光庁の溝畑宏長官、衆議院議員で全国旅行業協会(ANTA)会長の二階俊博氏、日本旅行業協会(JATA)の中村達朗理事長を表敬訪問した。溝畑長官は「観光立国の実現には日韓の交流拡大が重要な課題。震災後の交流回復に向けて、クルーズ船就航が起爆剤になれば」と期待を寄せ、「観光庁もできるサポートをしていきたい」と支援の声をかけた。

よしもととコラボ“うどん県”が物産展企画

浜田知事(左)
浜田知事(左)

 「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトを展開する同県は2月16日、大阪市内のホテルで記者発表会を開き、よしもとクリエイティブ・エージェンシーとのコラボ企画による物産展の概要など紹介した。

 大阪市中央区のなんばグランド花月内に4月8日オープンする「よしもと47ご当地市場」で、5月下旬から6月上旬にかけての7日間、「うどん県。それだけじゃない香川県物産展」を開催。うどんをはじめ、県の物産品を販売するほか、吉本の人気タレントによるPRも予定する。

 浜田恵造知事は「関西における吉本興業のPR力は絶大。食だけでなく、うどん県全体の魅力を発信したい」と意気込みを述べた。

 記者発表後の懇親会では、うどんやオリーブ牛、讃岐コーチンなどを使った料理を披露。よしもと所属のタレント桜 稲垣早希さんがゲストで登場し、知事とのトーク形式で県産品の魅力を語り合った。

言語・文化・制度が壁、低リスクな医療観光を

医療関係者や旅行会社が参加
医療関係者や旅行会社が参加

 海外からの医療ツーリズムや訪日外国人の医療サービスの現状と課題など探る「国際医療サービスシンポジウム」が2月9日、関西地区の医療関係者や旅行会社の担当者などが参加して、大阪市内のホテルで開かれた。

 日本政策投資銀行によると、医療ツーリズムは現在、世界約50カ国で実施され、2008年の医療ツーリスト数は年間600万人程度と推計。このうち半数の300万人(07年)をアジアで受け入れている。全体の市場規模は12年に1千億ドルまで拡大することが見込まれている。

 シンポジウムでは4人の医療専門家が登場し、それぞれの立場から問題点や課題、対策など提起して参加者と意見交換。また、医療通訳者が医療現場と通訳の役割、中国人医療専門家は海外から見た日本の医療について考えを述べた。

 このなかで、関西医科大学の西山利正教授は、日本独特の医療保険や日本の出来高払いと外国医療のデポジットの違い、文化、常識、言語、法律などの違いから起こる医療訴訟などを訪日外国人と医療の問題として指摘。

 対策として専門のトラベルクリニックの充実やトラベルファーマシー(専門薬局)、医療通訳の配置などを提案。とくに相手国の文化で説明できる医療通訳の必要性を訴えた。

 さらに健康増進などを目的にしたヘルスツーリズムと検診や美容、薬局での薬、化粧品購入などのメディカルツーリズムの定義について説明。そのうえで「高度先進医療は利益を期待できない。メスを用いない審美領域など低リスク、低コストの医療推進が現実的」と結論付けた。

 また、大阪医師会の高井康之理事は「営利目的で診療すると、日本人が医療から締め出される」とツーリズム推進の危険性を指摘した。

JTB 創立100周年記念、3月12日に式典開く

 JTB(田川博己社長)は創立100周年を記念して、3月12日に東京国際フォーラム(千代田区丸の内)で記念式典とレセプションを行う。

 関係行政、各国在日公館、各国政府観光局、観光関連諸団体、運輸機関、宿泊機関、観光関係諸施設、報道関係など約800人が招待され、JTBグループ関係者500人を合わせた約1300人規模の式典・レセプションとなる。

 記念式典は午後1時30分―4時10分。社長挨拶や来賓祝辞、JTBの歴史紹介VTRの放映などに加え、午後3時5分からの東北観光復興応援プログラムでは、東北観光推進機構の高橋宏明会長と河北新報社の一力雅彦社長が登壇する。レセプションは午後4時40分―6時10分まで。 

宿泊販売拡大目指す、松島で50周年総会開く

根津文博会長
根津文博会長

 日本旅行協定旅館ホテル連盟(根津文博会長、2243会員)は2月16日、宮城県・松島のホテル大観荘で第50回通常総会を開いた。東北復興も兼ねた総会には全国から300人以上が参加。また、50周年という節目のため、全国の12支部連合会から次世代を担う24人の若手も特別に出席した。

 根津会長は「50年を振り返ると、さまざまなことがあったが、昨年の東日本大震災は一人ひとりの人生観も変えてしまうような大きな出来事だった。家族との絆の強まりや社会貢献への意志といったマインドの変化が、今後我われの産業に対しても変化を与えるだろう」と語った。さらに、「観光景気図は今年も西高東低が続くが何としても宿泊拡大へ、東京スカイツリー開業や東北観光博、LCC就航、デスティネーションキャンペーンなどをバネにしていきたい」と述べた。

 今年度も宿泊販売の拡大を事業の柱とし、地域での誘客事業の取り組み強化に加え、赤い風船Web商品などの販売拡大に向けた「インターネット宿泊増売キャンペーン」、新観光素材団体活用キャンペーンなどを展開する。

 さらに、中国エージェント招聘事業や、第4回日旅連塾の開催、JATA主催の「もう一泊、もう一度キャンペーン」への協力など、国内活性化事業にも積極的に取り組んでいく。

 そのほか、火災、地震、風水害の災害に対して、2日以上休業の場合1万円、半焼・半壊の場合3万円、全焼・全壊の場合5万円とする災害見舞金内規を追加した。

 なお、記念講演では、フリーアナウンサーの生島ヒロシ氏を招き、「経営者のための『さすが!と言われるスピーチ術』」をテーマに講演した。

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日旅・丸尾社長
日旅・丸尾社長

<進むべき道見えた、ビジネスモデルを転換―丸尾社長>

 日旅連の総会で、日本旅行の丸尾和明社長は「3・11以降の予約がまったく入らない状況が続き、その対応として東から西への社員の異動や6月には全社員の賃金カットも行った。秋口からようやく需要が回復し何とか乗り切れた」とし、「大変な1年だったが、我われ日本旅行がこれまでやってきたこと、そしてこれから進むべき道が見えてきた年だった」と語った。

 このようななかで、日本旅行はビジネスモデルの転換を最重要課題として取り組んだ。教育旅行、MICE、BTM、インバウンド、個人旅行のインターネット販売を中核事業にすべく、組織的、計画的に経営資源をシフトさせていった。

 国内旅行の販売額は前年比で1割程度落ち込んだが、教育(3%増)、MICE(6%増)、BTM(40%増)、インバウンドは残念ながら激減したが、インターネット販売(25%増)と大変厳しい状況の中で数字を残せた。「このことは、我われがやってきた道は間違いではなく、むしろさらに加速化、具体化、深度化していくことが必要」と強調した。

 リアル店舗については、TiS大阪をリニューアルし、コンサルティング力、コミュニケーション力、CS力を持つ人材を集めた。1日2千万円弱を売上げ、前年比35%増という結果は、「きっちりとお店づくりをしていけば伸びていくという証拠」と説明した。「今年は国内旅行の販売を拡大する再スタート、再チャレンジの年にしたい」と語った。

3年越しの1100億円達成へ、原点回帰 地元客獲得から

西野目信雄会長
西野目信雄会長

 近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(西野目信雄会長、2698会員)は2月14日、東京都内のホテルで第54回通常総会を開いた。昨年の宿泊券販売は、東日本大震災などの影響により目標1100億円の 86%、950億円と2年連続の未達に終わった。12年度は「KNTと連携を強化して宿泊券増売をはかるとともに、KNTの方針に沿いながら地域の特性を活かした事業を展開する」を基本方針に掲げ、宿泊券目標は3年連続の1100億円 に定めた。本部会長改選では、西野目会長の3期目の続投が全会一致で了承された。

 西野目会長は「震災後、早急に正副会長会を開き、『このままであれば旅連の事業は成り立たない。3割は減るだろう』と予測した。しかし、お客様はゴールデンウイークから復調し、夏休み商戦、秋の旅行へ、徐々に動き始めた。目標未達に終わったが、宿泊券販売950億円は各地のKNTサイドが最後の最後まで粘った数字。本当に感謝を申しあげたい。3年越しとなるが、今年こそ宿泊券1100億円達成に向け一致協力していきたい」と語った。また、原点回帰を強調。「旅館ホテルの商売は地元のお客様から始まった。そこを取り込まずに県外、海外はないと自分に言い聞かせている。地域ごとに文化は違い、やり方は違うが、地域のお客様を取り込むことから、もう1回始まるべきで、旅連も一部事業はそうした形で進めて行いきたい」と語った。

 旅連事業は、「情報連絡全国ブロック会議」や「Web委員会」「インバウンド委員会」など従来の活動を継続。新たな事業計画では、各連合会から1、2人の次代を担う経営者、KNTから幹部社員をメンバーとする「未来創造委員会」を設置し、旅連の将来像、中期的な計画方針を協議する。

 そのほか、KNTと協力して宿泊アンケートを活用した評価指標を作成し、13年度から共有を始める。「旅行形態がこれだけ個人化するなかで、お客様の評価は大きなウエートを占める。KNTならではのものを立ち上げたい」(西野目会長)。

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KNT・吉川社長
KNT・吉川社長

<宿泊券の目標必達、営業力強化へ組織再編―吉川社長>

 KNT旅連の総会でKNTの吉川勝久社長は「宿泊券目標1100億円に対し、950億円という結果に終わった。震災はあったが、未達は未達」と陳謝した。3年連続で定めた宿泊券販売目標1100億円については、「発地と着地のニーズを融合させ、目標は必達する。そして将来の夢を語り合いましょう」と決意表明した。また、「2年連続の黒字決算の見込みであるが、費用削減によるところが大きく、本来の営業力を強化しなければならない。そのため事業構造改革を1月から一段進めている」と報告した。

 事業構造改革で同社は1月から東名阪(東京・名古屋・大阪)地区の旅行事業に集中する。そのほかの地区(北海道・東北・中国四国・九州)については、それぞれの地域旅行会社における地域密着営業を推進。また、商事事業についても商事専門会社を新たに設立し、営業展開する。

 同社内の組織は、5事業本部体制から団体旅行部門と個人旅行部門の2部門体制に再編。営業力強化とともに効率化も推進する。吉川社長は「団体旅行事業は、今までの関東、首都圏、中部、関西の4営業本部にECC部門、国際旅行部門を加え、法人、団体への提案型旅行や、教育旅行周辺事業の拡大、スポーツによる地域振興を切り口とした新しい需要開発を目指す。個人旅行事業は、提携販売部門を加え、KNTツーリストを含めて、商品造成と販売、リアル販売とウェブ販売の一体運営をはかっていく」と説明した。

 海外展開については、新たな拠点の設置によるネットワークの拡充をはかる。5月には台湾にKNT台湾を新設する。

訪日外客数2016年1800万人に

「コンセンサス得た」―溝畑長官

 観光庁の溝畑宏長官は2月17日の会見で、先日の第5回交通政策審議会観光分科会で審議された観光立国推進基本計画の見直し案について「コンセンサスを得られた」との感触を示した。

 審議した基本計画では2016年の数値目標として(1)国内における旅行消費額を30兆円(2)訪日外国人旅行者数を1800万人(3)国際会議の開催件数の50%以上の増加(4)日本人の海外旅行者数を2千万人(5)国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数を2・5泊――などが盛り込まれている。

 前回の分科会では、素案として訪日外国人旅行者数1500万人、2千万人の2案、国内宿泊観光旅行の年間平均宿泊数では2・12泊、2・42泊、3・14泊の3案が出されていた。

 溝畑長官は目標値修正について「震災の影響を加味して16年2千万人は現実的ではないと判断した」と説明。ただ、2019年に2500万人の目標は修正しないようで「『2019年に2500万人』は変えていないので、目標を下げたわけではない。2011年も1―2月の推移をみると、震災がなければ目標の1千万人を突破できたとみているので、2019年に2500万人も充分可能」と力を込めた。今後は、3月26日の第6回交通政策審議会観光分科会で改定基本計画案の了承を得て、閣議決定、国会報告を目指す。

 また、訪日外国人増加に関係する入国ビザの要件緩和について触れ、「昨年11―12月の中国人観光客数の急速な回復、増加は、7月の中国人向け沖縄マルチビザ開始や、9月の発給要件緩和の影響が大きい」と分析。「ビザ発給に関しては外務省の管轄」と前置きしながらも、「観光庁の方でも国の拡大や、マルチビザの対象地域拡大を働きかけていきたい」と話した。